―フランス、マルセイユ―
今日も今日とて、ここには仕事が舞い込む…
「…そこまで追跡、盗聴だ。いいな。毎回いうが、失敗は許されないぞ。」
「はい、お任せください。」
今日も今日とて、私たちは仕事をこなすために要件を再確認…
「よし。では、健闘を祈るぞ、Atomic、mist。」「頑張って;」
「…はい。」
そして私たちは部屋を出た…
「・・・はー!やっぱり威圧感凄いねティア!」
「いや、うーん、まあ、否定はできないね;」
「ええっと…なんだっけ、パリの有名政治家の一人、アルベリックの家に何やら怪しい奴が出入り…、そいつが誰なのか突き止めてほしい…だっけ?」
「うん、それで合ってる。さて、いこっか!」
「さあて、仕事の始まり!!」
これは、二人か、三人か、四人か、はたまた無限なのだろうか。グループで活動する追跡者を描いた物語である。
私たちは先ほど言ったとおり、これからフランス、パリの有名政治家、アルベリック氏の家へ行くのだ。目的はアルベリック氏の家に出はいりする怪しい奴を突き止めること。
私たちは表では「追跡者」だが、裏では盗聴やなんやらとやっている。もしかしたら、追跡のほうが少ないのかも…
ちなみに、今走っている二人、左がコードネーム「Atomic」のヴァル・セレスト。
そして、同じく走っている二人、右がコードネーム「mist」のティア・ミスト。
二人は同年代、というか同い年で、入った時からずっと仲良しなのだ。
先輩のルカ・トニック、先ほど「頑張って:」と言った、コードネーム「Magnum」のシノン・ファイベルは歳が違うものの、助かったり助けあったりとして仲良くなった。
四人が所属している「Raven tracker」は追跡中心。ま、先ほども言ったが追跡のほうが少ないであるため、盗聴中心といった方があっているが。
そんなこんなで、今日も頑張るのだった。
「…さて、ここがアルベリック氏の家?」
「えーっと…うん、そうだね。ここが……アルベリック氏の親せきの家だね。」
「そっか。……………ん?親戚?」
「…あ、ごめん;アルベリック氏の家は…こっち;」
「ちょ、ティア…」「ホントにごめん~…」
「…政治家って今仕事中?」「そうみたいだね…、だから今は誰もいないみたい…」
夕方6時…
「…誰かいる?」
「いや、全然動きがない…あ。」
「どうしたの?」
「ヴァル。あれ…アルベリック氏じゃ…ないよね?」
「え、…うん。あれは違うね…」
「…どうする?」
「うーん…とりあえず、様子を見なきゃ…あれ;」
「どうしたの?」
「アルベリック氏…」
「ええ;と、とりあえず、玄関付近に近づいて、様子を見よう。」
そのころ…
「ボス。」
「…なんだ、Magnum。」
「あの二人、大丈夫でしょうか。出発から4時間半も経って、まだ連絡がありませんが…」
「…大丈夫だ。何かあっても、あの二人は大丈夫だと思うぞ?」
「…(理由になってない…)とにかく、政治家の家は分かるんですよね?」
「…ああ。」
「わかりました。ありがとうございます。」
「いいな、明日も40万、払ってもらうぞ。」
「うぐ…だがな、こっちにも家庭というものが」
「ああ!?うっせえんだよ。政治家のお前ならできるよな?さもないと娘が…どうなっても知らねえぞ?」
「うぐ…」
「とにかく、頼んだぞ?ハッハッハ!」
その男は高笑いを上げながら家を出ていく。
「…許せないな…」
「ヴァル、とりあえず盗聴したし、今日のところはこれで戻ろうよ。」
「え、うん…」
「待ちな。」
去ろうとしたヴァルとティアを、後ろから冷たい声が呼ぶ。
「…はい。」
「おめえら、ずっとここにいただろ。何か聞かれていると厄介なんでな、始末させてもらうぞ。」
「始末…ですか。」
「ああ。だがな、2vs1って言うのも気が引けるんでな。ちょっと、場所移動しねえか?」
いきなり「始末する」と言ってきた男…そんな男に「ついて来い」といわれても…
「え…」
「…行きます。行こう、ティア。」
「え…うん。」
ヴァルは何かを思っている、計算しているようで、迷わずそういった。
その迫力に、私も「うん」と言った。間違った発言とは思ってない。
10分ほどして、ついたところは、薄暗い、廃墟みたいなところ…
「…ここにいるのはさっきの政治家の娘だ。俺はこの娘を誘拐し、返してほしければ40万一日に払えと言った。」
「卑怯者…!!」
早速ヴァルが我慢できないといったように言う。
「まあ、そう怒るなって。だがな、今日は俺に勝てば、この娘を返す。」
「えっ…?」
さっきからこの男の言ってることは、どれもこれもぶっとんでいる。驚かずにはいられない…
「娘を返すと言っているんだ。だがな、2vs1だとこちらが不利なのでな、こちらも一人、助っ人を呼ばせてもらった。出て来いよ!」
そういうと、柱の陰からボスくらいの男がやってきた。
―どうみたって勝てない―
それを思わせるような体格だ。
「さ、2vs2でバトルだ。どっからでもかかって来いよ。」
「くっ…」
さすがにヴァルも気づいたみたいだ。
―どうみても勝てない―
って。
まずい…
どうしよう…
でも、ここでやらなきゃ帰れないよね。
「じゃあ、早速行きます!でやあぁっ!」
というと、ティアは早速、先ほどアルベリック氏を脅した人に接近&二度蹴りを放つ。
さすがに速かったのか、「うぐっ…!」といい後ろにのけ反ったけど、あまり大きなダメージは与えられてない。
「次はあたしだっ!」
というが早いか、のけぞった男に接近し、素早くはっけいを放っていく。男はさらに吹っ飛んでいき、「信じられない」という目でこちらを見ていた。
「なっ、エルヴェさん!」
さっきの助っ人もびっくりしてたみたいだ。
「さあ、次はお前だ!」
「覚悟してください!」
許せない人たちを許すわけにはいかない!しっかり倒して、娘さんを取り戻さないと!
「…俺はエルヴェさんのように簡単には行かねぇ。…行くぞ」
というが早いか、ヴァルの懐に接近し、二、三発お見舞い、ヴァルはちょっと後ろの柱まで吹っ飛ばされた。音が半端じゃない。
「なっ、うわぁっ!?」
「ヴァルッ!」
「う…うぐ…」
私もヴァルみたいにやられる…!怖い…
「ふっ、あっけないな。」
といったのもつかの間、いつの間にか私の懐に飛び込んで、さっきと同じように二、三発強烈なパンチを食らった。あまりの速さに目が追い付かない…!
「うわっ、きゃあぁっ!」
私もヴァルが叩きつけられた柱の隣の柱にふっとばされて、あっという間に二人ともやられちゃった…やっぱり叶わなかった…
この後、私たちはどうなるんだろう…始末って言ってたから、もしかして…
「エルヴェさん、こいつらどうしますか?」
「そうだな…始末といったが、そうすると捕まる可能性がある…、こいつと同じように縛り上げとけ。」
「了解いたしました。」
始末…じゃなくて縛り上げ…ってことはまだ大丈夫ってことか…
「では、今から紐を。」
『その必要はないぜー!』
…?誰だろう…
「誰だ、貴様!!」
『俺か―?俺はな、成人だ!』
「成人だと!?お前…まだ学生なんじゃないのか!嘘をつくな!!」
成人?学生?もしかして…
『本当だよー…ひどいだろ、なんで信じてくんないんだよな…ま、いいか。あれ、もしかして、だまされちゃった?』
「くっ…!おのれ!!」
しかしその人は、襲ってくる助っ人をものともせず、たった数秒で片づけてしまった…
「なんだよー…、だまされるからいけないんだぜ?って…、やっぱりいた。大丈夫?ヴァル、ティア。」
この安心する声…もしかして…
「フ…ファイベルさん?」
「ああ。俺だ。ファイベルだ。とりあえず、傷はおっているけど、死ぬほどのような傷じゃないな…。ルカ。とりあえず安全な場所まで。」
最終更新:2015年01月25日 02:08