ここは学校の最上階の端に位置する部屋。私は此処で暇を潰していた。
普段ならばまだ部活中だが、今日は(選曲で中途半端に時間を費やした為か)一時間以上早く終わった。
いつまでも窓の外をボンヤリ眺めるのは私の習慣ではあるが、今日は少しばかり事情が違う。
私は一人取り残されている筈なのに、私の後ろに何者かが居るのである。実を言うと、今に始まった事ではなく時折この様な感覚に襲われる。
大体、こーいうのを世間では「霊感がある」と言うが、私に霊感など無いし霊を信じてもいない。
では、何故背後に何者かの気配がするのだろうか。
その問いの答えを探るべく何時ものように瞳を閉じて深く考え込んだ時、一つの声が聞こえた。
_答え、知りたいのかい?_
…まるで心の奥底から込み上げてきて、脳内に響き渡るような、そんな声だった。
学校から自宅への道、自転車を漕いで行く。
見慣れた景色でも、眺める所が違えば新鮮な感覚がするというもの。
漕ぎ慣れたはずの自転車も、何処となく安定しない。
暫くすると、鬱蒼と茂った木々の陰に小さな池が見える道に差し掛かった。
普段の自宅への到着時間まで間が空いているので、自転車を安全な場所に停め自然散策。
木漏れ日の光が池の水面に映し出され、池の緑もあいまって幻想的な雰囲気を醸し出している。
池の水はかなり濁っているものの、池自体は比較的浅いらしく、水面よりはみ出た黒い背の魚が二匹ほど泳いでいる。
近づこうとした所、バシャリと大きな水飛沫が立ち魚は何処かへ消えてしまった。
[外の奴]は周りの人間に比べ周りを気にする奴で、状況を推理して自分なりの答えを導き出す。
決して助力を受けに行こうとはせず、己の眼でもって問題を解決しようとするのが彼女の信条らしい。
…私から言わせれば、その性格が「対人関係の悩み」を引き起こしているのに、それに気付けない矛盾、
例えるならば「灯台下暗しな隠者の逆位置のカード」と言った所か。
追伸:匿名希望。知らぬ間に増える事も屡。
最終更新:2011年09月17日 18:41