「余計なお世話なんて失礼なもんじゃないのか?」
「……!!」
光はとっさに振り向いたが、入り口のドアは開いたままだった。
「…空耳?」
部屋に着いてから数分しかたってないから誰か入ってたわけがない。
もし誰か入ってたとしても並の人ならすぐにわかるはずだ。
「あのなー…血のつながる姉にんなこというのもどうかと思うぞ?」
また聞こえた…
「……誰!?」
「わたしはあなたのすぐそこにいる」
「人間じゃないのか!?」
「…ま、それっぽいな」
ユラァ…
光の影がゆれ、そこから黒い服を着た男性が現れた。
「ギャアァ…」
バッ
「今大声を出すな」
男が光の口をふさぐ。
「光ー誰かいるのー?」
香織の声だ。
「いえ、独り言!!」
光は思わずそう大声でいった。
「そう…」
「いいいい…一体お前はは誰なんだ!?いききななり影かから現れて…」
言葉になってない気がする。
「驚かせてすまない。わたしは影野 暗」
「……僕は…。月花光」
いきなり影から現れた男についそう名前をいってしまった。
「なんだか対照的だな」
「光と影…」
僕はそうつぶやいた。
「わたしはあまり光と言うものを体験したことがない」
「こっちも、今の世の中明るくなって闇なんてありゃしないよ」
「光ー!」
「わっ!」
急な香織の大声にひっくりかえそうになる光。
姉さん突然過ぎて心臓とまるかと思ったよ。
「そろそろ夕飯になるから降りてらっしゃい」
どうやら肉じゃがが出来上がったようだ。
「今の声は?」
「姉さんの香織」
「姉さん…か」
スッ
暗は光の影に入り込む。
「わたしは影に入り込んだり影のように移動することができるから」
「それは分かったけど、急に出てくるなよ」
「うむ」
夕日はすでに堕ち、夜になっていた。
時計を見るともう7:30をこえていた。
~リビング~
「んぐっ…」
光は下の影を警戒しながら食べている。
「何か下に落ちてるの?」
「いや…違うんだ」
「……」
「(あれが光の姉とやら…か…)」
「…ごちそうさま」
テーブルには食べた後の茶わんや皿が並べてあった。
僕はとりあえず、冷蔵庫からオレンジジュースを出してコップに注いで飲む。
「食欲ないのかと思ったけど、一応あるのね?」
「うん」
僕はそう頷くしかなかった。
とりあえず、隠すために多少のごまかしがなくてはならないと思った。
だが……
「もしかして……なんかいたりする?」
「!!」
ブウゥゥゥッ!!
僕は姉さんの鋭い言葉にオレンジジュースを吹いてしまった…。
なんちゅーことしたんだ僕は…。
「え…?なんのこと?」
「いるよね?ゴキブリ?蚊?ハエ?ネズミ?」
香織は自分の顔に飛び散ったオレンジジュースをタオルで拭き取る。タオルでやっていいのか。
一番最後のってもしドラ○もんが聞いたら地球破壊爆弾でも出すだろうな…。
「姉さん……」
「いるんでしょ?何かが」
顔は笑っていたが声色が変わっている。
姉さんは機嫌が悪い時などは声色が変わるので僕はすぐに分かった。
そして手にはどこから持ってきたのか、槍を持っていた。
「姉さんいくらなんでもそれは…」
「……」
僕の言葉も聞かず、香織は眼を閉じ、集中する。
「(まずいな…わたしの存在がばれたらこの女は…)」
「(言うしかないのかな…)」
「(やめた方がいいとわたしは思うが…)」
そうこう心で話すうちに…
「!!!」
香織は眼を大きく開き………
「そこじゃぁーーーーーーーっ!!!」
香織はすさまじい勢いで槍をつきだす。
その先は光の場所。床だ!!
「うっ!」
僕はとっさに腕で顔を隠す。
暗は果たして…?
グサァァッ!!!
最終更新:2011年12月30日 20:14