「………!?」
腕をおろした光は唖然した。
槍は僕の影でなく、すぐそこのハエに刺さっていた。
「(ど…動物殺し…)」
この状態を影から見てた暗はそう思った。
ズボッ
「なーんちゃってね♪テヘ」
「「(殺した時点でテヘはないだろ)」」
と心で突っ込む2人。
「でもなんか気配がこれじゃない気がするわ。もうちょっと…虫ほどじゃない大きななにかが…」
「…へぇ」
光はそれぐらいしか言えなかった。
「…ま、虫殺しはここまでとして光、風呂に入りなさい」
「…うん」
光はそう頷き、風呂場へ行った。
~風呂場~
シャアアアァァァァァ…
光はシャワーで頭を洗っていた。
暗はまだ影の中にいる。
「…あなたの姉は見かけによらず相当とんでもないことするようだな」
「…うん。あの笑顔とは裏腹におかしなことやるんだ」
「……」
ユラァ…
影から出てくる暗。
「人間とはそこまでかわってるのか」
「……」
じっと暗をみる光。
「訊きたいことあるんだけどいい…?」
「なんだ?」
「お前って…男?」
「性別は分からない」
この答えに…
「…ちょっと風呂場から出てってくれや」
グイグイグイ…
「な…なにをする」
光は手で暗の背中を押して風呂場から出そうとする。
バタン
ドアを閉めた。
「な…何だったんだ……?」
「こんなのもし絵で表現したらある意味エロくなりそうだからなー…」
湯につかりながらそう小さく呟く光であった…。
~光町高等学校 購買部~
「俺焼きそばパン!」
「あたしカツサンドイッチ!」
「カ○ピスくれ!」
「カレーパンくれよー!」
購買部はまるで主婦の洋服半額バーゲンのように争っていた。
「うぐっ…例えが…僕ら…が…んぐっ…おばさんみたいだ…あぁっ…」
↑も購買バーゲンに参加中です
「う~…よいしょっと!」
やっと買えたようだ。
買ったのはカレーパンと卵サンドイッチ。
一応どっちかは暗にあげるつもりである。
「お帰り」
先に焼きそばパンを手に入れた真琴がそう言う。
「何その同情心ない言い方は…」
「男はこーゆー混雑に慣れてないのかしら?」
上から目線な言い方だ。
「…悪かったな」
「とりあえず屋上で食べる?」
「…何でお前と二人きりになんなきゃいけないんだよ…」
「(´・ω・*)」
「何その顔」
「(いてて…踏まれっぱなしで大変だぞ…光)」
暗は光の影なのかにいてたくさんの生徒の足に踏まれたらしい。
~屋上~
ハクッ
「んん…」
網によっかかって卵サンドイッチを食べる光。
「あのさ…」
「な…なに?」
いきなり真琴にかけられて少し戸惑う。
「あたしって…女の子っぽくないよね……?」
「は…?」
急な質問にそれしか言えない。
「なんでそれ訊くの?」
「だってあたしって力持ちだし、こんな口調だし…運動神経抜群だから…」
おい、最後のはなんだ。自慢か?
「だからさ、こんなのがあたしでいいかなって…」
僕は正直何も言えなかった…。
何か言おうにもなぜか素直に言えない……。
そんなことって…。
「……いやーねぇ!こーんな話するなんてあたしどうかしてるわ。アハハハハハハ…」
真琴は膝をつき、笑いながら地面をたたく。
「(嫌な予感が…)」
そして…
バシッ!
「イデッ!!」
ユラッ……
影から暗が出てきてしまった……。
「…………………………」
真琴はしばらくの沈黙でじっと暗を見つめた…。そして……
「イヤアアアアァァァァアアアァァァァ!!!!!!」
最終更新:2012年01月08日 22:39