「刹那ー、なに寝てんのー?遅刻するわよー!」
「うぅ…」

下からの声に布団を一層かぶせる。
時刻は……8時12分



「あああぁーーーーーーっ!!!」



ダダダダダダダダッ…!
その子__「赤城刹那」は今回も慌てて階段を駆け下り、制服に着替え、歯を磨く。
遅刻なんてもう日常化している。


ゴシゴシ…
「もーっ!もっと早く起こして母さんのバカ!」
だが刹那の母、春香はまったりした表情で朝のチラシを見ながら
「え?何度も言ったはずだけど?それなのにうんうんうなずいてた…」
と答えるが『た』の後が刹那の「知らない!」でかき消される。
父の充はもうとっくに会社に行っている。


「刹那!」
「なに急いでんだよ!」
と朝ご飯の食パン(イチゴジャム塗り)を咥えて玄関から出ようとする。

「お弁当。いらないの?」
と朱色の布で包んだ弁当を差し出す。


「……いる」


ガチャッ
「行ってきま~す!」
こうして、普通の日常が始まった。

ここまでは…


~学校 教室~
「廊下に一方通行よっ!」

この一言で即遅刻してしまった刹那は廊下に立たされた。
「ヒドイぞ…子供を操るなんて……」
手には水が入ってあるバケツがある。
「水の入ってるバケツなら苦労はしないけど超時間もかかっちゃ……ん?」
刹那は窓からの下をのぞいた。
そこには1年生と思われる生徒がオレンジのなにかを触っていた。

「いじめてるんじゃ…!助けなk」
ガラッ
「赤城さん何やってるの?」
教室のドアが開き、担任の先生の桜野英美が現れる。

「えーとあのー…そのー……」
「んー?」
さんざんどうごまかすか考えてたあげく…

「トイレ行こうと思ってたところなんですっ!」
結局それかい。

「…早く行きなさい!」
「はいぃっ!」
と、トイレに行くと見せかけて昇降口へ向かう。
「トイレとは全くの逆方向なのに…」


~裏庭~
「おー。このオレンジいいのしてんじゃん」
「マジでマジで」
「や…やめて下さい!」
刹那は裏庭に駆けつける。

「あんたら何やってんだ!」
このどなり声に
「ヤベっ…あいつは……」
「に、逃げろ!」
名札をちらっと見るとやっぱり1年生だった。
比較的マトモな方の不良だったらしい。

「あー大丈夫か?」
「うー…」
気を失っているらしい。
中国拳法の服を着ているネコ…っぽい。
「とりあえずー…」
ズズズズズズズズ…
オレンジの丸い手を掴んで引きずって校舎に入った。
おいおい…。


~保健室~
「へぇ…裏庭にいたんですね」
保健の教師の「燕鷹 爽燕」はオレンジの猫(?)を看病する。
「これどうしたらいいんでしょうか?」
「とりあえず、友達に相談とかしたらどうです?他の先生でもよろしいですが、純粋さがある子供の方がいいと思いますよ」
「じゃあ紹介的なのをします!」
「ひと気のないとところかいいんじゃないですか?」
「何故です?」
この答えについ疑問を抱く刹那。
「もしこれが危険なものだとしたら…」
「分かりました!爽燕先生、ありがとうございます!!」
「放課後までここで預けますからね。帰りの会が終わったら友達の火景さんとでも来てくださいね」
「はい!」
時刻はもう1時間目を終えようとしていた。
「では!」ノシ
刹那は保健室を出て行った。

「(このオレンジの…只者ではない感じがします…)」

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最終更新:2012年01月19日 18:09