私は「椿木 碧」
自分が言うのもどうかと思うがテレポートしか使えない超能力者だ。
今は体育の選択授業でサッカーをやっている。もう一つはバスケだけど。
何でサッカーを選んだかというと比較的小学校で経験していたからだ。
現在午後の5時間目、違うチームと対戦中。
給食後だから眠いしうまく体が動けない……。
でも私はなんとなく一緒に試合をすることが楽しいように感じた。
だが今回は……
試合____
「…………」
またか…
ちらっと首は動かさずに目で見回す。
最近誰かに見られているような気がする。
そのせいで集中できない。
「椿木さんよけて!」
「え?」
突然の大声に振り向くと……
ガアァァァァンッ!!
誰かが蹴ったであろうサッカーボールが碧の顔面に直撃である……。
「……」
鼻からは血が出ていた。
「タイム!」
女子生徒達は慌てて駆けつける。
言い忘れたがチームは全員女子だ。
「ごめんね。保健室に連れてってあげようか?」
「……ティッシュある?」
「え?ティッシュ?こんなのでいいなら…」
と、ズボンの尻ポケットからポケットティッシュを出す。
「あ…ありがとう」
碧はティッシュを一枚取り出すと棒のように細く伸ばし、鼻の穴に詰め込んだ。
「大丈夫。試合再開しよう」
「でも、テレポート使えなかったりしない?一応保健室に行った方が……」
「顔面だから、鼻の骨が折れているかもしれないわ。鼻の骨は折れやすいそうだからね」
「…分かった。行ってくるよ」
シュンッ
テレポートで消えて行った……。
~保健室~
シュンッ!
「あら?椿木さん?」
レポートを描いていた保奈美は気配に気づいてドアの方を見る。
「…先生、鼻血」
一応おさえているがとっくにティッシュが赤く染まっている。
「一応箱ティッシュあげるから。体育でしょ?」
「ボールが顔面に……」
「…それは災難だったわね」
保奈美はそう同情する。
「あと一つあるんですけど……」
そう小さく言う。
「なに?」
「なんか………誰かに見られているみたいで…」
そう言いながらあたりを見回す。
「そうね……」
「モテてると思われているのは分かってるんですけど…、なんか違う気がするんですよね」
「ふむ…」
~屋上~
「あの女……」
「知ってるんですか?彼女を」
青年はそうターバンとマントを付けた奴に問う。
「いや…俺はただあいつが妙なチカラがあると感じただけだ」
「妙なチカラ……確か彼女はテレポートが使えるとか…」
「瞬間移動か。何故彼女が…」
放課後____
キーンコーンカーンコーン…
「じゃーねー」
「さよならー」
放課後は生徒達の声が聞こえる時間。
~通学路~
「明日も頑張んなきゃな」
幼馴染の「久保田 柊木」はそう背伸びしながら言う。
「そうだね…」
碧はまだ妙な気配を感じているのだろうか。
俯いている。
~通学路 隅~
「とりあえず、彼女とあの力について話がしてみたいですね…」
隅から二人の様子を見ていたさっきの青年はそう小さく呟いた。
最終更新:2012年02月13日 17:59