「ただいまー!」
「おかんなさい」
おそらく「おかえりなさい」という意味で碧の声がかき消されたような気がした。
「遅かったじゃないか」
兄、「椿木 朱太」がリビングから来た。
「うん。ちょっとあってね…」
「そうか」
碧はニ階へ上がった。
~庭~
「フンッ!フンッ!」
碧はダンベル(3kg)を持ち上げて鍛えていた。
「あの……」
碧を見ていた青年は彼女に尋ねる。
「フンッ!ハッ!」
今度は4kgのダンベルを持ち上げる。聞こえていないらしい。
「あのー」
「ハンッ!」
全く気付いていない。
「椿木さーん?」
青年は大きな声で叫んだ。
「ん?」
やっと気づいたらしい。
「なんです?」
碧はダンベルを持ちながら青年に近づく。
「僕はあなたを探しました」
青年は碧より少し背が高いようだ。
「私を探してた……?」
「はい、あなたとお話したいのですが……」
「…ちょっといい?」
碧はいったん家入る。
彼女に許可を得るためだ。
~リビング~
「え?お客さん?」
テレビを観ていた母、「椿木 緑里」は碧の方を振り向いた。
「別にいいわよ。話ならちょうど和室があるからね」
いいということだ。
~庭~
ガチャッ
「どうですか?」
青年の問いに碧はOKと答える。
「ありがとう。おじゃまします」
~和室~
「はい」
緑里はお茶とクッキーを青年の席に置く。
「ゆっくりして行ってね」
パタンッ
緑里は襖を閉じて行ってしまった。
「さて……」
青年は顔をあげ、まっすぐ碧を見る。
「ご用件は?」
碧はたずねる。
「…正直に答えて下さい。あなたは…………」
「何か超能力を持っているのですか?」
最終更新:2012年02月17日 15:34