目を覚ましたとき、真っ先に我輩の目に入ってきた物は、白色の皿の様なものだった。
その白色の皿は、木の板で出来た天井の中央に取り付けられている。
石材の天井にシャンデリアが取り付けられているようなものだろうか。

体を起こしてみると、いやはや、我輩には理解できぬ物ばかり。
部屋らしき場所に椅子は一つも無く、極度に脚が短い机が置いてあり、壁の大半は紙で覆われている。
窓は2組、2枚ずつピッタリと隣り合っており、うち1組からは憎たらしい日の光が差している。

それ以上に驚いたのは、木材でも地面でも石材でもない、独特の床の上で「素足」だった事だ。
我輩がビタニアを発った後…少なくとも気絶するまで靴は確かに履いていた。

という様に熟考していた所、ドタドタという音が聞こえて間もなく一枚の紙が動き、
向こうからインディゴ髪の女とシャトルーズグリーン髪の男が入ってきた。
成る程。紙は扉となっていたのか……

男女とも、座っている我輩に近寄り、女は机の上に茶か酒の入ったコップを置きながら、
「具合は良くなりましたか」と、どもりながら尋ねた。
どうやら気を失った後、この者達の手によって此処に運び込まれたらしい。
「まあな」
そんな風に答え、我輩はコップに注がれた物を口に含む。

……紅茶と呼ぶには香りも薄すぎる上に、味が薄すぎる。
「何だこれは」
「普通の烏龍茶ですよ」
いかにも訝しげに、女は答えた。うーろんちゃ……聞いた事が無い。
不明瞭な事が多すぎて腹立たしくなってきた。

そこで、紅茶は無いのかとやや強い語調で尋ねたのだが……
面倒くさいです、と女に一蹴された。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2012年06月19日 22:37