……………
風の音が赤ぷよ帽の少女、アミティを起こした。
「うぅー…んん…あれ…私は…」
自分が寝ているのは野原の様だ。
どうしてこうなった…自分がこの状態に至った経緯を思い出す。
確か…助けてくれた女性と出会って…それで異世界に招待さて……異世界…
………もしもあれが夢じゃ無かったのなら………
体を起こして、辺りを見回す。
……とても高い丘、大きそうな森、霧がかかった湖、そして雲まで届きそうな山、自分が立ってるのは丘だったようで、どれも遠目だけど、見える。
そして、全部見慣れた景色ではない。そもそも自分達は森のど真ん中に居たはず………私「達」………
「そうだ、アルル!ラフィーナ!りんご!クルーク!シグ!」
共に居た友人の名を呼ぶも、返事がない。
「みんな…どこ行っちゃったんだろ…」
はぐれてしまった様だ。理由はともあれ、自分は今一人だ。
「どうしよう…取り敢えず…あそこに行ってみようかな…」
一番近そうに見えた、高い丘を目指す事にした。
無論歩く以外に方法はない。
「どうか、無事到着出来ますように…!!」
自分の不安を押し殺して歩き出した。
……歩いてどれくらいが経ったであろうか…やはり気力だけでは簡単に到着できるわけもなかった。少しだけ丘が近づいたように見えたけど、気のせいにも思える。
「あうぅー、やっぱり無理かなー…」
その場に倒れこんでしまった。
「漫画とかだと…こういう時空飛ぶ何かに乗った人が助けてくれるんだよね…でもそんな事、起きるわけないよねー…」
今やそんな言葉も虚しいつぶやき…後どれくらいで辿り着けるのか、検討もつかない…ああ…このまま………
そう思ったその時であった。
「われにおまかせをー!!!」
空から声が聞こえた。
「ま…まさか…助けが…!?」
安心した、しかし、何かが勢いよく落下して来る音が聞こえる。
「え!?な、なに!?!?」
音はどんどん大きくなる。
そして…
ズドォォォン!!!
と盛大な音を立てて小さめの木の船がアミティの目の前に落ちて来た。
「あわわわわわわ!!!???!?なな、何これ!?!?」
アミティは慌てて後ろへ下がった。
そりゃ空から声が聞こえて、いきなり木製の船が墜落して来たら誰だって驚くであろう。
「ゲホゲホ…いかんいかん、勢いよく下がり過ぎた………」
船の上に誰かがのっていた。着地の時の砂埃ではっきりとは見えないけど。
「あのー…大丈夫…ですか…?;」
一応声をかけてみる…
「だ、大丈夫大丈夫……」
砂煙が引いた。
その少女は鳥帽子をかぶって灰髪のポニーテール、白装束と、みた事がないような服装だった。
「ど、どちら様ですか…?;」
「ん?我か?我の名は物部布都(もののべのふと)と申す。」
「もの…も…?」
「お主の助けを求めるような声が聞こえたものでな、丁度上空を飛んでいたので参上つかまつった。お主の名は?」
「わ、私?私はアミティ。」
「あ、亜美亭?聞き慣れない名だな。何故こんな所で倒れていたのだ?」
「あの丘の上を目指していたんですけど…」
「何!?…そうか!!!お主は異変を解決する為に現れたのだな!?そうであろう!!!」
「え…ちょ…」
「丁度我も太子様の命で博麗神社に向かう所であった!!!さあこの船に乗るが良い!共に向かおうぞ!!」
そう言いながら強引にアミティを船に乗せる。
「え!?あのー」
「大丈夫じゃ、問題ない!!!われにおまかせをー!!!」
彼女が念を込めると船が浮き出した。
あり得ない、船が空を飛んでいるのだ。
「わわわ…す、すごい!!!」
「はっはっは、驚いたじゃろう?これなら博麗神社までひとっ飛び!!さーいくぞ~!!!」
そのまま船は丘の頂上へ向けて進み出した。
最終更新:2012年08月02日 23:06