アミティは、布都の船で高い丘のてっぺんを目指していた。
「す、凄いね!!船が空を飛んでる!!!」
「何を言っておられる、普通の人間で無い限り常識じゃろう。」
「え!?皆飛べるの!?すごいすごーい!!!」
「はっはっは、変わった事を言われるな亜美亭殿は。」
そうこうしているうちに丘の上が見えてきた。
小さいが、神社のような建物が見える。
「あれは…?」
アミティが尋ねる、
「あれが博麗神社だ!」
布都が張り切って答える。
「さあ、着地するぞ。」
船が神社の鳥居を超えて、中庭らしきところで着地した。
「ここが、目的地じゃろう。」
「あ、ありがとうございます!えっと…」
「布都、ですよ、亜美亭殿。」
「そっか、ありがとね!布都さん!」
その時、庭の奥から声がした。
「誰だー?こんな騒音だしてるのは。」
布都はそれに応える。
「すまぬ、物部布都じゃ!太子様の命で参った!」
「なんだ、いつかの勘違いやろうかよ。」
奥から誰かが出てきた。
黒い三角帽子に黒いドレスのような服、そして箒を持っていて、金髪で、明らかにウィッチそっくりだった。
「あー!ウィッチ!こんなところで何してるのー?」
「はぁ?ウィッチ?誰なんだぜそれは。」
「ほぇ?違うの?」
「まあ、私は魔法使いってことには変わりはないぜ?」
魔法使いを名乗る女は拳をつくり、自分の胸をどんと叩いた。
「私は霧雨魔理沙(きりさめ まりさ)!キノコと弾幕を愛するただの魔法使いだぜ!!」
「わ、私はアミティ!魔導士の卵です!!」
「ほぇ?卵?異変を救いに来たのでは無かったのか?」
ここで布都が勘違いに気づいた。
「だから、違うって言おうとしても聞いてくれなかったじゃん!!」
「そ…それは申し訳無かった!!!…では、亜美亭殿はどうしてここに…」
「多分、幻想入りしちまったんだと思うぜ。」
「なんと!!!それは…巻き込んでしまって申し訳なかった!!!」
布都は深々と頭を下げた。
「いえ…気にしないでください;」
「で、布都、お前、何のようで来たんだ?確か、太子の命がどうこうって。」
「そうであった!!霊夢殿!霊夢殿はおられるか!?」
「それか…残念ながら、ここ数日あいつは失踪してるぜ。」
「…やはり、太子様の予感が的中してしまったか…」
「あ!あの!!!」
ここで話についていけなくなったアミティが話を遮る。
「その、れーむって、誰なんですか…?」
「あー、やっぱり気になるか。」
「はい。」
「…博麗霊夢、この神社の歴代最強の巫女だ。今まで、いくつもの異変を解決してきたんだ。」
「す、すごい…でも…なんでそんな人が失踪なんて…」
「多分、今回の異変が絡んでいるじゃろうな。」
「布都もそう思うか…」
「ああ、」
「あのー…異変って…?」
「また質問か…そうだな、それに関してはゆっくり話せるところがあるぜ。」
「ホント!?」
「ああ、布都、丁度いいからその船で連れていってくれ。」
「構わないが、どこに行けばいいのだ?」
「香霖堂までひとっ飛びで頼むぜ。」
「了解した。さ、船に。」
「というわけだ、よろしくな、アミティ。」
「よろしくお願いします、魔理沙さん!」
「…えっと…そのですます口調なんかしっくりこないな…普通に話してくれていいんだぜ?」
「えっと…じゃあ…よろしくね、魔理沙!!!」
「ああ、よろしくな、アミティ。」
こうして、幻想郷での、魔導士の卵達の物語が動き出すのであった…
東方ぷよject
幻想に咲く魔導
アミティは、魔理沙とともに、再び船に乗って、今度は丘とは真逆の森を目指した。
「異変っていうのは読んで字の如し、幻想郷に何らかの大きな事件が起きた時、その事件を異変って呼ぶんだ。」
「最近では、我々が起こした神霊異変がそうだな。」
布都は堂々と説明を補完した。
「確かにそうだけどそこまで胸を張られると腹が立つんだぜ。」
「す、すまぬ…;」
「それを、霊夢って人と魔理沙が解決してきたんだね?」
「その通りだぜ。」
「それって凄いね!!私もそんな強くなれたらなー…」
「ははは、まあ私は気まぐれで解決してやってるみたいなもんなんだぜ?」
「尚更すごいよ!!」
「だけど、今回は霊夢がいないんだ、あいつ、異変の時は必ずいるのに、しかも今まで失踪したことなんて一度も無かったんだぜ?」
「それは変ですね…」
「それに加え、今回の異変は妙な力を感じる。魔理沙どの一人で乗り込むのは無謀だと、我は思うぞ。」
「なーに、弾幕はパワーだぜ!!また私の快進撃で解決してやるぜ!!」
「そんなに言うならみてみたいなー、魔理沙の技…」
「お、良いぜ!!私のお箱を見せてやr」「わーまてまてまてまて!!!!」
あわてて布都が魔理沙を止める。
「こんなところで撃たれては困る!!船に引火したらどうする気だ!!!」
「す、すまない…つい調子に乗って…。」
「そんなに強いの…その技って。」
「全く…その気になれば森が消し飛ぶような技じゃ。」
「えー、ますます見てみたいよー…」
「ま、まあ、その時までのお楽しみなんだぜ。」
「ちえー…」
アミティは残念そうな表情を浮かべた。
「おい、そろそろ香霖堂だぜ。」
「そうじゃな、よし、着地の準備に入るぞ。」
最終更新:2012年08月04日 18:04