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チョー(SC50~SC141)

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邪推SS/チョー(SC50~SC141)


チョー:

銀河に名高い傭兵集団“八卦衆”の副長にして、地球軍アグデッパ派の主要人物。
隊長であったダイナスがその卓越した艦隊指揮能力で“艦船の指揮者”の異名を持っていたのとは対照的に
陸戦部隊指揮や格闘能力に特化した彼は“陸戦の鬼”としての異名を持っていたことも有名である。
また、ダイナスが穏やかで物腰柔らかい性格であったのに対し、チョーは冷徹なまでに冷静な性格で
自分にも他人にも厳しい、良くも悪くもストイックな性格であった。
また、トレードマークであるサングラスは、相対する相手に表情を悟られないようにするためのものであり
彼がこれを取るのは気の置けない相手の前だけであったと伝えられている。

若い頃の彼は、その能力を活かし、格闘道場を開いて生計を立てていた。
だが、その性格のせいで、周囲からは“腕は立つが偏屈な人間”として受け止められており
彼のもとへ師事する人間はごく僅かであった。
そして、その僅かな弟子もやがて彼の課す厳しい修行に音を上げ、全て離れていった。

そんな折、彼のうわさを聞きつけてダイナスがスカウトに訪れる。
自分と一緒に世界を回ってみないかと問いかけるダイナスに、チョーは問いかけた。
「人の上に立つべき人間とは、どのような人間か」と。
そこへ返ってきたダイナスの答えはこうだった。
「十のばらばらな向きの力を、百の同じ向きの力にできる人間のことだ」
その答えに感銘を受けたチョーは、ダイナスの誘いに応じ各地を放浪することを決意する。

そして、各地を回った彼が“人の上に立つべき人間”と見こんだのは
弱々しいアキでもなく
狭量なロゴでもなく
独善的なバンでもなく
腹黒いパグン・スクロックでもなく
時の地球覇王、アグデッパその人であった。

豪胆かつ人を引き付ける魅力を備えたこの老人こそ自らが仕える君主と見染めた彼は
長であったダイナスに、地球への士官を提案する。
アグデッパに仕えるということは当時のダイナスの思惑とも一致しており
かくして、八卦衆はアグデッパに仕えることとなった。

以前から傭兵として地球の海賊や抵抗軍討伐に何度か参加していたチョーは
その指揮能力を以前からアグデッパに見込まれており
元々は傭兵という身分にも拘らず、アグデッパ直々にいきなり分3位の士官として任命された。
チョーもまた、その期待によく応え“陸戦の鬼”の異名通り
デクレア・コスタル・バース各惑星においていずれも陸上攻略部隊の切り込み隊長を務め
数多くの敵を撃破していった。

だが、彼が王と見込んだ男であるアグデッパは、イーズ平定後に病没する。
後を継いだ王子ララウィンは良くも悪くもお坊ちゃんであり、平和主義者であった。
そんな彼を、チョーは「若いころのアキを見ているかのようだ」と評していたと記録に残っている。
しかし、そんなアキもその頃には、アグデッパとはタイプこそ違えど一国を支えるだけの器を持つに至っており
ララウィンもともすればアキのように花開いてくれるのではないかという期待がチョーにはあった。

だが、そんなララウィンはその甘さ故にブラウンの手によって花開く前に散らされることとなる。
後釜には王女ジュリアを差し置きアグデッパの弟であるブラウンが就任するが
チョーは、狭量で我欲の強いブラウンのことを「王の器ではない」と切って捨てた。
そして、その態度を隠そうともしなかった。
そのため、チョーのブラウン評はやがてブラウン本人の耳にも入る。
これに激怒した彼はチョーを処刑しようとするが、功労者である彼を処刑するのは軍全体の士気に響くとの進言から
ブラウンはチョーを新都デクレアの名誉防衛隊長に着任させた
(余談だが、この進言を行ったのはバッカス将軍であるとの説がある)。
しかし、名誉防衛隊長と言えば聞こえはいいが、事実上は何の権限のない幽閉に等しい処遇であった。
何もできない彼の耳に入ってくるのは、アキ軍が攻勢を強めてきたという報や
コスタルでドーラが挙兵したとの報等、帝国の瓦解を予感させるような内容のものばかりであった。
長年の同僚であったダイナスも死に、このままではアグデッパの築いた帝国が
ブラウンの手によって瓦解してしまうと危惧した彼は
アグデッパ最期の遺児であった王女ジュリアをアグデッパの後継として擁立しようとした。
しかし、彼女が自ら陣頭に立つ意思がないことを知ると、失意のうちに部屋に引きこもる日々を送るようになっていった。

その後、彼は後の覇王プロベットの教育係として再起する。
そのいきさつは有名な会話として記録されているので、ここで紹介しておくことにする。

それは、デクレアで空虚な日々を過ごす彼の元に王妃アムが訪れた時のことであった。
「このような老いぼれのところに何の用だ」
王妃を前にチョーの口から開口一番出たのが、そんな言葉であった。
「あなたにお願いがあってきました。大きな声では言えませんが、今、私たちは
愚王であるブラウンを滅ぼすために動いています」
「それで? この老いぼれに何をしろと?」
「あなたの見地を、私の息子であるプロベットに授けてほしいのです。将来の挙兵のために」
その時、アムはチョーに打倒ブラウンの計画を打ち明け、息子であるプロベットの教育係となることを依頼した。
だが、彼はアムを前に臆することなく彼女を評し、依頼を一蹴した。
「ところで王妃よ。噂で聞いた話だが、お前は初めての息子をブラウンに殺されたらしいな」
「はい」
「では、お前は息子の敵打ちがしたいがためだけに、自らの息子を覇王に仕立て上げようと言うのか」
「……」
チョーは返答に詰まるアムを鼻で笑うと、辛辣な言葉を浴びせかける。
「ふん、親の情のかけらもないとんだ女狐よ。そのような小物に力など貸せるものか」
だが、アムは非礼と言えるその態度を前にしても怒りを見せることなく、こう続けた。
「……確かに、ブラウンを倒し、息子アルビオンの敵を討つことも目的の一つです。
でも、それはただの通過点でしかありません。
私が作りたいのは、アルビオンやララウィン君のような、前途ある子供たちが
簡単に命を落とすようなことにならない世界です」
それに対し、チョーはこう返す。
「お前は、自分がそのような世界を作れる器だと思っているのか?」と。
アムは答えた。
「私はそのような器ではありません。
そして、息子がそうなれるかなれないかはあなたにかかっています、チョー将軍」
そして、続ける。
「アキやブラウン、ロゴのような老人ではなく、若い力が世界を変えることで若者が希望を持てる世界を作り出せる。
あの子には、旧態然とした覇王としてではなく、これからの世界を変える若い力たちの代表という立場で
頑張ってもらうつもりです。そのために、あの子には地球圏という狭い世界ではなく
各地を旅した将軍の知る広い世界を知っておいて欲しいのです」
チョーはしばらくの黙考の後、最期にこう尋ねた。
「お前は、この戦争をどう収めるつもりだ?」
アムはためらうことなく答える。
「この戦争で最も甘い汁をすすっているのは、バルゴとホスエンの両商業惑星です。
このような存在がなくならない限り、戦争はなくなりません。
ついては、両惑星を占領し、そこを本拠とする軍事企業を全て解体して商業惑星としての能力を無力化します。
そうすれば、少なくとも銀河を超えて人々が争うということはなくなると思います」
その答えを聞いた後、チョーはサングラスを取り、アムに返した。
「いいだろう。この老いぼれの力でよければ好きなように使うがいい」と。

かくして、アムの申し出を承諾した彼は、プロベットの教育に専念するべくブラウンに現役を退くことを申し出た。
ブラウンは、厄介払いができたとばかりにこの申し出を快諾した。
チョーは、新しい八卦衆の長にヒップを指名し、彼にデクレアの動向監視を依頼して
自らは土星に飛び、幼いプロベットに自身が各地を放浪していたときの経験や王としての心構え
また、戦術のいろはを徹底的に叩き込んだ。
その厳しさは、後に覇王プロベットが
「あの頃の地獄と比べると、初陣の恐怖ですら生ぬるく思えた」
と懐述するほどであったという。

こうして、プロベットは若くして豪胆さと度量の大きさ、王としての能力を兼ね備えた
“人の上に立つに相応しい人間”へと成長を遂げていく。
そして、来るべく日に備え、挙兵の準備を着々と進めていった。
挙兵の準備がほぼ済んだ頃、デクレアのヒップからドーラ軍がバースを陥落させ、軍中枢が動揺しているとの報が入ってくる。
チョーは、アムと共にブラウン軍が動揺している今こそ挙兵の時だとプロベットに促した。
そして、プロベットは促されるまま挙兵を行い、周到な準備を行っていたこともあり瞬く間に土星を占領する。
チョーは、それを見届けた後、精魂尽きたかのように突然床に倒れ伏し、そのまま目を覚まさなかった。
享年91歳。大往生であった。

彼の遺体は、後にプロベット軍に合流した八卦衆の仲間によって、ダイナスの墓の隣に葬られた。
その墓前には、八卦衆の若かりしころの集合写真と、生前に愛用していたサングラスが備えられているという。


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