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  • 想いは一つも届かない

ラノベ・ロワイアル @ wiki

想いは一つも届かない

最終更新:2007年11月26日 13:49

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だれでも歓迎! 編集

第526話:想いは一つも届かない 作:◆eUaeu3dols



(さて、ヘルメットを作らないとな)
セルティは影を練り始めた。
首の断面から溢れる影が、首の上で徐々に固まり始める。
このゲーム内では“制限”のせいか、影で何かを作る度に激しく消耗する。
しかし今回は、以前にサイドカーを作った時に比べれば1割にも満たない体積だ。
当然、ヘルメットはすぐに、殆ど消耗もなく作り出された。
(……真っ黒なのは少し残念だな)
なんというか、お洒落ではない。
ただ、それでも周囲の感想を上げるなら。
「……なんだか可愛いですね、セルティさん」
志摩子の評した通り、それはどことなく可愛らしく見えた。

なにせ、ネコミミ付きなのだから。

これがセルティのデフォルトだ。
普段は影製ではないヘルメットを使っている。
今回の影で作った物は真っ黒で、その事は大分不満がある。
『ああ、可愛いだろう』
それでも、メモで返事をするセルティはちょっと嬉しそうだった。

セルティは以前にも影でヘルメットを作った事が有った。
(静雄に被らせた事も有ったな)
それは別に猫耳ヘルメットではなかったが。
彼の顔を隠したのはいざこざが起こらないようにするためだった。
もっとも、静雄はガンを付けられたのにキレてあっさり騒動を起こしたのだが。
(まったく、あいつは血の気が多すぎる)
この島でもきっとそれは変わらないだろう。
60名も上げられた死者の名の中に、静雄が殺した物が混じってなければ良いのだが……
(また、何処かで喧嘩しているだろうしな)


     * * *


マンションから東南東にある港町。青年と少女が睨み合っていた。
呆然と、あるいは明確に、殺意を向け合って。
「ああそうかい、てめえはそいつの仲間なんだな」
静雄は、シャナが呆然としながらも得物を構えたのを見た。
静雄はデイパックを地面に降ろす。
「保胤っていう野郎の仲間なんだな」
「仲間……もう、私の方からそんな事は言えない」
シャナは掠れた声で返事を返す。
「でも……あの人達は傷つけさせない」
「ああそうかなら殺す」
槍の振り下ろしがシャナを襲った。
「――っ」
殆ど予備動作の無い無造作な力任せの一撃。
だがそれは圧倒的暴力に裏打ちされた予測できない高速の一撃だった。
それでもシャナはかわしきる。
暴力は止まらない。
続けざまに放たれた連撃が旅館の庭木を叩き折り。
木の塀が障子のように引き裂かれる。
大地が穿たれ倒れてきた庭木が弾け跳び庭石が砕け散る。
石灯籠が叩き割られる。
「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す――!」
(なんて怪力!?)
シャナは驚愕する。
目の前に居るのは人間のはずだ。
その外見からすればこんな怪力が有り得るはずはない。
フレイムヘイズのように超自然的力で肉体を強化しているわけでもない。
それでも目の前にある理不尽な力を否定する事は出来ない。

蹴り飛ばされた庭石を避ける。
叩き割られた庭木の破片を振り払う。
木の塀を引き裂きながら全く速度の落ちない薙払いがシャナに迫る。
だが――
本来、シャナは自らの肉体強化にほぼ特化したフレイムヘイズだ。
坂井悠二と出会うまではろくに炎を操る事さえ出来なかった。
その分だけ肉体能力に秀でていた。
しかしそれも制限で抑えられていた。
一方、静雄の圧倒的暴力はあくまで生物学的限界を突破した物理的限界に過ぎない。
そのため殆ど制限を受ける事がなかった。
制限下において言えば静雄はシャナを上回る驚異的肉体能力を持っていたのだ。
それに対するシャナは坂井悠二のおかげで制御しえた炎の力を使いこなし、
静雄を上回る戦闘経験と得物への慣れで戦いを制する。
そんな、シャナが僅かに優性した程度の拮抗した戦いになるはずだった。
だが――

シャナの握る刃は静雄の暴力を真っ向から受け止めた。

「なんだと……?」
静雄が僅かに驚く。自らの全力を受け止めた少女に。
シャナは気づいた。
(私は負けない)
払いのけ、刃を振り下ろした。
静雄は受け止め――ずしりと足が沈み込むのを感じた。
「チィッ!」
鋼の如き肉体はその衝撃に耐えれても濡れた土壌が耐えきれない。
沈み込んだ右足を抜きそのまま蹴りを放つ。
シャナの左腕がそれを受け止めた。
静雄は左腕で拳を放つ。
シャナの額がそれを受け止めた。
シャナは右手の贄殿遮那を払い上げ、静雄が右手だけで持った槍を払い除ける。
互いに軽く距離を取る。
シャナは確信した。
――負ける事は有り得ない。
静雄が一歩踏み込んだ。シャナは残りの距離を全て詰めた。
静雄の槍をシャナの刀が弾き飛ばした。
静雄が右腕で殴りかかる。左腕で殴りつける。
シャナは右拳を受け止めた。左拳も受け止めた。
「殺す!」
頭突き――!
「あぐっ」
流石に目の前に星が飛び――お返しに受け止めた両腕を力いっぱい握り潰した!
「ガアアアアァッ!!」
静雄は激痛に咆哮を上げ、更に全力の頭突きを叩き込んだ!
まるでボーリングの球同士をぶつけたような重い音と共に両者は弾かれた。

シャナは感じていた。
痛みは有る。ダメージは無いわけじゃない。だけどそれでも……
シャナは難なく立ち上がった。
痛みはすぐに消えた。目眩も殆ど無かった。

静雄もすぐに立ち上がる。立ち上がろうとした。
それなのにその足がふらつく。視界が揺れる。
脳が揺れる。
「くそったれ……」
俺の体は何をしている。
力だけは殺す殺す有り殺す余って殺す殺すいる殺す俺殺すの体殺すは殺すどうし殺すた。
殺す殺す殺すくそ殺す殺殺すす殺すぞ殺す殺す殺す殺す殺す――
「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す……」
殺意に塗りつぶされた思考が体を起動して行く。
やがて静雄も立ち上がる。限りなく危険を増していく憤怒と殺意を薪にして。
そして骨すら飛び出る程に壊れた両手で庭木の一本を掴み取る。
自らの筋肉を破損させる破滅的な力み。
全身の傷から吹き出た血がバーテン服を真っ赤に染める。
筋肉の千切れる音がする。神経を引き裂く音がする。
それは、あっさりと為された。
目の前でぼごりと音を立て、土の絡みついた根っ子ごと樹木が引き抜かれる。
それを見てシャナは強烈な寒気と一つの確信を固めていった。
(こいつは尋常じゃない)
もう宝具の槍だって弾き飛ばした。腕は半ば破損した。
なのにあろう事か信じがたい怪力で樹を引き抜いて武器にした。
(こいつは人間じゃない)
目の前の人間は人間であって人間じゃない。
あんな力を出せる人間が居るものか。
あんな殺意を放つ人間が人間であるものか。
(どんな力を使ってでも……倒さなきゃ、いけない)
目の前の人間の形をしたものは敵だ。
もう殺さなければ止まらない。
傷を付けて血をぶちまけて死ななければ止まらない。
そうだその内の血をぶちまけろ赤い血を赤い赤い赤い赤い血をぶち撒き散らして――

「殺す!!」
「死ね!!」

――激突。


     * * *


(……よし、こんなものか)
セルティは影で作ったヘルメットを微調整し、具合を確かめる。
静雄の事は気にはなったが、命の心配はしていなかった。
確かに静雄は無敵ではない。
不意を突かれたとはいえ、たかだか拳銃に結構なダメージを受けた事がある。
心臓を撃たれれば死ぬだろう。
蜂の巣にされれば確実に死ぬだろう。
車で轢かれれば……それは大丈夫かもしれない。
それでもその肉体の強度だって、例えば竜堂終という少年の方が強い。
弱点となる器官が存在しないセルティの方がタフだ。
それでもセルティは静雄に喧嘩で勝てる気がしなかった。
たとえ戦いになっても、静雄なら相手を叩きのめすだろうと信じていた。


     * * *


咆哮も悲鳴も轟音に掻き消された。
樹木が砕け散る音。旅館の壁が砕ける音。猛火が火花を散らす音。
互いに自らの叫びすら聞こえない無音の絶叫。
シャナは猛速で投げつけられた樹木を叩き斬り、焼き払い、炎を撒き散らした。
衝撃を止めきれずに吹き飛ばされるも完全に受け身を取っていた。
それだけだった。
逆に静雄の被害は甚大だった。
本来超えられない限界を常に超えて肥大し続けた暴力の行使に耐える奇跡の肉体。
その肉体が悲鳴を上げていた。
更にシャナが樹木を叩ききった業火の剣の余波が静雄の全身に酷い火傷を作り出す。
蛋白質の焦げる匂いがべとついた空気と共に広がり始めている。
「殺す…………殺……す……殺…………す殺……す…………」
立ち続けるその体は傍目から見てもとっくに限界を超えている。
そもそも彼が戦い始めたその時から、動ける容態ではなかったのだ。
絶対安静のはずの肉体が膨れ上がる殺意に呑まれ動き続ける。
だがそれもここまで。
シャナはトドメを刺すために歩み寄る。
殺す為にと考えて。啜る為にと体が語る。
しかし――
「…………?」
何かを、踏みつけた。
足下にはデイパックが転がっていた。
自分の物ではない、多分目の前の青年の物だろう。
そこから転がり出たそれは……
「……十字架?」
「っ! そいつを……返せ…………!!」
静雄が呻く。
「そいつを、踏むなんざ……許さねえ! おまえは……殺すぞ!」
その呻き声は殺意と怒りに満ちていて、だけど僅かな、ほんの微かな悲しい嘆きを感じた。
「これは……何……?」
だからそれを拾い上げて、問うた。シャナは興味を持った。
静雄は叫んだ。
「由乃のロザリオだ!」



それは短い平穏の時間だった。
静雄はセルティの事を話した。
他に知り合いは居ないのかと聞かれてイザヤの事もムカツク奴とだけ話した。
悪戯っぽくからかわれて反射的に怒りに駆られ、暴力を振るった。
……擦り抜けた。
「怒らせてごめんなさい!
 お詫びに……そうだ、今度は私の友達の話をしてあげるね」
由乃は驚いただけで怖がらず、謝って自分の話をし始めた。
福沢祐巳の事。藤堂志摩子の事。佐藤聖の事。
……死んでしまった小笠原祥子の事。キーリという少女の事。
この世界に来ていない、彼女の大切なお姉様の令ちゃんの事。
他人の友達の話なんて興味が無かった。
だけど友達の友達の話なら無いわけじゃなかった。
殺されてしまった身なのに。
無くしてしまった、無くしてしまいそうな友達の話なのに。
由乃は努めて笑顔で、どんな事が楽しかったか、どんな事が嬉しかったかを話して聞かせた。
「おまえ、なんでそんなに…………」
そんなに笑うことが出来るのか。言い終わらずとも伝わった。
由乃は笑顔で答えた。
「…………だって、この島は酷い所だから」
「この島は酷い所だから、きっと祐巳さんも、志摩子さんも、聖さまも、
 生きてはいても痛い目や辛い目に遭ったり、とても悲しい想いを感じてるだろうから」
「だから私の事くらい、ちょっとでも優しい話にしたいかなあって思うの。
 令ちゃんほどじゃないけど祐巳さんも泣き虫だもの。
 ……静雄さんも笑ってよ。私の話、そんなにつまらなかった?」
涙を零しながら必死に笑顔を作っていた由乃を、友達に会わす事すらしてやれなかった。
あんなにも優しい想いは実らなかった。
せっかく与えられた時間は誰にも届かなかった。



「殺す!」
だから許せなかった。
「平安野郎のせいで由乃がどれだけ苦しんだ!? 殺すぞ!
 命を弄んで苦しめやがってふざけるな殺す!
 百編殺してやる反省させて後悔させて殺す!
 偽善っぷりが許せねえから殺す! 殺して殺す!! 死なせてから殺す!!!」
その叫びは支離滅裂だ。
だけどシャナにも一つだけは伝わった。
目の前の男は保胤が哀れに思い気遣った少女の為に怒っている。
保胤の同情が彼女を傷つけたのだと怒っている。
誰かの為に、絆の為に怒っている!
それだけは、間違いない。

「……殺しちゃ、いけない」
彼に言った言葉ではない。
彼に言っても届かない。
だからこれは自分に言い聞かせる言葉だ。
「こいつを殺しちゃ、いけない」
どうしてか。
どうしてそう思うのか。
どうしてそう考えられるのか。
どうしてわたしは血に飢えて狂ってはいないのか。
わからない。
それでも。
「おまえは殺さない。みんなの所に連れていって……治療させる。
 だけど、保胤に手は出させない」
「ふざけんなよテメェ」
静雄は二本目と、三本目の庭木を引き抜いていた。
凄まじい握力で握り潰している幹の一部が『握り』となってそれを保持する。
「平安野郎は俺がぶっ殺す」
激しすぎる怒りと怒りの合間にある、ほんの僅かな、激しいけれど静かな怒りの時間。
静雄は本当に珍しく、静かに怒っていた。
「命を弄ぶような奴なんだ。
 どうせセルティの事だって、化け物だと思って利用してるに決まってる」

保胤はそんな人じゃないと言おうとして……シャナはふと気づいた。
この男は何者だ?
保胤を知っているのは幽霊であった由乃という少女に聞いたのだろう。
それならセルティの事も? そうなのかもしれない。
だけど、まさか……もしかして……
「おまえ、名前は?」
その問いに、目の前の男は名乗った。
「――平和島静雄」
セルティの友の名を。


     * * *


(まあそもそも、喧嘩が起きないのが最善だけどな。
 なによりこの島じゃ喧嘩で止まらず殺し合いになってしまうだろうし)
ここは池袋とは違う。
たった18時間の間に120人近い人口が半減してしまう悪夢の島だ。
静雄の喧嘩は派手で、激しく、豪快でさっぱりしていて……かっこいい。
だけどこの島の喧嘩は喧嘩で止まってはくれないだろう。
だから、戦いの火種は一つでも減らさないといけない。
(そういう意味じゃ、さっさとヘルメットを作っておくべきだったな)
シャナに初めて会った時、彼女に人喰いの怪物だと誤認されてしまった。
咄嗟の斬撃はなんとか凌ぐ事が出来たし誤解もすぐに解けた。
その後もシャナは話しかけづらそうにしていたが、その程度だ。
……その程度でさえ、シャナを追いつめる一端になっていたのかもしれないけれど。
(でも、あの子は何もわるくない)


     * * *


息を呑むシャナの目前で、平和島静雄の静かな時間は終わる。
「ああもう、うるせぇ。殺す。殺す、殺す、殺す殺す殺す殺す殺す!!!」
噴出する憤怒と殺意が暴発する。
「テメェもブッ殺す!」
静雄は叫ぶ!
再び突撃を開始する。二本もの樹木を武器にして!
「おまえは、殺さない!」
シャナは叫ぶ!
そして走り出す、炎の翼でこれまで以上に加速して!
間合いの外から振り下ろされる左手の樹木。
外れ? いやこれはさっきと同じ――
(投擲!)
視界いっぱいに広がる樹木を前に、シャナは炎を纏わせた贄殿遮那を、振り下ろした!
衝撃が土塊の絡まる根っ子を割り砕く。
高熱が樹木の幹を完全に燃やし尽くす。
業火が爆発し残骸を消し飛ばす。
炎の先から見える視界は……
(二本目!)
「殺す!」
静雄は両手で握り締めた二本目の樹木を振り下ろす!
隙のない攻撃に対しシャナは、炎の翼を強くはためかせた。
上へ、ではなく……前に!
フレイムヘイズと吸血鬼の、赤と紅の力が混ざり、更に速く、速く――!
「これで……」
樹木が地面を叩いた瞬間、懐に飛び込んだ小柄な少女は刀の峰を叩きつけていた。
「止まれぇ!」
「テメ……ェ………………」
静雄の肺から空気が押し出され足が地面を離れ宙に浮いて。
静雄は吹き飛ばされ、地面を転がっていった。
重要器官を潰さず、肋骨も折らず。
ただ戦う力だけを根こそぎにへし折られて。


     * * *


(あの子は何もわるくない)
本来、首が無い彼女に落ち着いて接する事が出来た保胤や、
驚いても落ち着いて話し合える状況にあった他の者達の方が貴重なのだ。
そしてシャナは、坂井悠二を弔うセルティ達から逃げる時にその心を教えてくれた。
直撃しても骨も折れなかっただろう、ただ距離を取る為の峰打ち。
心の余裕は無くなっているかもしれない。だけど。
(それでも、あの子はわるい子じゃないな)
だから今は何処かで吸血鬼化に悩まされているシャナも、親友である平和島静雄も。
二人とも、誰とも争わず、誰も殺さずに……生き延びて欲しい。
ただ、そう願っていた。


     * * *


(クソッタレ……)
静雄は思う。
何処かで、何かを、間違えていた。
それは判る。だけど……どこだ?
由乃の為に平安野郎に怒りを感じた事か?
目の前に現れたその仲間に怒り問いつめた事か?
戦ったことか? それとも。

怒りに流されちまうテメェ自身か?

(ハッ、それが一番……だな…………殺……す…………)

――その思いは、叶っていた。



「…………どうして?」
理解できなかった。
平和島静雄に致命傷は与えなかった。
殺さないように打撃を加えた。
あの人達の所に連れていく為に。
シャナ自身は気づいていなかったが、悠二の血に潤った吸血鬼の肉体は、
殺意を抑える事を許して力だけをシャナに与えていた。
少女は自らの全てを制御して、自らの意志で選択する事ができた。
全てが良い方に回っていた。
(だからわたしは彼を殺さなかった)
……はずなのに。
そのはずなのに!
「……どうして?」
理由は、明白だった。

吹き飛ばされ転がった平和島静雄は、それでもよろよろと立ち上がろうとした。
だけど、その体に…………“刻印が浮かび上がった”。
彼は全身から血を吹き出して魂さえも失って死んで壊れて徹底的に終わって、倒れた。

平和島静雄は、死んだ。


静雄は怒りに我を忘れて、その事を思い出せなかった。
シャナは悲しみに暮れて、間違いなく耳にしていたその事を覚えておけなかった。

『次に禁止エリアを発表する。
 19:00にC-8、21:00にA-3、23:00にD-6が禁止エリアとなる』

ここはD-8エリアの北端。
だけど静雄が吹き飛ばされたあそこはC-8エリアの南端で。
19時はとっくに過ぎていた。

平和島静雄は、死んだ。シャナの手によって。

「どうして!!」

殺すまいとしたのに!
彼を生かそうとしたのに!
それなのに、それなのに……どうして!!


世界の残酷は止まらない。



【037 平和島静雄 死亡】
【残り 53人】



【C-6/マンション/1日目・20:25】
【大集団】
【セルティ・ストゥルルソン】
[状態]:平常
[装備]:黒いライダースーツ&影のヘルメット
[道具]:携帯電話
[思考]:静雄の捜索及び味方になる者の捜索/静雄とシャナが心配


【D-8/旅館の前の道路/1日目・20:25】
【シャナ】
[状態]:吸血鬼(身体能力向上)/ダメージ軽微
[装備]:贄殿遮那
[道具]:支給品一式(パン6食分・水2000ml)
    /悠二の血に濡れたメロンパン4個&保存食3食分/濡れていない保存食2食分/眠気覚ましガム
    /悠二のレポートその2(大雑把な日記形式)/由乃のロザリオ
[思考]:………………。
[備考]:体内に散弾片が残っている。
    手術で摘出するまで激しい運動や衝撃で内臓を傷つける危険有り。
    ただし吸血鬼の再生能力と相まって高速で再生する。

神鉄如意がD-8側に転がっています。
静雄の死体はC-8の南端に転がっています。


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第525話 第526話 第527話
第525話 時系列順 第570話
第525話 セルティ 第529話
第518話 平和島静雄 -
第518話 シャナ 第527話



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