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  • 殺戮島事件

ラノベ・ロワイアル @ wiki

殺戮島事件

最終更新:2007年11月19日 12:02

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だれでも歓迎! 編集

第533話:殺戮島事件 作:◆5KqBC89beU



 事態は緊迫しており、状況は最悪に近かった。
「これから問うことに答えろ。拒むなら今すぐ殺す」
 EDの眼前にいる人物が──肉体のあちこちを欠損させた男が、EDの喉元に銀色の
糸を巻き付けながら、静かに告げる。“答えれば殺さない”とは言わなかった。
 厳かな声が、鋭い眼光が、不可蝕の細い糸が──そのすべてが殺意を滲ませている。
 逃走は不可能だ、とEDは瞬時に断定した。
 諦めたというわけではない。ただ事実を正確に認識しただけだ。
(最善の結末は“彼が僕らと手を組む”、最悪の結末は“怒った彼が僕を殺して灯台へ
 向かう”、といったところか。最善の結末は期待できないかもしれないな)
 現在地はA-8、島の北東の最果てだ。EDたちの拠点である灯台はすぐ近くにある。
(せめて次善の結末を掴み取らねばならない。是が非でも、彼を灯台へは行かせない)
 今ここでEDがしくじった場合、ED一人が死ぬだけでは済まないかもしれない。
 失敗は決して許されない。
 自分を殺そうとしている相手の眼を、EDは真っ直ぐに見た。


○


 仮面の男を睨みつけながら、ウルペンは不可解な思いを抱いていた。
(何故、こいつは動じない?)
 数多くの敵を見てきた経験と観察眼が、“この男には武力がない”と判じている。
 見たところ、致命的な現状を理解できていない、というわけではなさそうだ。
 武器を持っている様子も、精神を病んでいる様子もない。起死回生の秘技を隠して
いそうにも見えない。もしも奥の手があったとしても、念糸を結びつけ終わった時点で
ウルペンの方が有利だ。念糸が効力を発揮するまでにやれることなどそう多くはない。
 それなのに、相手はまったく臆さない。
 ほんの少しだけ念糸に意思が込められ、獲物の喉から水分をわずかに消した。
 仮面の男は念糸を一瞥し、相変わらず平静を保ち続けた。
 ゆっくりと、非力そうな両手が挙げられる。明らかに攻撃の予兆ではなかった。
「逆らう気も逃げる気もありませんし、抵抗できるような能力や道具もありません。
 脅しても脅さなくても同じですから、乾かすのは最後だけにしてくれませんか」
 常人だとは思えないような、風変わりな発言が聞こえてきた。
 絶望のあまり開き直っているような醜態ではなく、ごく普通の話を当たり前に語って
みせたと言わんばかりの雰囲気だ。死を覚悟した者に特有の悲愴感など漂っていない。
 あまりにも異様だった。
「では、いくらでも質問してください。答えを信じるかどうかは好きなように判断して
 いいですよ。さぁ、どうぞ、ウルペンさん」
 初対面だというのに、仮面の男はウルペンの名前を知っていた。
(こいつは何者だ? 誰から俺の名を聞いた? いったい何を考えている?)
 仮面の男を凝視して、ウルペンは戸惑う。
 名前を呼ばれた以上、もう“何者でもない黒衣の怪物”を気取ることさえできない。
(まさか)
 そして、疑念が不意に生まれた。
「契約者か?」
 殺したと思っていたのに平然と生きていた青年の顔が、ウルペンの頭をよぎる。
「お前もアマワに選ばれたのか?」
 つぶやきが口から漏れる。
 もしも“自分は絶対に死なない”という確信があるなら、この窮地においても普段と
大差ないような言動になるはずだった。


○


 己の死が間近に迫っている程度のことで、EDの探求心は消え失せたりなどしない。
 この『ゲーム』の謎に関わるかもしれない情報があるなら放っておく手はなかった。
(容貌と能力の特徴、それに、さっきの反応……彼がウルペンなのは間違いないな)
 子爵がハーヴェイから聞いた情報は、当然ながらEDも知っている。
 相手の名を呼ぶのは、交渉術の基本だ。それは、“あなたを確かに認識しています”
という暗示を与えて信頼感を植えつけるための布石なのだから。
 例え唾棄すべき人物が相手でも、必要ならEDは懐柔しようとする。たった一人の
参加者しか生き残れなくなるくらいなら、殺人者と手を組んででも『ゲーム』の打破を
目指して足掻く。
(彼は少なくとも一人を殺し、その後で左腕を奪われるほどの激戦を生き残っている。
 ……悪化してはいるのかもしれないが、根本的な傾向は変わっていないのだろうな。
 殺すことに慣れていないと、あそこまで殺気が似合うようにはならない。この島に
 連れてこられる以前から、彼は殺人者だったに違いない)
 傷ついた危険人物は、手負いの獣のように厄介な相手だ。和解は非常に難しい。
 友好的に、冷静に、できるだけ刺激しないように言葉を選んで話しかけて、それでも
上手くいくという保証はなかった。
(契約者、か……それは何と契約した者だ? アマワというのが契約の相手か?)
 参加者名簿の中に、アマワという名は記されていない。EDが他の参加者たちから
教わった情報の中にも、その名はない。
(では、アマワは『ゲーム』の外側にいるのか?)
 参加者の別称や通称だという可能性も一応あるが、ウルペンの様子からして尊称では
なさそうだ。ウルペンは、ひどく忌々しげにアマワの名を呼んでいた。
(どう頑張っても、僕が彼を力ずくで殺すことはできない。それは彼も理解している。
 敵の力量が判らないほどウルペンは愚かではない。しかし、それでも彼は驚いた。
 アマワと契約した者ならば、戦闘能力がなくても注視すべきだと見なされるらしい)
 圧倒的に有利な状況で殺人者が動揺するような理由など、限られている。
(心情的には格上の者として扱いたくないが、能力的には上だと認めざるをえない――
 ウルペンにとってのアマワはそういう存在のはず。これだけの殺意と殺傷力とを持つ
 強者が警戒するような相手か……)
 実際にウルペンがアマワを殺せるかどうかは問題ではない。“自分の力ではアマワを
殺せないのではないか”とウルペンが考えていること、その一点が重要だ。
(アマワが主催者側に属する者なら、こんな風に恐れられていてもおかしくはないな)
 予想していなかったと言えば嘘になる。
 主催者側が『ゲーム』に何らかの介入をしている可能性は高い。そうとでも考えない
限り、たった18時間のうちに60名も死んでいるという情報は受け入れ難い。
 少し前に、EDは盟友たちに仮説を語った。“一部の参加者たちを主催者側が直々に
殺して回っているのではないか”という想像を非合理的だという理由で一蹴し、“参加
していない人物を参加者であるかのように扱い、知人と再会できないまま死んだという
ことにして、参加者を自暴自棄にさせようとしたのではないか”、と。
 詭弁だった。
 可能性の一つとしては充分にありえることだろう。しかし、EDが一蹴してみせた
想像の方が、ひょっとしたら正解なのかもしれなかった。
 この『ゲーム』の目的が遊戯や実験や儀式だと仮定するなら、一見すると無駄にしか
思えないようなことをされていてもおかしくはなかった。
 合理的か否かは、真実を見極めるための根拠にはならない。
 無論、“主催者側が一部の参加者と接触し、殺人の手助けになるようなことをした”
という事態もありえなくはない。主催者側が一枚岩であるという確証はないのだから、
例えば、“複数の派閥がそれぞれ別の参加者に金か何かを賭けていて、肩入れしている
参加者を優勝させようと各派閥が暗躍している”と考えることもできる。
(契約者とは、人殺しを躊躇しない代わりに主催者側の助力を得た参加者のことか?
 そうだとすれば、僕を契約者だと思い込ませておいた方が好都合だな)
 どうとでも解釈できる曖昧な言動を続け、バレるおそれがあるような嘘はつかずに、
ウルペンの思考を誘導して上手く誤解させる――それ以外に方法はない。
 挙げていた両腕を徐々に下ろし、身振り手振りも交えてEDは言う。
「主催者側の掌の上で踊らされているかどうか、ということならば、それを承知の上で
 僕は踊っているつもりです。ああ、そういえば自己紹介がまだでしたね。僕の名は
 エドワース・シーズワークス・マークウィッスルといいます」
 軽く会釈し、改めて視線を合わせる。
「EDと呼んでください」
 そう告げて、深読みさせるために微笑んでみせた。


○


 ウルペンは苛立たしげに顔をしかめる。
(この出会いも……この『偶然』もアマワの思惑通りなのか?)
 冷静すぎるEDの態度は、どうにも薄気味悪い。
(あの仮面の下には、本当に人間の顔が存在しているのか?)
 そんなことまで頭の片隅で考え始めてしまう。
 今もどこからか見ているに違いない精霊を、ウルペンは胸中で罵った。
(アマワめ……! どこまで俺を弄ぶつもりだ……!)
 混乱を煽るように、EDが飄々と語りかけてくる。
「さて、ウルペンさん、他に何か訊きたいことはありますか?」
 次の瞬間には殺されるかもしれないというのに、声はまったく震えていない。
(やはり、この男も契約者なのか?)
 自問するたびに、疑念は少しずつ膨らんでいく。
 アマワの考えていることなど、ウルペンには理解できない。理解するつもりもない。
だからこそ、ウルペンは、契約者が増え続けていたとしても不自然だとは思わない。
 御遣いの身勝手さを知るが故に、きっとEDは契約者なのだという気がしてくる。
「遠慮はいりません。同じ境遇の者として、僕は、できる限りの力添えをしますよ」
 EDの言葉を耳にして、ウルペンの疑念はより大きく成長していく。 


○


 どんなに小さな手掛かりでも、EDは見逃さない。
 表情の変動、呼吸の緩急、些細な仕草、そのどれもが心理の投影だ。
 ついさっき“同じ境遇の者”とEDが言ったとき、ウルペンの態度に表れた変化は、
非常に穏やかなものだった。あの発言に関して、ウルペンは反感を抱いていない。
(彼にとっての“自分と同じ境遇の者”とは、契約者のことか)
 ウルペン自身は契約者ではなく、契約者から情報を引き出しただけの一般参加者だ、
という可能性はない――そうEDは結論する。
 相手のことを正しく知らねば、情に訴えて連帯感を意識させることなどできない。
 ウルペンが契約者ではなかったなら、同じ『ゲーム』の参加者だという立場で会話を
続けるべきだったが、そうする必要はなくなった。“僕も契約者だからこそ、同じく
契約者であるウルペンさんの気持ちはよく判ります”という演技で接するべきだ。
「お前は……」
 ウルペンが沈黙を破った。
「チサトという女を知っているか?」
 驚愕は一瞬、逡巡も一瞬、そして決断も一瞬だった。
「ああ、風見さんのことですね。会いましたよ」
「何だと……!?」
 EDの返事を聞いて、ウルペンは隻眼を大きく見開いた。


○


 EDがチサトを知っていたとしても、それは驚くほどのことではなかった。
 この島にはアマワがいる。この程度の『偶然』ならば、よくあることだ。
(ガザミ・チサトではなかったのか……!)
 ウルペンの動揺をどう解釈したのか、EDはさらに言葉を重ねていく。
「髪の長さは肩のあたりまで。年齢は十代後半。太りすぎても痩せすぎてもいない。
 身長はこれくらいの高さ。僕が会った彼女は、そういう姿でした」
 まったく知らない人物について語っているとは思えないほど細かい情報だった。
 チサトの外見についてウルペンは何も知らなかったが、本当なのだろうと判断した。
反射的に「お前はチサトの仲間なのか?」と尋ねかけて、やめる。そんなことを相手に
訊いても、否定以外の答えは返ってこないだろうと気づいたからだ。仲間でないならば
当然「違います」と言うだろうし、仲間だったが裏切ったという場合も「違います」と
言うはずだった。実は仲間だがそうではないように見せかけたいのだとすれば、答えは
「違います」に決まっている。どういう理由で言った「違います」なのか、聞けば判る
と思うほど、ウルペンは交渉術に長けていないし自信過剰でもない。
「僕としては仲間になりたかったのですが、彼女は僕を完全には信用してくれません
 でした。まぁ、こんな状況ですから、初対面の相手を疑うのは当たり前ですよね。
 彼女にとっての僕は、敵ではないけれど仲間でもない人物といったところでしょう」
 まるでウルペンの頭の中を覗いたかのように語り、EDは苦笑してみせた。
(これも『偶然』か? いや……思考を読まれている? もしや、マギの使い手か?
 この男はマグスなのか?)
 相手がマグスだとするならば、隙を見せるわけにはいかない。マギは弱い力だが、
だからといってマグスが無力だということにはならない。
 ウルペンは、鬱陶しげに歯噛みする。


○


 あえて“仲間になろうとしていた”と教えたのは、説得力を増すための策だ。自分に
とって不利になるような情報を伝えることで、“僕は何でも正直に言いますよ”という
様子を見せ、“こいつは嘘をつかない”と相手に錯覚させることが目的だった。
 無論、風見を裏切るつもりなどEDには微塵もない。
「風見さんと出会った場所について、ここで説明しましょうか? それとも、その場所
 まで案内しましょうか? ウルペンさんは、どちらの方がいいですか?」
 わざわざ選択肢を二つだけ用意して、どちらか片方を選ぶように仕向ける。
 こうすると“自分の意思でどうするのか決めた”と思い込ませることができる上に、
“EDの話を無視して灯台へ向かう”という選択肢をさりげなく排除できる。
 風見がウルペンの仲間だとは、少しもEDは考えていない。仮面の下にある両眼は、
節穴でも飾りでもなかった。
(おそらく、風見さんの仲間と接触したときに名前を聞いて興味を持った、というのが
 彼女を捜す動機だろう。彼は会えば殺すつもりだ。間違いない)
 このまま地下通路に誘導すれば、とりあえずウルペンを灯台から遠ざけられる。地下
通路の存在を殺人者に知られるのは少し厄介だが、背に腹は代えられない。ウルペンが
どこでどんな情報を入手しているか判らない以上、下手に嘘をつくわけにはいかない。
(彼と我々との共存は、諦めるしかないようだな。こうなったら、いっそのこと……)
 打算を胸に秘めたまま、EDはにこやかに微笑し続ける。


○


「この中です」
 そう言って、EDが懐中電灯で照らした先には、地面に四角く開いた穴があった。
 B-7にある地下通路の出入口だ。出入口の扉は、外側へ向かって開いていた。
 負傷のせいで方向感覚も距離感も怪しくなっていたため、ウルペンはEDに道案内を
させて、この場所へ来た。
(本当にチサトがここにいたというならば、ここを起点として行き先を決めればいい。
 だが、もしもチサトがここを訪れていなかったとすれば、それは何を意味する?)
 地下へと続く階段を前にして、ウルペンは足を止める。
 肩越しに、EDの仮面がウルペンの方を向いた。
(この男が契約者だとするなら、ここは、決闘のために整えられた舞台ではないのか?
 ここでなら、『偶然』に妨害されることなく殺し合えるということではないのか?)
 ほんのわずかに、ウルペンは笑った。
(そうだとすれば、むしろ望むところだ)
 鬼気迫る笑みを、EDが無言で見つめている。
「先に入れ」
「はい」
 ウルペンの命令に従い、EDは階段を降り始めた。少し離れて、ウルペンはその背を
追う。淡い光を階段そのものが発しており、足を踏み外す心配はなさそうだった。
 階段が途切れた先では、通路が左右に延びている。階段と同じく淡い光を発している
以外には何の変哲もない、ただの通路だ。階段から遠ざかるほど光は薄くなっていき、
通路の奥は闇に隠されて見えない。
 地下通路は静かだった。どうやら、ここにはEDとウルペンしかいないらしい。
「第三回放送の少し前、ここで、僕は風見さんに会いました。僕はあちらから、彼女は
 こちらから、それぞれここへ来たわけです」
 懐中電灯を片手に、EDは証言を続ける。
「いろいろありましたが、双方とも無益な争いを避けたがっていましたから、平和的に
 解決できましたよ。それから、僕は地上に出ました。風見さんは地下から出ようとは
 しませんでした」
「……話はそれで終わりか?」
 無表情に、ウルペンは問う。
「あ、そうだ、地下の地図を見せましょうか? こんなこともあろうかと、僕が調べて
 あらかじめ描いておいたものですが」
「見せてみろ」
 大袈裟に手を叩いて提案するEDに対し、ウルペンは冷ややかに応じた。
「はい、どうぞ」
 出入口を表す×印と、通路を示す直線や曲線――それだけで構成された地下地図が、
デイパックから取り出された。
「ちなみに、現在地はB-7です」
 そう言いながら、地下地図の右上に位置する×印をEDは指さす。
「欲しければ、これは持っていってください」
 地下地図を差し出し、EDは口を閉ざした。もう言いたいことは全部言ったらしい。
(手足の一本でも乾かして骨と皮だけにしてやれば、もっと話を聞けるか?)
 無表情のまま、ウルペンは物騒なことを検討する。
 相手が契約者だとしても、殺さずに苦しめることは容易だ。
(いや……この手の変人は拷問しても口を割らない。これ以上の情報は引き出せまい。
 もはや、問うべきことは一つしか残っていない)
 ここには余計なものがない。邪魔者が現れそうな気配もない。
 今、この場所でなら、契約者同士の殺し合いでさえも可能かもしれない。
「最後の質問だ」
 決別の意思を視線に込めて、ウルペンは宣言する。
「お前に、確かなものは……信じるに足るものはあるか?」
 妄執の色に染まった声が、地下通路に反響した。


○


 ウルペンの眼を見て、EDは悟る。
(やはり、僕は殺されるようだ)
 途中でウルペン以外の参加者と遭遇できていれば結末は違っていたかもしれないが、
とうとう二人は誰とも出会わなかった。
(やり残したことは多いが……こればかりは、どうしようもないな)
 既にEDの死は確定している。
 だからこそ、本心を偽ることなく答えようとEDは決めた。
「この島に、友がいます。幼い頃から知っている友も、今日初めて出会った友も」
 つまらない答えだと言わんばかりの口調で、ウルペンは吐き捨てる。
「それが、お前にとっての確かなものか?」
 演技ではない苦笑を浮かべて、EDはかぶりを振った。
「いいえ。僕の友は皆、まだまだ成長していける者ばかりです。未完成であるが故に、
 必ずしも素晴らしいものであり続けるとは限りませんね」
 ウルペンの眉間に、しわが寄る。
「ならば、信じるに足るものではないな」
 自分を殺そうとしている相手の眼を、EDは真っ直ぐに見た。
「確かでなければ、信じられないのか」
「な……!」
 EDの言葉が、呆然とするウルペンの耳朶を打つ。
「揺るぎない証拠だとか、誰もが認める判りやすさだとか、そういうものがなければ、
 お前は信じたいものを信じることすらできないのか」
 ウルペンの表情が、怒りと驚きによって歪む。
 哀れむように、蔑むように、深奥を衝く一言を、EDは容赦なく叩きつける。
「未来永劫、お前は何も信じられまい」
 そして、ウルペンの絶叫と同時に、念糸がEDの全身から水分を奪い取っていった。


○


 B-7の地下通路へ続く出入口には扉があり、それは外側に向かって開いていた。
 扉の裏には地下地図の記されたプレートがあるが、ウルペンはそれを見なかった。
 EDがウルペンに見せた地下地図には、方位も座標も縮尺も描かれていなかった。
 故に、地図の向きが正確か否かは、地下の地形を知る者にしか判別できなかった。
 EDが指さした右上の×印は、実はB-7の出入口を意味するものではなかった。
 手描きの地下地図は、恣意的に逆転させられていた。
 右上にあったのは、H-1の出入口を表す×印だった。
 地上には出ず、地下通路を西に進みもせず、逆転した地下地図を頼りにして行き先を
決めたならば、D-7の辺りに出入口があると思い込んだまま、C-8の禁止エリアへ侵入
することになるはずだった。



【092 エドワース・シーズワークス・マークウィッスル(ED) 死亡】
【残り 52人】


【B-7/地下通路/1日目・21:29頃】
【ウルペン】
[状態]:左腕が肩から焼失/疲労/絶望
[装備]:なし
[道具]:支給品一式
[思考]:参加者全員に絶望を。アマワにも絶望を。
[備考]:第二回放送を冒頭しか聞いていません。黒幕はアマワだと認識しています。
    第三回放送を聞いていたかどうかは不明です。
    チサトの姓がカザミだと知り、チサトの容姿についての情報を得ました。

※仮面、支給品一式(パン3食分・水1400ml)、手描きの地下地図、下剤、下痢止め、
 胃薬、花粉症の薬(抗ヒスタミン薬)、青酸カリが、EDの死体と共にあります。
※解熱鎮痛薬、ビタミン剤(マルチビタミン)、睡眠薬は、灯台に残されています。


  • 2007/02/03 修正スレ289

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第559話 時系列順 第529話
第508話 ウルペン 第551話
第521話 ED -



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