第485話:シスコン兄貴の憂鬱 作:◆B.KZUEhlgg
出夢たちとアリュセたちが遭遇してから、既に二時間弱が経過していた。
お互い干渉する気はなかったのだが、外の雨がやむまでは倉庫に留まることにしたのだ。
二組とも目的はあったが、この大雨の中では困難だと判断し、火を囲みながら適当に雑談していた。
「なあ、危険人物の情報交換でもしないか?」
出雲は、たわいない雑談の合間に急にこう切り出した。
「ああ? いいぜ、そっちから言ってくれよ」
出夢は軽く答えると、出雲のほうに向き直った。現在、アリュセと長門は仮眠を取っている。
「わかった。・・・・・・実はよ、アリュセが起きてるときは話したくなかったんだ」
「・・・・・・へえ。そいつの身内でも殺されたのかい?」
出雲は驚いて出夢に詰問する。
「何でわかったんだ?」
「ぎゃはは、職業柄、ってかぁ!? 僕、殺し屋なんだよ。元だけどな」
出雲は殺し屋、と聞いて愕然とする。
「こ、殺し屋?」
(っと、やべえやべえ。せっかくの情報交換が台無しになっちまう)
出夢は、すぐさま冗談だよ、と言おうとした。しかし・・・・・・。
「おおおおおお! 殺人という退廃的な宿命を背負ったロリ! これこそ、これこそ萌だ! ぜひこれを着て真・殺し屋バニーにっ!」
「よし、一時間中二分程使うかな」
バニーを片手に今にも突貫しようとする出雲にすごむ出夢。
「いや、すいませんでした」
「本題に入れよ、危険人物」
外の雨は、既に止んでいる。
お互い干渉する気はなかったのだが、外の雨がやむまでは倉庫に留まることにしたのだ。
二組とも目的はあったが、この大雨の中では困難だと判断し、火を囲みながら適当に雑談していた。
「なあ、危険人物の情報交換でもしないか?」
出雲は、たわいない雑談の合間に急にこう切り出した。
「ああ? いいぜ、そっちから言ってくれよ」
出夢は軽く答えると、出雲のほうに向き直った。現在、アリュセと長門は仮眠を取っている。
「わかった。・・・・・・実はよ、アリュセが起きてるときは話したくなかったんだ」
「・・・・・・へえ。そいつの身内でも殺されたのかい?」
出雲は驚いて出夢に詰問する。
「何でわかったんだ?」
「ぎゃはは、職業柄、ってかぁ!? 僕、殺し屋なんだよ。元だけどな」
出雲は殺し屋、と聞いて愕然とする。
「こ、殺し屋?」
(っと、やべえやべえ。せっかくの情報交換が台無しになっちまう)
出夢は、すぐさま冗談だよ、と言おうとした。しかし・・・・・・。
「おおおおおお! 殺人という退廃的な宿命を背負ったロリ! これこそ、これこそ萌だ! ぜひこれを着て真・殺し屋バニーにっ!」
「よし、一時間中二分程使うかな」
バニーを片手に今にも突貫しようとする出雲にすごむ出夢。
「いや、すいませんでした」
「本題に入れよ、危険人物」
外の雨は、既に止んでいる。
「―――――俺たちが遭遇したのは、まあそんなとこかな」
出雲が話し終わった。危険人物は二人。
一人は、ゲーム開始直後に襲ってきた銃を持つ男。こちらについては何の情報も無い。
そして、もう一人。
「名前はわからねえが、こいつはやばい。黒衣を着てて、妙な糸を使いやがる」
「糸? 曲絃糸か?」
出夢はいつぞや出会った糸遣いを思い出す。彼女は子供で女だったし、このゲームには参加していないが。
「その曲絃糸がどんなものかはしらないが、俺はあの糸を食らって脱水症状になった。たぶん、いーちゃんって奴もな。それで――――――」
「ちょーーーーーッと待て、おにーさん。今なんて言った」
出夢が、急に真面目な顔つきになる。
「ん? その糸を食らうと脱水―――」
「おにーさんはどっかの警部補か? その後だよその後」
「【いーちゃん】と知り合いだったのか」
出雲は、複雑そうな表情をして、言った。
「・・・ぎゃは、死んじまったみてーだな、戯言遣いのおにーさん」
「職業柄、か?」
「まあな。続きを話せよ、おにーさん」
大して動じずに淡々と話す出夢に感心しつつ、出雲は言葉を繋いだ。
「で、アリュセの身内を殺したのもそいつだ」
「身内、ねえ。まさか双子の片割れ? ぎゃははははははっ! んな偶然ねーよなあ!」
「・・・・・・当たりだ」
出夢の笑い声が止まった。
見ると、かなり不機嫌そうな顔をしている。さっきまでへらへらしていたのに、殺気すら感じられる。
「双子の片割れが死んだ、ねぇ。あああーーーーーなんか苛々してきた」
理解不能なことを言いながら俯いた出夢に声をかけられない出雲。
(何で知り合いが死んだことには動じないのに、赤の他人の死にここまで動じる?)
「―――――あなたにも」
突然倉庫の隅から声が聞こえた。アリュセが、起き上がっていた。
「双子の姉妹が、いるんですか?」
一瞬の沈黙。
「―――――ああ、いたよ」
「自慢の、可愛い妹がな」
次の瞬間、耳障りな声が倉庫の中に、そして島内全域に響く。
三回目の放送が、始まった。
出雲が話し終わった。危険人物は二人。
一人は、ゲーム開始直後に襲ってきた銃を持つ男。こちらについては何の情報も無い。
そして、もう一人。
「名前はわからねえが、こいつはやばい。黒衣を着てて、妙な糸を使いやがる」
「糸? 曲絃糸か?」
出夢はいつぞや出会った糸遣いを思い出す。彼女は子供で女だったし、このゲームには参加していないが。
「その曲絃糸がどんなものかはしらないが、俺はあの糸を食らって脱水症状になった。たぶん、いーちゃんって奴もな。それで――――――」
「ちょーーーーーッと待て、おにーさん。今なんて言った」
出夢が、急に真面目な顔つきになる。
「ん? その糸を食らうと脱水―――」
「おにーさんはどっかの警部補か? その後だよその後」
「【いーちゃん】と知り合いだったのか」
出雲は、複雑そうな表情をして、言った。
「・・・ぎゃは、死んじまったみてーだな、戯言遣いのおにーさん」
「職業柄、か?」
「まあな。続きを話せよ、おにーさん」
大して動じずに淡々と話す出夢に感心しつつ、出雲は言葉を繋いだ。
「で、アリュセの身内を殺したのもそいつだ」
「身内、ねえ。まさか双子の片割れ? ぎゃははははははっ! んな偶然ねーよなあ!」
「・・・・・・当たりだ」
出夢の笑い声が止まった。
見ると、かなり不機嫌そうな顔をしている。さっきまでへらへらしていたのに、殺気すら感じられる。
「双子の片割れが死んだ、ねぇ。あああーーーーーなんか苛々してきた」
理解不能なことを言いながら俯いた出夢に声をかけられない出雲。
(何で知り合いが死んだことには動じないのに、赤の他人の死にここまで動じる?)
「―――――あなたにも」
突然倉庫の隅から声が聞こえた。アリュセが、起き上がっていた。
「双子の姉妹が、いるんですか?」
一瞬の沈黙。
「―――――ああ、いたよ」
「自慢の、可愛い妹がな」
次の瞬間、耳障りな声が倉庫の中に、そして島内全域に響く。
三回目の放送が、始まった。
【E-4/倉庫内/1日目・18:00】
『生き残りコンビ』
【匂宮出夢】
[状態]:平常 やや不機嫌
[装備]:なし
[道具]:デイバック(パン4食分:水1500ml)
[思考]:生き残る。あまり殺したくは無い。長門と共に悠二・古泉を探す。 出雲・アリュセには不干渉
『生き残りコンビ』
【匂宮出夢】
[状態]:平常 やや不機嫌
[装備]:なし
[道具]:デイバック(パン4食分:水1500ml)
[思考]:生き残る。あまり殺したくは無い。長門と共に悠二・古泉を探す。 出雲・アリュセには不干渉
【長門有希】
[状態]:平常/僅かに感情らしきモノが芽生える/仮眠中
[装備]:ライター
[道具]:デイバック(パン5食分:水1000ml)
[思考]:現状の把握/情報収集/古泉と接触して情報交換/ハルヒ・キョン・みくるを殺した者への復讐? 出雲・アリュセには不干渉
[状態]:平常/僅かに感情らしきモノが芽生える/仮眠中
[装備]:ライター
[道具]:デイバック(パン5食分:水1000ml)
[思考]:現状の把握/情報収集/古泉と接触して情報交換/ハルヒ・キョン・みくるを殺した者への復讐? 出雲・アリュセには不干渉
『覚とアリュセ』
【出雲・覚】
[状態]:左腕に銃創あり(出血は止まりました)
[装備]:スペツナズナイフ
[道具]:デイバッグ(パン4食分:水500ml)/うまか棒50本セット/バニースーツ一式 /炭化銃
[思考]:ウルペンを追う/千里、ついでに馬鹿佐山と合流/アリュセの面倒を見る/ 雨宿り/ 出夢・長門には不干渉
【出雲・覚】
[状態]:左腕に銃創あり(出血は止まりました)
[装備]:スペツナズナイフ
[道具]:デイバッグ(パン4食分:水500ml)/うまか棒50本セット/バニースーツ一式 /炭化銃
[思考]:ウルペンを追う/千里、ついでに馬鹿佐山と合流/アリュセの面倒を見る/ 雨宿り/ 出夢・長門には不干渉
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