「……コイツが?」 男が言葉を洩らす。まだ若い。20代の前半、位だろうか。 その声には嘲りの響きが混じっている。 ?
今日は補給が届く日だった。ただの補給じゃない。 新型のMSが4機と、そのスタッフ。そして補充のパイロット。だが……
目の前の男を改めて見つめる。若い…いや、まだガキだ。 ガキの隣に立つ少女(地元のレジスタンスらしい。まだ子供だが、中々…)に尋ねる。
「お嬢ちゃん。俺達は凄腕の増援が来る、と聞いていたんだがな。 ケツの青いヒヨッ子のお守はゴメンだぜ?」
少女の顔がカッと赤くなる。ガキは…変化無しか。無愛想なガキだ。 「コイツは昔この街を…」 「止せよ、コニール。」 ガキが少女を制して、俺に尋ねてくる。
「信用できない、て顔だな。」 当たり前だ。戦場では何よりも経験が物を言う。たとえコーディネーターでも。 コイツは若すぎる。死なれる前に釘を刺しておくか。
「当然だろ?何なら証拠を見せてもらえるか?『凄腕』さんよ。 新型のテストも兼ねてな。隊長、構いませんよね?」 後ろの二人に声を掛ける。
やれやれといった表情で大尉が頷く。いつもどおりだ。 中尉は…何も言わない。これもいつもどおりだ。 ?
俺達は支給されたばかりの新型…(シグナス…と言ったか)に乗り込む。 悪くない機体だ。俺が以前乗っていたウィンダムよりずっと良い。
「胴体にペイント弾が命中したら負けだ。いいな?」 大尉が拳銃を空に向けて撃つ。戦闘開始だ! ?
周囲に身を隠せる場所は少ない。スラスターを吹かして大きくジャンプする。 レーダーに反応!ヤツは地上を高速で移動していた。
俺は牽制の射撃を行いながら、ヤツに向かって降下していく。 ヤツがこちらに気づく。 『遅い!』
俺は着地と同時に地を蹴り、旋回しながら銃を向け…そこでヤツが撃ってくる。 「チッ!」 スラスターを吹かして射線から外れる。再び銃を向け…居ない!?
コクピットにアラームが響く。上か!? とっさにシールドを掲げる。ペイント弾がシールドに当たり、赤く染めていく。 「この野郎!」
シールドの影から空へと弾丸を放つ。ヤツは既に居ない。何処に…がッ!? 突然凄まじい衝撃が襲い、俺は左へと吹き飛ばされる。何が…?
機体を起こそうとペダルを踏む直前、俺の眼前に銃口が突きつけられる。 ヤツは俺が空に向けて撃つ前に急降下して、右からケリを叩き込んだ訳だ。
「…どうする。まだやるのか?」 接触回線でヤツの声が聞こえてくる。この野郎… ? 結局。 ? ヤツのシールドには赤い点が4つ。俺の機体は…見るも無残な物だ。
勝手な私闘の罰として、俺達は2機のシグナスの掃除を命じられている。 ヤツはさっさと掃除を片付け、何処かに行っちまった。気に入らねぇ… 「ほらよ。」
イラつきながらブラシを動かしていると、後ろからコーヒーが差し出される。 ヤツがコーヒーとブラシを持って立っている。
「お前の分の掃除は終わったんじゃなかったか」 コーヒーに口を付けながら尋ねる。 「連帯責任だから、な」 そういって、コイツはブラシを手に立ち上がる。
コイツ…気に入らない、気に入らないが 「お前、名前は?」 「…シン。シン・アスカ」 「そうか。俺は…」 ? 認めてやるよ。 ?
最近作成されたWikiのアクセスランキングです。見るだけでなく加筆してみよう!
atwikiでよく見られているWikiのランキングです。新しい情報を発見してみよう!
最近アクセスの多かったページランキングです。話題のページを見に行こう!