「この馬鹿!また無茶して!大馬鹿と言い換えてもいいくらい馬鹿!!」
「いちいちうるさいな。作戦は成功したんだからいいだろ」
「だからって、いっつも怪我を作ってるんじゃないわよ!」
この青年はいつも無茶をする。その為、作戦行動で――大怪我というほどのものはないが――負傷する事が多い。
今回の作戦も、その多い方にカウントされた。
ただ、青年の無茶のおかげで、危機を脱する事も少なくない。
今回は、突破口を開くために率先して弾雨に突っ込んだ。結果、作戦は成功し部隊は帰還する事が出来た。
そんな無茶をした彼は、左腕に銃弾が掠めた程度。その辺りで済んだこの青年の技能には、驚嘆する他ない。
しかし、無茶を続けていれば、いつかはその程度で済まない時が来るかもしれない。なのに――
「医療品だってダダじゃないのよ!」
口から出てくるのは悪態ばかり。本当に言いたい事はそうじゃない。
「なら別にいいよ。これくらい、唾でも付けておけば治る」
「そうもいかないでしょうに。ほら、傷口見せなさい。あたしがやったげるから」
「お前がかよ」
「センセイもソラも忙しいんだから、あんたのような馬鹿はあたしで十分」
そう言って、消毒液と止血剤を準備する。この程度の手当は慣れたものだ。
本当に青年に言いたいのは、無茶自体ではなく無茶をして怪我をする事、そしてその先に至る事。
――心配だから、無茶しないで――
こんな簡単な事が言えない。軟膏を塗りながら小さく口から漏れるのはまた、悪態。
「馬鹿につける薬はない、か」
こういうことは簡単に出てくるのに。
「何か言ったか?」
「……別に」
包帯を手に取る。
何だか段々腹がたってきた。人の気も知らない青年に。それを率直に伝えられない、『馬鹿』な自分に。
「はい、終わり!」
腹たち紛れに、巻き終わった包帯の上から患部をぽん、と叩く。
「――ってぇっ!!」
不意のせいか、珍しく青年が悲鳴を上げる。少し強かっただろうか?
ただ、青年の悲鳴を耳にしたら腹の虫も治まってきた。
次も同程度の傷を負うのだろうか。ならば自分にできる事は、せめて大事に至らないよう、彼を最大限サポートをしてやる事だけだ。
そして、今回と同じ事になるなら、また悲鳴を上げさせてやろう。そう、 馬鹿につける薬はないのだから。
そんな事を考えながら青年の抗議の視線を無視し、その場を後にした。
「いちいちうるさいな。作戦は成功したんだからいいだろ」
「だからって、いっつも怪我を作ってるんじゃないわよ!」
この青年はいつも無茶をする。その為、作戦行動で――大怪我というほどのものはないが――負傷する事が多い。
今回の作戦も、その多い方にカウントされた。
ただ、青年の無茶のおかげで、危機を脱する事も少なくない。
今回は、突破口を開くために率先して弾雨に突っ込んだ。結果、作戦は成功し部隊は帰還する事が出来た。
そんな無茶をした彼は、左腕に銃弾が掠めた程度。その辺りで済んだこの青年の技能には、驚嘆する他ない。
しかし、無茶を続けていれば、いつかはその程度で済まない時が来るかもしれない。なのに――
「医療品だってダダじゃないのよ!」
口から出てくるのは悪態ばかり。本当に言いたい事はそうじゃない。
「なら別にいいよ。これくらい、唾でも付けておけば治る」
「そうもいかないでしょうに。ほら、傷口見せなさい。あたしがやったげるから」
「お前がかよ」
「センセイもソラも忙しいんだから、あんたのような馬鹿はあたしで十分」
そう言って、消毒液と止血剤を準備する。この程度の手当は慣れたものだ。
本当に青年に言いたいのは、無茶自体ではなく無茶をして怪我をする事、そしてその先に至る事。
――心配だから、無茶しないで――
こんな簡単な事が言えない。軟膏を塗りながら小さく口から漏れるのはまた、悪態。
「馬鹿につける薬はない、か」
こういうことは簡単に出てくるのに。
「何か言ったか?」
「……別に」
包帯を手に取る。
何だか段々腹がたってきた。人の気も知らない青年に。それを率直に伝えられない、『馬鹿』な自分に。
「はい、終わり!」
腹たち紛れに、巻き終わった包帯の上から患部をぽん、と叩く。
「――ってぇっ!!」
不意のせいか、珍しく青年が悲鳴を上げる。少し強かっただろうか?
ただ、青年の悲鳴を耳にしたら腹の虫も治まってきた。
次も同程度の傷を負うのだろうか。ならば自分にできる事は、せめて大事に至らないよう、彼を最大限サポートをしてやる事だけだ。
そして、今回と同じ事になるなら、また悲鳴を上げさせてやろう。そう、 馬鹿につける薬はないのだから。
そんな事を考えながら青年の抗議の視線を無視し、その場を後にした。
(了)
- ここに上げてくれたのは嬉しかったんですが、コレはシンコニっていうかコニ→シンです。
勘違いされた様なので、タイトルを付けるついでに加筆修正しました。
シンコニ万歳! -- 書いたヤツ (2005-10-29 01:30:01)