「ラクス様、いえ、ラクス・クライン、わたしたちは戦います。あなたの言葉は優しくて、心地良い。でも、それが世界を壊したのです。あなたが、壊した世界をリバイバル(再生)するため、わたしたちは、戦います」
そこまで言って、わたしは、言葉を切る。周りの皆は呆気に取られたように、わたしを見ている。
喉がカラカラになり、心臓がバクバク、いっている。マイクを持つ手も震えている。
それでも、わたしは逃げない、逃げたくない。
みんな戦っているんだから、正しいかどうかは分からないけど、これがわたしの選んだ、わたしの戦い、だから。
少し間を置いてから、ラクス様、いえラクス・クラインの声が流れだす。
「わたくしが世界を壊した?あなたがなにを言っているのか分かりません。…そもそも、あなたは何者ですの?」
「わたしは…」
一瞬、迷う。わたしは、そう、わたしは…。
「…わたしはただの小娘です。『想い』だけしか持たない、『力』を持っていない、ただの小娘です」
そう言って、わたしは息を吸い、そして吐いて、続ける。
「わたしは以前、あなたとお会いしました。あなたは、わたしにおっしゃいました。なにかを成すには、『想い』だけでも『力』だけでも、だめだと。その時、わたしは、あなたの言葉を素直に受け取ることが、できませんでした」
「…その答えを得ることができましたか?ソ…、小娘さん」
微かに笑みを含んだ声。
敵になってしまった、わたしに掛けるには、あまりにも優しい声。
それが、それが優しさなのか、余裕なのか、わたしには分からない。
それでも、例え、優しさだとしても、わたしは、わたしの戦いを止めるわけにはいかない。
「はい。あなたの言っていることは正しいです。確かに『想い』だけあっても、『力』がなければ、どうしようもないことがあります。でも、それは結果だけしか見ていません」
「…結果だけ?」
「そうです、『想い』と『力』を得て、なにかを成すのは、結果なんです」
そう、あの時のわたしは、いえ、今のわたしも『力』を持たない。だからあの時わたしは、ラクス・クラインの言葉を受け入れられなかった。そう、今も。
「あなたは『想い』だけではなにも成せない、と言いました。でも、それは違います」
「…『想い』だけで成せると、あなたはいうのですか?」
微かに、戸惑いを含んだような声。
「違います。『想い』が『力』を創るのです」
「…『想い』が、『力』を?」
そう、彼女には想像できないでしょう。なぜなら…。
「ラクス・クライン、あなたは多分、『想い』と『力』を同時に得たのでしょう。だから、あなたは結果を、『想い』と『力』がなければなにも成せない、と言うのです」
「……」
わたしの言っていることが正しかったのかどうかは分からないが、彼女は沈黙している。
「でも、普通の人は違うんです。人は『想い』を得ます。でも『力』がないために成すことができず、苦しみます。でも、『想い』を胸に進むのです。そして、その『想い』が、成すための『力』を創るのです」
なにも応えはない。
わたしは、彼女の微笑みを思い出す。
もう一度、逢いたい、わたしに微笑んでほしい。痛烈にそう思いました。
次の言葉を言えば、彼女はもう二度とわたしに微笑みを見せてくれないだろう。
それでも、わたしは言わなければならない。
彼女に真実を知ってほしいから、今でも彼女が、好きだから。
「結果しか見えないあなたに!遥か空の彼方から人を見下ろすあなたに!世界を、人々を平和へと導くことはできないのです!!」
熱いものが、頬を伝う。
――さようなら、わたしのラクス様。
そこまで言って、わたしは、言葉を切る。周りの皆は呆気に取られたように、わたしを見ている。
喉がカラカラになり、心臓がバクバク、いっている。マイクを持つ手も震えている。
それでも、わたしは逃げない、逃げたくない。
みんな戦っているんだから、正しいかどうかは分からないけど、これがわたしの選んだ、わたしの戦い、だから。
少し間を置いてから、ラクス様、いえラクス・クラインの声が流れだす。
「わたくしが世界を壊した?あなたがなにを言っているのか分かりません。…そもそも、あなたは何者ですの?」
「わたしは…」
一瞬、迷う。わたしは、そう、わたしは…。
「…わたしはただの小娘です。『想い』だけしか持たない、『力』を持っていない、ただの小娘です」
そう言って、わたしは息を吸い、そして吐いて、続ける。
「わたしは以前、あなたとお会いしました。あなたは、わたしにおっしゃいました。なにかを成すには、『想い』だけでも『力』だけでも、だめだと。その時、わたしは、あなたの言葉を素直に受け取ることが、できませんでした」
「…その答えを得ることができましたか?ソ…、小娘さん」
微かに笑みを含んだ声。
敵になってしまった、わたしに掛けるには、あまりにも優しい声。
それが、それが優しさなのか、余裕なのか、わたしには分からない。
それでも、例え、優しさだとしても、わたしは、わたしの戦いを止めるわけにはいかない。
「はい。あなたの言っていることは正しいです。確かに『想い』だけあっても、『力』がなければ、どうしようもないことがあります。でも、それは結果だけしか見ていません」
「…結果だけ?」
「そうです、『想い』と『力』を得て、なにかを成すのは、結果なんです」
そう、あの時のわたしは、いえ、今のわたしも『力』を持たない。だからあの時わたしは、ラクス・クラインの言葉を受け入れられなかった。そう、今も。
「あなたは『想い』だけではなにも成せない、と言いました。でも、それは違います」
「…『想い』だけで成せると、あなたはいうのですか?」
微かに、戸惑いを含んだような声。
「違います。『想い』が『力』を創るのです」
「…『想い』が、『力』を?」
そう、彼女には想像できないでしょう。なぜなら…。
「ラクス・クライン、あなたは多分、『想い』と『力』を同時に得たのでしょう。だから、あなたは結果を、『想い』と『力』がなければなにも成せない、と言うのです」
「……」
わたしの言っていることが正しかったのかどうかは分からないが、彼女は沈黙している。
「でも、普通の人は違うんです。人は『想い』を得ます。でも『力』がないために成すことができず、苦しみます。でも、『想い』を胸に進むのです。そして、その『想い』が、成すための『力』を創るのです」
なにも応えはない。
わたしは、彼女の微笑みを思い出す。
もう一度、逢いたい、わたしに微笑んでほしい。痛烈にそう思いました。
次の言葉を言えば、彼女はもう二度とわたしに微笑みを見せてくれないだろう。
それでも、わたしは言わなければならない。
彼女に真実を知ってほしいから、今でも彼女が、好きだから。
「結果しか見えないあなたに!遥か空の彼方から人を見下ろすあなたに!世界を、人々を平和へと導くことはできないのです!!」
熱いものが、頬を伝う。
――さようなら、わたしのラクス様。