あの日のことは、はっきりと覚えている。
あの痛み、あの瞬間に喪われた命の数。
あの痛み、あの瞬間に喪われた命の数。
あれが始まりだった。全ての。
レノア。
私たちは皆でお前たちを悼み、これ以上撃たれてはならないと誓い、戦うことを決意した。
お前の息子もあの席にいたな。
追悼の歌を歌った少女も、父親の隣によりそっていた。
私たちは皆でお前たちを悼み、これ以上撃たれてはならないと誓い、戦うことを決意した。
お前の息子もあの席にいたな。
追悼の歌を歌った少女も、父親の隣によりそっていた。
忘れることは無いよ、けして。
我々が後に道を違えた、その始まりもあそこにあったのだとしても。
撃たれた痛みに怒りに、撃ち返そうとしていたあの頃には届かなかった…けれど今なら、私にもわかる。
撃たれる痛みを知る我々だからこそ、撃ってはならないという叫びには、確かに真実が含まれていたことが。
撃たれる痛みを知る我々だからこそ、撃ってはならないという叫びには、確かに真実が含まれていたことが。
だが、だからこそ。
誰よりも痛みを忘れてはならない筈の彼らが、新たな痛みを看過したことに戦慄を覚えるのだ。
ディセンベル。ヤヌアリウス。
故郷が撃たれるのをあえて見過ごし、その上に築いた平和の中で微笑んでいる彼ら。
ディセンベル。ヤヌアリウス。
故郷が撃たれるのをあえて見過ごし、その上に築いた平和の中で微笑んでいる彼ら。
レノア。お前の息子は。シーゲルのあの娘は。…何だ?
彼らは最も根源的な、何かが、我々とは全く違うのではないかと私は感じてしまう。
人が乗り越えてはいけないものを、乗り越えてしまった彼らを…私は。人と呼ぶ自信が無い。
人が乗り越えてはいけないものを、乗り越えてしまった彼らを…私は。人と呼ぶ自信が無い。
私の息子は、彼らに従う道を選んだ。
それはそれで一つの選択なのだろう。
だが私は、それと同じ道を選ぶことはできない。
イザークが自身の道を選んだように、私は私の道を選ぶ。
それはそれで一つの選択なのだろう。
だが私は、それと同じ道を選ぶことはできない。
イザークが自身の道を選んだように、私は私の道を選ぶ。
いつか。私自身やおまえの、息子たちを殺す…その手助けをする日が来るかもしれない。
だが私は人として、その痛みを一生忘れずに抱いていく。
だから、レノア。
だが私は人として、その痛みを一生忘れずに抱いていく。
だから、レノア。