アスラン=ザラの遍歴(暫定)
彼の性格を一言でまとめると「生真面目で悩みがち」となる。
前々大戦で彼はナチュラルの大量虐殺に走った父のパトリック=ザラを命がけで止めた。
ユニウス7への核攻撃で母を失った怒りを胸にZAFTに入った彼だが、復讐のために相手と同じく虐殺に手を染める父親に対して、疑問を抱いた末の行動だった。
(パトリックは結局、その狂気を目の当たりにした部下によって殺されたのだが)。
ユニウス7への核攻撃で母を失った怒りを胸にZAFTに入った彼だが、復讐のために相手と同じく虐殺に手を染める父親に対して、疑問を抱いた末の行動だった。
(パトリックは結局、その狂気を目の当たりにした部下によって殺されたのだが)。
しかし、アスランはその経験を経て、精神的な強さを得るにはいたらない。
十代半ばの少年としては無理のないことかもしれないが、いったんは父に反旗を翻したものの、最愛の女性(=母)を失った父の思いを汲んであげるべきだったのではないかと悔やむ日々。親友のキラ、カリスマたるラクス、恋人のカガリと異なる点はそれである。彼は己の正義に対して常に懐疑を抱いているのだ。そんな彼が「正義」の名を関するMSに乗るとは何たる皮肉であっただろうか。
彼はそのまま後悔し迷い続ける。
十代半ばの少年としては無理のないことかもしれないが、いったんは父に反旗を翻したものの、最愛の女性(=母)を失った父の思いを汲んであげるべきだったのではないかと悔やむ日々。親友のキラ、カリスマたるラクス、恋人のカガリと異なる点はそれである。彼は己の正義に対して常に懐疑を抱いているのだ。そんな彼が「正義」の名を関するMSに乗るとは何たる皮肉であっただろうか。
彼はそのまま後悔し迷い続ける。
彼がデュランダル議長に従ったのは、その迷いの表れである。二年前に裏切ったプラントに身をささげることで、贖罪意識を満たすとともに、今度こそはプラントを正しい道に歩ませようとした。
しかし、結局はそこに己の信念はなく、単なる代償行為であったがゆえに、彼は再度プラントを裏切ることになる。
デュランダル議長には確かに疑念を抱かれても仕方のない、矛盾した部分はあった。アスランが議長に不信感を抱いたのもある意味では当然だった。
だが、為政者が理想と現実の狭間で一切の矛盾した行動を取らずにいられることはない。多かれ少なかれ、そこには政治家が忌避される原因となる妥協や嘘といった要素が生まれてくるのだ。
生真面目なアスランはそれを許容することはできなかった。そんな議長を否定し、キラやラクスやカガリの庇護下に走ることで、自分を正当化したのだった。
しかし、結局はそこに己の信念はなく、単なる代償行為であったがゆえに、彼は再度プラントを裏切ることになる。
デュランダル議長には確かに疑念を抱かれても仕方のない、矛盾した部分はあった。アスランが議長に不信感を抱いたのもある意味では当然だった。
だが、為政者が理想と現実の狭間で一切の矛盾した行動を取らずにいられることはない。多かれ少なかれ、そこには政治家が忌避される原因となる妥協や嘘といった要素が生まれてくるのだ。
生真面目なアスランはそれを許容することはできなかった。そんな議長を否定し、キラやラクスやカガリの庇護下に走ることで、自分を正当化したのだった。
そしてRevival世界において、彼はある程度の成長を見せる。彼はもはや迷っていない。
ラクスたちがおこなう正義のもとで、理不尽ともいえる扱いを受けている人間がいることを知ってもなお、その正義が目指す平和な世界の価値を信じて、剣を振るい続ける。
しかしそれは正確には、「キラやラクスやカガリのために戦うことを迷っていない」だけなのである。信念に基づき我が道を見出したわけではない。単純に、付き従う対象を固めたというだけなのである。彼が揺らいでいないように見えるのは、単にラクスやキラやカガリという不動の大樹に寄り添っているためであるに過ぎない。
ラクスたちがおこなう正義のもとで、理不尽ともいえる扱いを受けている人間がいることを知ってもなお、その正義が目指す平和な世界の価値を信じて、剣を振るい続ける。
しかしそれは正確には、「キラやラクスやカガリのために戦うことを迷っていない」だけなのである。信念に基づき我が道を見出したわけではない。単純に、付き従う対象を固めたというだけなのである。彼が揺らいでいないように見えるのは、単にラクスやキラやカガリという不動の大樹に寄り添っているためであるに過ぎない。
そう、彼はいまだに自分の「真実の正義」を見出してはいないだ。
彼はその信念の欠落ゆえに、今でも多くの悲劇を生んでいる。カガリを拒絶しきれず、愛して結婚したはずのメイリンを幸せにできないのはその最たるものだろう。 彼はメイリンを愛しているのかもしれないが、メイリンにその愛を信じさせることはできていない。
彼の現在の地位はカガリ=ユラ=アスハ永世首長直属のオーブ近衛軍司令官。
名前だけは仰々しいが、実際のところは名誉職に過ぎない。
統一連合での五年間、彼は数多の戦場を駆け巡った。エターナル・フリーダムとともに統一連合の象徴であるトゥルー・ジャスティスを駆る。時にはキラとともに、ないしは単独で反乱勢力の鎮圧に出向き、レジスタンスの軍勢を一蹴し、数々の輝かしい戦果を挙げた。すべてはラクスの平和のためである。
しかし言い方は悪いが、所詮は優秀なMS乗りとしての役目しか果たしていない。それが彼、アスラン=ザラの限界である。
名前だけは仰々しいが、実際のところは名誉職に過ぎない。
統一連合での五年間、彼は数多の戦場を駆け巡った。エターナル・フリーダムとともに統一連合の象徴であるトゥルー・ジャスティスを駆る。時にはキラとともに、ないしは単独で反乱勢力の鎮圧に出向き、レジスタンスの軍勢を一蹴し、数々の輝かしい戦果を挙げた。すべてはラクスの平和のためである。
しかし言い方は悪いが、所詮は優秀なMS乗りとしての役目しか果たしていない。それが彼、アスラン=ザラの限界である。
今、彼は愛する妻のメイリンを失った。その悲しみを胸に、レジスタンスへの復讐に燃えるアスランは、その姿がかつてのシンに重なることを自覚しているだろうか?
さらに、統一連合の正義を守るために、あえて修羅の道を進もうとする自分が、議長の信じる正義に殉じようとしたシンと同じであることに気付くだろうか。
さらに、統一連合の正義を守るために、あえて修羅の道を進もうとする自分が、議長の信じる正義に殉じようとしたシンと同じであることに気付くだろうか。
アスラン=ザラはかつて、そのようなシンに対し高みから見下ろすかのような態度で臨んだ。そして今、同じ立場に自分が立たされようとは…皮肉としか言いようが無い。
- 注意点1・この文ではメイリンが死亡してからアスランとシンの直接対決があることになっていますが、その点はまだ未定です。
- アスランの役職が単なる名誉職ということになっていますが、それも未定です。
- 関連SSアスラン幕間