「機動戦士GUNDAM SEED―Revival―」@Wiki

シンVS凸 (デモ)

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明かりがなく暗い部屋のどこまであるのかわからない天井にうっすらと白い煙がまどろんだ。
「ふん、厳しいな。せっかく奥方様の仇にアスラン様は向かわれたと言うのに我が軍は徐々に押されているわけか。」
モニターの光を受け歳にしては深く刻み込まれた皺と豪奢な顎鬚を様々な色に照らしながらライヒは甘ったるい煙を吐き出した。そして視線の先にあるモニターの中には、平和を願い戦う者達の命を犠牲にして光り輝くアメノミハシラがあった。
「そのようですね、ですが漠然とした不満だけで平和を乱す反抗勢力に我軍が、アスラン様のトゥルージャスティスが負けるわけがありません。」
「君も立派な我々統一連合の一員だよ。」
言葉に反してクチの端だけを歪めて笑う士官の目を見つめた後ライヒは再びモニターに目を移す。
「この状況、この戦いの勝敗がどうであれこの戦いそのものが反統一連合に意味をもたらしている、コレからが我々の戦いだよ。」
「ええ、『我々』の戦いですね、何があってもついていきますよ、ライヒ様に・・・。」
仕官はその笑みをフッと消すと勇ましく敬礼し部屋を後にする。
その徐々に遠のいていく足音を聞きながらライヒは再び葉巻を口にした。
「あの女狐がせっかくここまで立派に太く鍛えたアメノミハシラを潰すとおっしゃられた時には流石に飽きれたがな、しかし悪くない流れだ・・・・」
「アスラン・ザラ、君のように欲望にも妄信にも染まれきれない男が
それでも自ら駒であり続けようとするとは、全くもって不幸なことだよ・・・」
静かに葉巻を吸うとライヒは緩やかにそしてゆっくりと煙を吐き出した。



「指令!あの機体は!?あの機体はなんなんですが!」
部下の悲鳴のような通信を聞きながらアスランもまたその巨大な翼を広げた異形の姿の、しかし見覚えのあるMSを見据えた。
「ああ、あのMS、はじめて見る機体だな、お前達は周りのシグナスの相手を頼む・・・」
「俺は、あの機体を撃つ!」
その言葉に合わせてリフターから爆風を巻き上げたトゥルージャスティスは巨大なスラスターから光の尾を引き一機のMSへと突き進んだ。

一方の異形のMS、デスティニーブラストを駆るシンもまた向かってくる紅の機体を見据え、五年前、最後に聞いたアスランの言葉を思い返し、そして反芻した。

(お前は未来まで殺す気か!)

なら貴様はこの5年で何を作った・・・

たくさんの命と引き換えにその未来に何を築き上げた・・・

鋭い瞳は一点のMSを見つめる。そして赤い瞳に写る紅の機体がシールドから巨大な刃を発現させたのを確認すると、デスティニーブラストはフラガッハを抜き、更に翼を煌かせスピードを上げた。
またそれに呼応するようにトゥルージャスティスも速度を増して突き進む。
「久しぶりだなッ!!隊長!」
「シン、何故お前はぁぁァ!」
怒号にと共にぶつかり合う二つの閃光はライフルの光が飛び交う宙により一層眩い光で暗い宙を照らし、轟音をうならせた。
反発しあう刃からは光がこぼれ耳をつんざく高音を上げる。
「自分のやっていることがわかっているのかシン!この世界を混沌へと戻すつもりなのかお前は!!」
「再びだと!!」
シンは殺意を露にした目を剥き力いっぱい叫んだ。そして互いに力任せに刀を薙ぐと二機はその反発する力で間合いから離れるがすぐ様ライフルを構え撃ち放った。
「今の世界が狂っていないとでも言うのか!」
互いに機動性に長けた機体、そして二人の超人的な反応を持ってして相手の銃弾を回避し、撃ち返し合う。この激しい応酬の続く空域にもし一般のパイロットが入り込もうものならたちまち眩い光を放ちこの場から消え去るのだろう。
しかし互いの力が拮抗しているだけに一瞬でも隙を産もうものならこの二人もあっという間に光の塊へと化すだろう。
アスランは額に汗を浮かべながらも常人離れした動きでシンの一撃をかわしライフルを返す。
「ああ、狂っているかもな・・・お前たちがこんなことをしなければな!」
シンの放つライフルを捉えきれないほど複雑な旋回でかわし、ディスティニーブラストの懐へと潜り込む。そして片腕からビームカッターを発現させ一気に叩き込んだ。
「グッ。」
シンは瞬間的にビームシールドを展開しコレを凌いだが衝撃までは受け止めきれず苦痛に顔をゆがめた。
「お前らがこんなことをしなければ!!死ぬはずのない人間が、メイリンが死ぬ事はなかったはずだ!!」
トゥルージャスティスのスラスターは更なる勢いを増し、強引にディスティニーブラストを押しやった。
シンはその猛攻に奥歯を噛み締めながら耐え、最後に見たメイリンの穏やかな顔を思い出す。しかしそれを振り切るかのように意を決してビームカッターをなぎ払った。
「それは貴様に言えたことか!!」
すかさずデスティニーブラストはアンスラーを抜き畳み掛ける。
「メイリンが何をしていたかわかっているのか!?知らなかったとは言わせないぞアスラン!!」
しかしアスランもまた両腕に刃を灯しそれに応える。
「何故止めることが出来なかった!?そばにいたはずの貴様は何をしていたッ!! 答えろアスラン!!」
その言葉を聞きアスランは一瞬目を細めたがその後再び目に強い光を取り戻す。
「だから・・・だからこそ俺は戦う!!もうこんな事は繰り返さない!!」
リフターフニットにある二門のフォルティスビーム砲からは巨大なビーム砲が放たれ暗雲の宙に光が刺さる。
「チッ」
シンは素早く下へと潜り込むように旋回して難を逃れようとするがアスランはビームサーベルを一気に突き降ろして追い討ちをかけてくる。シンがビームシールドを展開しようとも構わずに突き刺した。
「ラクスの目指す平和が広がりつつあるんだ!!俺はこの世界を守る!!それを誰にも脅かせさせなどはしない!!」
「ハッ、笑わせるなよアスラン!!この世界のどこが平和だ!!」
激昂するシンはバックロールでサーベルを受け流しながらアスランの頭上へと回り込むとパルマフィオキーナをブリューナクで収束させ光の槍を発しジャスティスの肩アーマーを削いだ。
「ガハッ!!」
「限られた楽園にいる貴様等の夢想を押し付け、苦しむ者の言葉を、願いを、命を踏みにじる・・・」
「それが貴様の言う平和かあああぁぁ!!」
その言葉を聞きアスランは寝室でふと見せた悲しげなメイリンの横顔、ライヒの言葉を苦痛に歪んだ表情で聞き入れたカガリの顔を思い浮かべた。
「だが・・・だがラクス達がいなければナチュラルとコーディネーターが手を取り合う世界は実現しなかったはずだ!!」
「あの時彼女がした事は間違っていたと言うのかお前はッ!!シン!!」
アスランはデスティニーブラストから一旦間合いを取るようにして離れると、リフターユニットを切り離しリフター、本体に別れ双方からディスティニーブラストへと飛び掛った。
リフターからはフォルティスビーム方が飛び、それを避けたところからトゥルージャスティスが現れる。
シンもとっさにアンスラーからビームサーベルを発現させその刃を防ぐが背後からはまたリフターユニットが襲い掛かってくる。
「クソッ!」
やむなくシンは下方へと旋回しジャスティスから間合いを取るとライフルを放った。しかしアスランもリフターと本機で螺旋を絵描くようにしてライフルをかわしながらシンに迫り、そしてリフターが勢いを増しデスティニーブラストのボディに追突した。
「ゴハッ・・・・」
シンはそのとてつもない衝撃に苦痛の表情を浮かべるも、殺気だった目を向けて力づくでリフターをなぎ払った。
「間違っていないだと!!ルナを殺したのも間違いではないとでも言うのか!!」
「アレは・・・」
俺だってしたくなかった、その一言を飲み込みアスランはデスティニーブラストの向こうにいる男を見つめた。自分の過ちが彼をこうしてしまったのか、だがアスランは歯を食いしばり攻撃の手を緩めることなくサーベルを連結させてデスティニーブラスめがけ突撃する。
対するシンも光の槍を発しトゥルージャスティスのサーベルに強引に叩き込んだ。
二つの刃を閃光が包む。
「わからないのかシン!!統一連合が崩れればまた激しい争いが起こる!!それが本当の自由なのか!!」
「だが貴様等の意志のみが世界の真理ではない!!」
「だからと言ってやっと出来た平和な世界を再び闇へと返していいと言うのか!!」
アスランはサーベルの出力を更に上げてディスティニーブラストを押し切ると、再びリフターと接合し、ウィング、シールド、脚部、腰部マニュピレーター、全てからビームサーベルを発現させると全身刃と化してデスティニーブラストへと襲い掛かった。
「クソッ!」
シンはその全方位から襲い来る猛威をビームウイングユニットで機体を包みやっとのことで耐えしのぐがアスランは全身を包んだガードにも関わらず刃を強引に押し込む。その光の翼に捻りこむようにして突き刺さる無数の刃から激しい光と耳をつんざく高音が吹き出る。
「グッ・・・だがその平和は貴様等の中だけの話だと・・・」
「かも知れない、だからといて俺たちの平和まで奪うのか!憎いからか!!」
「違ッ・・・」
そう口を開こうとしたがスラスターから更に火を噴き力を増すトゥルージャスティスの攻撃に小さく呻いた。
「俺を恨んでいればいいかもしれない!!だがお前たちが戦うことでどれだけの憎しみ!悲しみが生まれると思う!!」
「そうやってかき乱された世界はどうなる!!もう復讐で戦うのはやめろ!シン」
その言葉を聞きシンは奥歯を噛み締めながら思い返した。五年前全てを失い世界に裏切られた絶望に打ちひしがれた日々、大地に降りた時に出会った荒廃した地にそれでもなお賢明に生きている人々、未来のために武器を取ることを選んだ今の仲間達のことを。そしてともに歩んできた道のりを。
自分は今何故ここにいる。
シンの瞳に力が篭る。
「ああ、お前が憎いよアスラン・・・・」
「だが俺達はそれだけじゃ終われない!!」
シンのその叫びに応えるようにデスティニーブラストの翼からは光が溢れトゥルージャスティスを吹き飛ばした。
「ガハッ!!」
「生きている限り進める未来があるんだ!!だったら俺は何度潰れようと、這い蹲ってでも前に進む!!」
そのシンの強い決意を形にしたかのような力に吹き飛ばされたアスランもまた瞳に強い輝きを宿しスラスターの出力を全開にして体勢を立て直すと再びデスティニーブラストへと立ち向かう。
「それはお前達だけじゃない!!」
トゥルージャスティスも自らを駆る者の意志を感じたかのようにリフターから激しい光を撒き散らす。
「今はまだ確かにお前の言うとおりかも知れない!!だが俺たちだって前へ進んでいるんだ!!お前たちに譲るわけにはいかない!!」
そして二人は再び合間見えた。猛り狂う二人の叫びと激しい光がぶつかり合う。
「うおおおおおおおおおおおお!!」
「ああああああああああああああ!!」
その猛々しく光る巨大な剣の一撃を放ち、放たれ、そしてまた一閃を見舞う。その激しい衝撃に2人は身悶えるがそれでも一歩も引く事はなかった。
「シィィィン!!!!」
「アァスラァァァァン!!!」
しかし二人の双眸には憎しみの色はなかった。ただその瞳には以前にも増して強い意志の力が篭っていた。
最愛の者の命を奪ったか仇として戦っているのか、かつて共に戦った仲間としての責か、それはわからない。
ただぶつかりあう信念と信念がそこにはあった。
そしていつしか二人の戦闘思考は最終段階にはいったのだろうか。
二人は全霊の一撃を放つべく刀を構えなおす。
激戦区のであるはずのこの宙域に静寂が訪れた。
「この平和を守る、誰にも打ち破らせはしない。」
「自由は取り戻す、絶対にな。」
二人は静かに呟くと意を決し突き進んだ。

「「おおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」

どちらが間違っているのか、どちらが正しいのか、それは誰にもわからない。
だが、デスティニーブラストは轟音をあげ、光の刃ごと紅の機体を引き裂いた。
真の正義が崩れ去った。
人々にそれぞれの命、想いがある限り真の正義など存在しないのだろう。
(父さん、母さん、ラスティ、ミゲル、ニコル、ミーア、ルナ、イザーク、メイリン・・)
光に包まれながらアスランは思い返す。
守れなかった人々のことを。
(カガリ、ラクス、キラ、・・・・・)
そして守りたかった者の顔を思い浮かべながら静かに光へと飲み込まれていった。

そしてシンは激しい光と音を撒き散らし爆発する機体を見つめながら通信を開いた。
「ユウナさん、こっちは終わった。どこへ向かえばいい。」
「おめでとう、シン。じゃあヒーローには大尉が守ってるところいってもらおうかな?」
「了解。」
ユウナの横で黙っていたウィラードは通信機に顔を近づけた。
「シン、あの男は・・・・」
「ええ、彼もまたザフトの男でした。」
「そうか・・・・」
シンは先ほどまで彼がいたその場所を見つめたまま小さく呟いた。


                          おしまい
※書いてて気づいたこと。
スレにてシンはこの戦いで復讐心から信念の割合が変わって行きアスランと信念と信念で衝突するとあったのでそれを意識させていただきましたが結構微妙に思う点があったので書きとめておきました。

1)アスランもメイリンを殺された復讐心(怒り)をもつ為前半でシンが復讐を脱したことを意図させると途端に精神的に追い抜かしてしまう。またそれ以前に「復讐をやめろォ!」的な発現は愉快なぐらいに自分のことを棚に上げている感じがでてしまう。
2)下手に平和、正義について舌戦をさせるとどことなく凸の言葉、信念、が弱く感じる。
 今回は「世界全員が幸せになる事はない」という話題は出しませんでしたが、この他にも一歩間違えればあっさり論破されてしまう場面が多々あると感じます。
 言い争いをなるだけ自然に広げるよう努めましたが実際短い方が自然になると思います。
(本編では色々なキャラをシーンを混ぜたり、戦闘シーンの大きくして会話は破綻がないのをちょこっとずつ置くのがいいかも)
3)1)を防止するためにシンにはルナが殺された憎悪を少し我慢してもらったのですが、やっぱり上手く考えないとシンの「もう恨みだけじゃないお」発言が唐突過ぎる。


個人的には「信念と復讐」は混在させながら描くのがいいと思ったため、こういう形にさせて頂きました。

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