「機動戦士GUNDAM SEED―Revival―」@Wiki

世界の二つの顔

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匿名ユーザー

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世界というものは、たった一つの視点から説明できるモノでは無い。
ましてや、神ならぬ身では言わずもがなだ。

「お父さん、セイランは『悪い人』なの?」
私が出勤前の朝食を取っていると、息子が突然訊ねて来た。
「どうしてそう思ったのかね?」
「だって、学校で先生が・・・」

息子によれば、学校の授業の際、教師に
「セイラン親子の愚行で、ウズミ様が命を捨てて守ろうとしたオーブが再び焼かれた」
と言われたそうだ。
思わず苦笑が漏れる。そこまでプロパガンダせずとも良かろうに。
それとも、その教師の「個人的な主観」なのか。ソレならソレで問題では有るが。
更に、別の教師に
「ウズミ様は自分の信念に国民を巻き込んでしまった。きっと他の方法があったはずなのに」
「ウナト様は判断を誤りこそしたが、国民の為に泥水でも啜る覚悟を持っていらした」
と言われ、混乱してしまったらしい。

「ウナトは『悪人』では無いよ。最後の最後に時流を読み違えたがね」
「でも、そのせいでオーブが大変なことになったんでしょ?」
「が、少なくとも、デュランダルがロゴスを吊るし上げるまではちゃんとオーブの為になっていたのは事実だ」
「そうは言っても、結局プラントと戦争になったじゃないか」
「いや、本当にウナトの失策だけが原因とは限らないぞ?」
「?」
「考えてご覧。あの時に誰が一番得をしたか。今のアスハ主席だ」
「えっ、じゃあ」
「そう、アスハ家がセイラン家から権力を奪い返すための陰謀と言う見方も出来る」
「誰が考えたんだろう・・・」
再び私は苦笑する。
「ほら、ソコで人の話を鵜呑みにするな。私はお前の「セイランは悪人」と言う思い込みを否定して見せたが、私の「アスハの陰謀」も誰かに否定されるかもしれないぞ?」
「え、でも・・・」
「ウズミは自分の信念に殉じたが、結果としてオーブ国民に犠牲を強いてしまった。対してウナトは国民の為になるとオーブの信念を投げ捨てて連合についた。どっちが正しいかね?」

「ウズミは確かに無策でマスドライバーと共に爆散したが、本当に無策だったのか。どう思う?」
「えーと、オーブを守ろうと連合軍と戦って、頑張ったんだけど負けそうになったんで、せめてプラントの人達を傷付ける手助けにならない様に自分ごと色んな施設を自爆させたんだよね」
「最初から自爆させる積もりだったのかもしれないぞ?逆に、連合を甘く見積もってどうしようもなくなって自爆したのかもしれない」
「うーん・・・」
と、その場で考え込んでいる。
「自爆したせいで終戦直後に国内が混乱したが、ウズミが『連合に殺された』から、プラントがすんなりオーブからの難民を受け入れたのも事実だ。見方によって様々なんだよ」
私の説明にもまだ釈然としないようだった。
「でも、学校のお友達のお父さんやお母さんは、ウナトを悪く言う人とアスハを悪く言う人に分かれてるけど・・・」
「有能な独裁者と無能な政治家のどちらかを選ぶと言うのは大変難しいからな。一番良いのは「有能な政治家」を見つける事だが」
「もし居なかったら?」
「その場合には自分がなれば良い」
「お父さん、それは無茶苦茶だよ・・・」
「何を言う?政治と言うものは自分が参加してこそだぞ?」

ソコへ、妻から迎えの車が来たことを告げられる。
「まあ、物事には見えてこない面があるということだ。特に政治の場合はね。全ての行動には必ず理由が付いて周るものだよ」
そう息子に話すと、私はオフィスに向かった。

「おはようございます、長官」
「おはよう。今日のスケジュールは?」
「午前中がアスハ主席出席の懇談会へ御同席、午後からバルトフェルド宣伝相とのコーカサスへの対応についての御会談になります」

統一地球圏連合治安警察省長官。それが私の肩書きだ。

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