「……なんだ……これは」
鋼鉄の子宮。
キラにとって最も忌むべきもの。彼の目の前には数十台にもおよぶその忌むべきものが低い稼動音を響かせながら鎮座していた。
コンソールにはまだ形を成していない「赤ん坊」が心拍数や血圧などのバイタルと共に表示されている。まぶたも形成されていない瞳が自分を見つめているような恐怖感にキラは襲われていた。
キラにとって最も忌むべきもの。彼の目の前には数十台にもおよぶその忌むべきものが低い稼動音を響かせながら鎮座していた。
コンソールにはまだ形を成していない「赤ん坊」が心拍数や血圧などのバイタルと共に表示されている。まぶたも形成されていない瞳が自分を見つめているような恐怖感にキラは襲われていた。
「平和……ですよ」
ライヒは静かに、しかし力強く言った。
平和。
改めて口にしてみると何ともいえない気恥ずかしさをライヒは感じる。
平和。
改めて口にしてみると何ともいえない気恥ずかしさをライヒは感じる。
「平和だって?」
キラは思わずライヒにつかみかかろうとして、思いとどまる。
宙に放り出された手は握りこぶしに形を変え、そしておろされていく。
宙に放り出された手は握りこぶしに形を変え、そしておろされていく。
「そうです。平和です」
「この子供達が平和だって言うのか!?」
「そうです。あなたが死んだ後の平和です」
「この子供達が平和だって言うのか!?」
「そうです。あなたが死んだ後の平和です」
瞬間、キラは理解した。「自分が死んだ後にも世界は続く」という現実を。
「あなたが死んだ後に、誰があなたの代わりを出来るのです?
あなたの代わりは……あなたにしか出来ない。
分かっているでしょう?」
あなたの代わりは……あなたにしか出来ない。
分かっているでしょう?」
ライヒは無慈悲に続ける。そう。目の前の「瓶詰め」は確かに「未来」そのものなのだ。
その未来はたった一人の人間の感情などに左右されていいものではない。
目の前で絶句しているキラにライヒは続ける。
その未来はたった一人の人間の感情などに左右されていいものではない。
目の前で絶句しているキラにライヒは続ける。
「……分かっているのでしょう?」
キラは答えなかった。
ただ低い稼動音が響き続けているだけだった。
ただ低い稼動音が響き続けているだけだった。