夢の欠片 - 「機動戦士GUNDAM SEED―Revival―」@Wiki

メサイア戦にて、デュランダル議長に殉じる形で、その側近の男性が命を落とした。
プラントがクライン派のクーデターを経て、オーブに併合された後、ラクス＝クラインの復権を潔しとせずにプラントを去る人の波の中に、彼の妻もいた。
亡き夫から託された一枚の設計図をひそかに持ちながら。

彼女はユーラシアに赴き、レジスタンス活動に身を投じることになる。
目的はただ一つ、夫の遺志を実現することだ。

コーディネイター特有の出生率低下問題。ご多分に漏れず、あの日医師から、彼女たち夫婦も子供を持つことは絶望的と診断された。残酷な宣告を受けて失意の底に沈む彼女に、夫は優しく言ったのだ。
「僕は、子供を産んでもらうためだけに君を選んだわけじゃない」
そして夫婦は夢を持った。技術畑出身の彼が設計した宇宙船。それをいつか現実のものとするのだ。その船は二人の子供であり、「再生」の名前を与えられ、プラントを象徴する船となるのだ。
夫は妻を置き去りに、手の届かない世界に旅立ってしまった。しかし、夢はまだ残されている。
一度はその命をささげようと思った組織の革命も中途で挫折した。彼女にはもはや、夫との夢しかない。
他人を犠牲にし、その運命を踏みにじり、他者から蔑まれようとも、もはや彼女にはそれしか残されていないのだから。
組織の中で確固たる地位を得るため、競争相手を陥れた。その影で死の商人と手を組み、守銭奴の如く金銭を貯め込んだ。それらはすべて、宇宙船の建造費用に注ぎ込まれた。プラント時代のつてを辿って、艦長となりそうな人間のあたりもつけた。
そしてようやく、完成が間近に迫ってきたのだ。

セレナ＝マルレーン。グリース＝マルレーンの妻であり、今はシーグリス＝マルカと名乗っている女性。
彼女の夢は、意外な人物に引き継がれることになる。