◆【思想犯】という名のもとに、ご都合主義な展開


あれだけ復興工事が必要なほど都市破壊があっても、【犯人が人を死なせるはずがないという設定】に作品内で起こる事象まで従うのか、死者ゼロ。
車で橋から川に転落してもムチウチで済むフェス会場が爆発炎上しても大量の水が噴出しても地面が裂け人がそこに飲み込まれても全然大丈夫、などなど思想犯の加護は偉大である。

猫屋敷のおばあさんも犯人が思想犯だったので、実際の地震なら高層ビルの割れたガラスが降ってきて亡くなる人もいるがあんなにガラスが降ってきても大怪我や最悪死ぬどころか無傷。
怪我人は出なかったとはいえ大事件に巻き込まれた子供たちも、犯人が思想犯だったのでPTSDなどの心配の必要はない。

上記のように、ライジングでは【犯人が思想犯だから、死人なんて出るわけない】という謎の理論により、作中で都合良く奇跡がおきてストーリーが進行する。
(昨今の世界を震撼させている事件を知っていれば、思想犯の行き着く先がどれだけ恐ろしいものか位簡単に理解できそうなのだが…)

作中でも、ヴィルギルと3人組が人を殺傷しないよう犯人側が配慮した様子はなく、ヒーローが助けたから結果として死人が出なかったテロを、犯行が女神伝説をなぞっていて(本当に奇跡的になのだが)死人が出ていないからと「世直しのつもりかしらね」「思想犯か」と登場人物が大真面目に発言する。

【人を傷つけるつもりは無さそう】な犯人だと思わせたいなら、現住建造物破壊ではなく廃ビルでも倒しておく、あるいはもっと威力のある破壊が可能だが、死人が出ないよう犯人が手加減していると登場人物と視聴者が理解できる描写が必要だろうが、

1.ビル倒壊(本来なら死者数百名)
2.車橋から転落(本来なら死者数名)
3.街の一区画大爆発(本来なら死者数千名)

上記の1と2が既に起こった状態で「死人が出ていないから犯人は思想犯(キリッ」と断定、そしてその断定に全く疑問を持たないヒーローと警察。

更に「敵は人殺しはしない【思想犯】設定だからそこまでは~」と、脚本の都合が丸見えで、不可思議な行動を取る作中人物達、予測される犯行に充分な対策を取らない公的機関。
仮に犯人が死人を出すつもりがないと確定できたとしても不測の事故に備えるものなのでは?
それ以前になぜ死人が出ないという制作側の設定を、知り得ない作中人物達がそれを前提とした行動を取るのだろうか。
最終更新:2015年12月02日 23:47