最早、察することができるように、魔法は大衆には流通することが非常に難しかった。マナや知識、何方かに傾いていても使う事はできず、そもそも使うことができても大きな効力は発揮しない事が大多数であった。これを解決したのが『魔道具』である。
魔道具とは、研磨された魔力の塊『魔法石』を動力機関として、誰でも手軽に簡単に、予め設定された魔法を使う事ができるようになる夢のような装置であった。戦時中に開発されたこれは、その殆どは戦争の道具として流通した。手軽に持ち運べ、一兵士が扱える火力としては破格のモノであったため、大きく戦況を覆した事は言うに及ばない。
一方、戦後はこの装置が大量に放棄され、各地で日常生活に転用できないかと試行錯誤され、やがて民間や個人で製作された者も流通するようになったが、粗悪品の横行した他、そもそも軍用品であるゆえ、各地の残党がこぞって入手、悪用し被害を出したこともあり現在は取り締まわれつつある。
また、今現在、王国から公認されている民間用の魔道具は強制的に現象を引き起こすのではなく、あくまでも補助の範疇に止まる。というか、流通しているものではそれができないと言った方が正しい。これは、魔法に対して知識が浅い者や、日常的にありふれてはいけないレベルの力を発動させないようにするためである。生活を便利にすることはあっても、生活を変えないようにできていると言うことである。
───王国魔法図書館
最終更新:2022年07月24日 21:23