「カニバリズム」




「ふむ…」

厨二ロワの参加者である食堂の男は呟いた。
彼は望遠鏡を覗いて周りを見渡していた。

彼がいるのは遊園地のシンボルのように聳え立つタワーだった。
最上階にはガラス張りの展望台があり、そこには売店や食堂、そして望遠鏡があった。

「ククク…そろそろ昼か…」

刻は十二時丁度であった。
彼はそう言うと、カバンをその場に置き、展望台にある売店へ歩いて行った。
売店には遊園地のシンボルを象った服や遊園地のマスコットキャラクターを模したお土産、そして弁当があった。
彼は適当に弁当を二つ選び、食堂に置いた。
そしてカバンを取りに行くために望遠鏡の方へ行こうとした。

彼は、ガラス越しにあるものを目にした。

“それ”は大人の女性であった。
“それ”は空を飛んでいた。
“それ”の右腕には巨大な武器を手にしていた。

誰がどう見ようと、異常な状況であり、誰もが戦うか逃げるであろう状況であった。
しかし、彼は動じなかった。

「あら、逃げないの?」
「生憎ね…」
「じゃあ生きるのを諦めたっていうの?」
「それは違うな」

食堂の男は指を指し、食堂へ案内した。
彼女はガラスをすり抜けて入ってきたのだ。
ガラスには仕掛けもなく、割れた跡もなかった。

「まあ、座れよ」

食堂の男は食堂の椅子に座りながら言った。
しかし彼女は座らないで、立ったままでいた。
それどころか、武器を構え彼を殺そうとしていた。

「今から貴方を食べるわよ、いい?」

しかし、食堂の男はその言葉を無視するように言った。

「俺は、食堂の男。このゲームだとそう通っている。君の名前は?」
「へえ、貴方って頭おかしいのね?」

彼女は笑った。

「ふふふ、その度胸、気に入ったわ。私はルーミアよ」
彼女は武器を下ろし、食堂の男の前の椅子に座った。

「ルーミア、か」
食堂の男はそう言いながら弁当の包装を破る。

「あんたは何者なの?」
「ククク…しがない一般人さ…」
食堂の男は答えた。
ルーミアは食堂の男を観察していた。
食堂の男は割り箸を割り、ハンバーグ弁当を食べ始めた。

「ところで、ルーミアよ。一つの仮定を聞かせてもらおうか」
「あら、何よ?」
彼はハンバーグを頬張りながら言った。
「君は先ほど俺を食べると言っただろう?」
「あら、それの何がいけないのかしら?」

ルーミアの返答に対して、ハハハと食堂の男は笑った。
「当然だ。お前は人間のダブーを知らないのか?」

人間のダブー。
一つは、親殺し
二つは、近親相姦

そして三つ目が、食人行為であった。

「やはりか、君は人間ではないだろう? 恐らく、物の怪か何かだろうな」
「あら、やっぱり分かるの?」
ルーミアは驚きを隠せなかった。
食堂の男は続けて話す。
「俺は今、牛肉のハンバーグを食べている。これはどう思うかな?」
「普通の事じゃないの」
「当然だ。俺は人間だからな。
 では、こっちはから揚げ弁当だ。俺は次にこれを食べるつもりだ」
「それも当り前の事じゃない」
「ああ。牛と鳥だからな。では、もし俺が君の仲間を食べると言ったら?」
「別に?大して何も思わないわ」
「………」

食堂の男の箸が止まった。ルーミアは不思議そうに黙っていた。

「良ければお前と行動を共にしようと思っていたんだがな」

食堂の男は弁当を食べるのをやめ、席を立った。

「君は…孤独だ」

食堂の男はそう呟き、カバンを背負いエレベーターへ歩いて行った。
その言葉の意味がルーミアには分からなかった。それも当然である。

「待って、貴方は何が言いたいの!?」

食堂の男はエレベーターの扉が閉まる間際にこう言った。

「それが、君の足枷なのだよ」

エレベーターの扉が閉まった。
ルーミアは、頭を傾げていた。

「そうなのか?」

ルーミアは武器を手に、また空へ飛んで行った。

彼女は、先ほどの言葉を理解しようとしていた。

しかし、彼女は知る余も無かった。



彼の呟いた言葉は口任せだったという事を。





【G-5 遊園地・2日目 昼】
【食堂の男@ラ・ヨダソウ・スティアーナ(コピペ)】
[状態]:健康
[道具]:支給品一式 糸電話
[思考・状況]
1:他参加者との出会い


【G-5 遊園地・2日目 昼】
【ルーミア@東方project】
[状態]:EXルーミア化
[装備]:崩玉@BLEACH、バーサーカーの石剣@Fate/stay night
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
1:葦原涼を食べる
2:彼の言葉の意味の考察
3:他の参加者も食べる


時列順で読む

201:”Donnergott” 202:カニバリズム 203:臭【におい】

キャラ別で読む

193:不老不死は可か不可か 食堂の男 211:魔法使い
200:破界事変 ルーミア 212:あなたってほんと邪魔

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最終更新:2012年12月27日 09:00