【名前】不良怪獣ゼットン
【出典】ウルトラゾーン
【性別】男?
【名ゼリフ】
「(俺の、本当の、名前……)」
「(ありがとう)」

【DATA】
『ウルトラマン』最終話において、初代ウルトラマンを倒したことで有名な怪獣。一名を、宇宙恐竜。ゼットン星人によって作り出された戦闘生物兵器である。
本来は身長60メートル・体重3万トンという巨大なサイズだが、このゼットンは、円谷プロによるバラエティ番組『ウルトラゾーン』の番組内コントの一つ「不良怪獣ゼットン」の主人公を務めた個体であり、人間より少し背が高いくらいの大きさである。(しかし、その強さは健在。番組内でも毎回テロップやナレーションが入るほど)
地球防衛高校(チボ高)に通う不良学生で、ケン、ブーチン、タケシ、ナオキらの仲間(※人間)と共にいつも、「実は子供嫌いと噂のおばあちゃんが一人でやっている」駄菓子屋の前にたむろしている。仲間たちはゼットンのよき理解者であるが、その強さは(最終回、レッドキングとの戦いまでは)いまいち理解されておらず、劇中では主にパシリ役を担っていた。
また、カオリという名の、同じくチボ高に通う彼女(※人間)がおり、相思相愛の仲である。
「不良怪獣ゼットン」番組内では発光と鳴き声だけで、言葉を喋ってはいないのだが、このロワではクロス仕様か、或いはつかさという日常系キャラ相手に直接会話するような意思疎通が成立していたからか、()内の台詞や状態表で考えを述べたり、ツッコミをこなしたりもしていた。

【本ロワでの動向】
赤王高校のレッドキングとの喧嘩に勝利した、本編終了後から参戦。
突如として放り込まれたこの場の状況が信じられず、元の町へ帰りたいと願うも、どうしていいかわからずにさまよっていたところで、綾波レイ(モグ波)と遭遇。無自覚無差別精力吸引器であるモグ波も、さすがに明らかな人外であるゼットンの容姿には驚愕し、近づいてくるゼットンを前に、悲鳴を上げて逃げ出す。

《ゼットンは地球侵略をたくらむゼットン星人が送り込んだめちゃくちゃ強い怪獣。》←テロップ

誤解を解こうと彼女を追いかけて行くが、その先でモグ波はガロン塚本・ランスと合流しており、テンションが上がって戦闘モードになっていたランスによって攻撃され、その場を逃げ出す。
続いて、お面のない状態で放り出されていたギガゾンビに遭遇、対殺せんせー弾@暗殺教室を撃ち込まれ、「来るなあっ、化け物!」という恐怖に満ちた叫びを浴びせられる。バケモノという言葉を胸の内で繰り返し、彼のもとからも逃げる。敵対する不良たちからも恐れられることは多々あったとはいえ、この場で立て続けに向けられたのは「強さ」に対するそれではなく、「自らと異質なもの、忌まわしい異物」を忌避する残酷な視線であった。

逃げてゆく先で見つけたのは、黄色いキグルミのような生き物に襲われる一人の少女。
反射的に威嚇用の一兆度火球を放ち、キグルミ=ふなっしーを撃退するも、またバケモノと呼ばれると思い、その場を去ろうとする。

「あ、ま、待って!」

そんなゼットンの背に、少女――つかさは慌てて飛び付いて来た。ありがとう、と何回も言って、ゼットンの手を取り、

「わたしは、柊つかさ。あなたは?」
「ゼットーン……ピポポポポポ……」
《ゼットンはウルトラマンを完全敗北に追い込み全宇宙に最強怪獣の名を轟かせた宇宙恐竜。》←テロップ

……いつの間にか(なぜか意思疎通が成立して)会話が始まり、強キャラテロップも何のその、びっくりしながらもごく普通にお礼を言い、嬉しそうに話しかけてくる少女に、ゼットンは元の世界の仲間たちに感じたのと同じ安心感を覚える。
こうして二人は行動を共にすることとなり、歩きながら、お互いの境遇について話した。家族のこと、友達のこと、学校のことを話すつかさに、いいとこの子なんだなあと思うゼットン。ゼットンもまた、ワルの仲間と、大事に思っている彼女がいることを伝える。途中でつかさのお腹が鳴ったので、支給されていたコロネ@現実を差し出し、アニメ『らき☆すた』第一話と同様、コロネはどうやって食べるか、という話題にもなった(このロワではゼットンが普通に飲み食いしているが、「不良怪獣ゼットン」本編でもどうやってなのかアイス食ったりしてるしツッコミは無粋であろう)。
このように、殺し合いの場とは思えない気の抜けた話題に興じていた二人は、やがて向こうから歩いてくる人影に気づく。用心のため、ゼットンはつかさをすぐ後ろの岩かげに隠し、その人影――東方仗助に接近した。

驚いたのは仗助である。岩の向こうからいきなり、巨大なカミキリムシのお化けみたいなのが現れたのだから。だが、一生懸命に敵ではないと伝えようとするゼットンの姿に、彼はすぐに害意のなさを感じ取った(仮にも透明な赤ちゃんや自称宇宙人、死ねない異形の怪物などと付き合ってきた主人公である)。
安心したゼットンはつかさを呼ぶ。慌てて駆けてきて転びそうになったつかさをゼットンが助け起こし、いい人でよかったと喜び合う、そんな二人の姿を見た仗助は、カップルと早とちりし、思わず「スタンドも月までブッ飛ぶこの衝撃……!」と口走った。誤解しているらしいことに気付いたつかさが慌てて事情を説明。ゼットンくんにはちゃんと、待ってる彼女さんがいるんだよ、と。フムフムとその説明を聞いていた仗助だが、結局彼女持ちかとぼやいたのち、オクテっぽくみえるやつほどケモノとも言うッスからね~~などと言ってからかった。ケモノ以前に怪獣だというツッコミは誰もしなかった。日常系ジョジョと癒し系日常キャラ恐るべし。

ゼットンからすると、髪形やいで立ちからして、仗助はまさしく元の世界の仲間たちを彷彿とさせる存在であり、合流後すぐに仲良くなる。不良学生らしく二人でウンコ座りをしながら、つかさを挟んで「ダベる」場面も多々あった。
続くウォルターの仲間入りの際には、プッツンからノックアウトしたウォルターに追い打ちをかけようとする仗助を体を張って止め、それをきっかけに、仗助の、自らの髪形への思いについても聞くこととなる。

そのウォルターからは、「何だこいつは」と心底珍しがられるも、妙な肝の据わり具合、垣間見える不器用な優しさなどからこれまた気に入られた。つかさとセットで、何かと目をかけられている場面が多い(バネ足ジャック初披露の際、抱えられて初めて共に跳んだのもゼットンだった)。一方で、仗助と一緒に、からかいの対象にされることも。

また、元の世界で使いっ走りをする事の多かったせいか、ロワの中でも、「腹減ったッスね~」とか、「酒の一つでも欲しいところだな」とかいった話題が出るたびに、反射的に買いに出かけようとしては、いやいいって!と止められるのがお決まりと化している(あれ、どこぞのパシリさんと真逆のような……)。井之頭五郎が踏破しかけたかの「飲食街エリア」に立ち寄った時には、駄菓子屋の店舗を見つけて懐かしさを覚え、ふらふらと中に入って行ったりもしていた(これが原因でトラップに巻き込まれ、ひと騒動起きたのだが)。
ウルトラシリーズ同士でのネタもあり、たとえば、潜伏時のゾフィーに遠目から目撃された時には、「あ……あれは……うわぁぁぁぁぁぁゼットンくんだぁぁぁぁぁぁ!?」のお約束(「不良怪獣ゼットン」におけるテンプレ)をやられる。さらに、掲示板に、「ぜっとんきたやばい!!111」という、「円谷ったー」まんまの、狼狽した隊長のコメントが連投で書きこまれた。

中盤、フツオ・影狼のコンビと合流した際には、自分の『仲間』としてゼットンを紹介したつかさに、『仲魔』のことだと勘違いしたフツオが、こんな高位の悪魔を従えるこの子は何者なんだ……と驚愕する場面も(見立てではレベルが90以上必要らしい。《ゼットンは地球侵ry)。影狼は影狼で、妖怪と言っていいのかわからない存在に目を白黒させていた。が、ゼットンの妙にとぼけた振る舞いや、つかさとの癒し系なやり取りの様子を見ているうちに、この二人もゼットンをごく普通にチームメイトとして認識するようになり、最終的には、時おりひどいヤンチャをやるウォルターなどに比べてむしろ常識人だなどと言われる始末であった。

戦闘面で見れば、一般人率の高いチーム不良内では抜きんでたスペックを有している。対外的に立ち回る仗助やウォルターのコンビ(合流以後はフツオ影狼も加わる)に対して、常につかさと共に行動し、身体能力の低い彼女をカバーした。一方でゼットンの側も、精神面ではつかさの存在やその言葉によって非常に救われており、非常にいいコンビだと言える。つかさの応援のもと、立ちふさがる障害を粉砕する場面も多かった。

当初からずっと、自分を待ってくれている人たちのいる町へ帰りたい、という願いを強く抱いていたゼットンだが、つかさたちと過ごすうち、その願いは、皆でこのロワイアルを生き抜きそれぞれの日常へ帰る、という「決意」に変わって行った。その証として、チームの5人に、自分の「本当の名前」を教えている(ゼットンというのは与えられた名前であって、本当の名前は別にあった)。

それだけに、避難所への奇襲でウォルターが命を落としたときには、傍目にもわかるほどにショックを受けていた。
「間に合わなかった」のは、仗助だけでなくゼットンも同じ。脳噛ネウロの協力のもと、仇であるボーモンを怒りの一兆度火球で焼き尽くした後、つかさと共に、ウォルターの最期を看取っている。その際、ウォルターから、「つかさがお前の心を守ったように、お前もきっとつかさを守ってやれ」と告げられ、拳を合わせて約束を交わした。


そして、総軍大戦後。恐怖の夜を乗り越えた対主催者たちを、マーダー化したゾフィーが襲う『さらば光の戦士』において、ゼットンは、光の巨人と相対する。

原寸のままの巨大サイズであるゾフィーが、つかさたち後方支援の参加者たちを踏みつぶそうとするところへ、一人立ちふさがって妨害。
胸の反射板でウルトラマンの光線技を吸収・反射できる特性と、強力なバリアーで以て、浴びせかけられるM87光線を防ぐ。
が、制限が掛かっているとはいえ、ゾフィーは元の通りの巨人、対するゼットンは人間サイズ。さらに悪いことには、ゾフィーはコスモテクター@ウルトラシリーズ(アンドロメロス)を装着し、大幅にパワーアップしてしまった。
圧倒的な火力差を前に、バリアーは押され、反射板も光線を吸収しきれずに、どんどん傷ついてゆく。

「怪獣なら派手に爆発しろよ、空気読めねえな」などと白けたようにゾフィーに言われながら、しかしゼットンは一歩も引かなかった。
脳裏に浮かぶのは、帰るべき場所と、大切な人々。あの町で、自分を待っていてくれる仲間。最愛の彼女。戦闘兵器として生まれた自分を「孤独にさせない」と言って、何気ない日々の楽しさを教えてくれた存在。それから、この世界で新たに出会った『仲間』たち。仗助とくだらないやり取りで盛り上がったこと、ウォルターと一緒に夜空を跳んだこと、フツオの淹れてくれたコーヒーを飲んだこと、影狼と草陰で虫の声を聞いたこと。そして、出会ったときからいつも、変わらぬ笑顔で微笑みかけてくれたつかさ。

――――みんな、怪獣である自分の手に、暖かな手を重ねてくれた。

死にゆくウォルターと交わした最後の約束を思い返し、ゼットンの全身が光に包まれる。

支配者のプログラムや上位存在による至上命令として「光の戦士を倒す」のではなく、ここに立つ自らの意思で「光の戦士に立ち向かう」ことを選び、また、「戦闘データ」でなく、元の世界で、このロワイアルで、「仲間とともにすごした日々」を、自らの身に加算して、不完全ながらEX化・巨大化したゼットンは、渾身のトリリオンメテオによって、ゾフィーのコスモテクターを破壊することに成功した。
けれど、そこまでだった。
EX化と巨大化が解け、元の大きさに戻ってしまったゼットンへ向けて、逆上したゾフィーは集中砲火を浴びせる。
大統領の制止を振り切って駆けてこようとする仗助の叫びと、お願い、やめて下さい、もうやめて!とゾフィーに向かって泣き叫ぶつかさの声を背にしながら、バリアが切れ、吸収板はひび割れて粉々になり、皮膚が焼かれ、体組織が破壊され――――そして、立ったまま、ゼットンは絶命した。
最期の瞬間、(ありがとう)と確かにそう言い残して。

序盤にはマーダー化のフラグも立てられながら、つかさのパートナーとして、チーム不良の一員として、戦い抜いたゼットンはある意味で「光の戦士」であった。
強大な敵を前にしながら、守りたい人々のために諦めず戦う姿が、初代ウルトラマンと重なっていたのは、皮肉だとしか言いようがないであろう。

死者スレでは、先輩によって、マスコット枠あざとい!といじられる。
ウォルター、そして自分の次にやってきたつかさと悲しい再会を果たすも、皆で仗助やフツオたちを見守った。

エピローグのひとつとしても、生還したゼットンがつかさの世界に遊びに行くほのぼのエピソードが投下されるなど、愛された宇宙恐竜であった。

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最終更新:2013年12月17日 00:51