そしてまた日は昇るのか? ◆BRxsUzTn5A



その男は、木々が生い茂る森の前にたった一人でいた。
男の身につけている服は長年使い古していたのか、どこもかしこもボロボロで見てくれは非常にみすぼらしかった。
しかし、男がうつす眼だけはその風貌とは相反するかのように輝いていた。

サンダウン・キッドは考えあぐねていた。これからどうするかを。
サンダウンが本来いた世界では「殺し」は日常茶飯事である。死に場所を求めて荒野を放浪し、
自分を狙うならず者や賞金稼ぎたちの銃弾にいつ斃れるかもしれない死と隣り合わせの日々を送ってきた。
殺しには躊躇いがない。しかし、それは「決闘」という公正なルールの上での場合だ。
名簿を見てみると、明らかに女性らしきの名前が載っている。明らかに戦意のない人々を
襲うほど、サンダウンは愚かではなかった。

サンダウンはひとまず、ここから立ち去ろうとした。
ずっと立ち止まっていても、いずれ殺し合いにのっている者に発見される。
自分は銃を全て奪われてしまっている。襲撃されでもしたらこちらが不利になるのは明らかだ
そう考えたサンダウンは小屋から離れるための一歩を踏み出そうとして
それを止めた。
サンダウンはしばしその場に佇んだ後、ちょうど後ろにある木の幹に振り向いて言った。

「……そこにいるんだろ? 誰だかは知らないが、出てきた方がいい」

サンダウンが声をかけた木の陰から、桃色の髪をした女性がおそるおそる現れた。

「すみません、盗み見るような真似をして……」

桃色の髪の女性は申し訳なさそうな顔をする。

「いや、気にしなくていい……こんな状況だ。用心深くなるのも無理はない」

「でもよかった。殺し合いにはのっていない人間に出会えたのですから」

「……何故分かる」

「だって私の気配が分かっているのにもいきなり襲わず、声をかけたのですもの」

「声をかけて油断させようとしたのかもしれないぞ?」

「いいえ、あなたはそんなことをするような眼ではありませんもの。あのユーリルさんのような心正しき人でなければ
そんな眼はしませんわ」

サンダウンの言葉に対し、凛とした表情で桃色の髪の女性は反論する

「すまなかった。困らせるような真似をして。私もあんたと同じようにこの殺し合いにはのってない」

「謝る必要なんてありません。ただ、一つお願い事を聞いていただけないでしょうか?」

「何だ?」

「私とピサロ様を捜してもらえないでしょうか?」

ピサロ……その言葉にサンダウンはどこかで見覚えがあった。
先ほど名簿に目を通した時に確かに「ピサロ」という名が書かれていたことを思い出した。

「……知り合いか?」

「はい、私の命の恩人……私のかけがえのない人。その人がこの地で自らの手を汚そうとしているのです。
 ピサロ様は以前私を失った時失意に駆られ、人間達を滅ぼそうとしたことがあって……
あまり考えたくはありませんが、ピサロ様が私のために殺し合いにのっているのかもしれないんです。
お願いです、私と一緒にピサロ様を止めてはいただけないでしょうか……」

「………」

サンダウンは桃色の髪の女性の言葉を沈黙しながら聞いていた。
最初は軽くあしらう気だったが、彼女の哀願する顔を見るうちにだんだん彼女の話に耳を傾けるようになってきた
なるほど、あの賞金稼ぎも女の頼まれて断れないと言っていたがが、どうもそれは的を射ているかもしれない。

「もし、それで私が命を落とすようなことがあれば……」

「もういい、分かった。あんたと一緒にそのピサロという奴を捜すのを手伝ってやろう」

「ありがとうございます!えっと……」

桃色の髪女性は名前を言おうとして、言葉に詰まる。

「サンダウンだ」

「ありがとうございます、サンダウンさん」

桃色の女性はサンダウンに深々と頭を下げた。

「私はロザリーと申します。これからよろしくお願いします」

申し遅れてすみません、とロザリーは付け加える。

「ところで、銃はもっているか?私の持っているものじゃ少々護衛は難しいのだが……」

「……じゅう? 何かの魔法アイテムでしょうか?」

「あんた、銃を知らないのか?」

ロザリーは首を縦に振る

「銃っていうのは鉄の筒のようなもので、引き金を弾くと弾丸が発射される武器なんだが……」

ロザリーは何のことだが分からないようにキョトンとした顔をしている

「……無いのならいいんだ」

「すみません、道具を入れる袋の中にも……これだけしか入ってないんです」

ロザリーは持っていたデイバッグの中から自分の支給されたものをサンダウンに見せる。
中に入っていたのは短い剣、小さな望遠鏡、そして液体が入ったビンのようなものだった。

「捜しながら見つけるしかない、か……」

「あ、でもその代りこの薬は2本あるので残りの一本はお譲りします。きっと何かの役に立つはずです」

「すまない、感謝する」

2人はそれから、ピサロの他にも捜索すべき人物の情報交換を行った。
ロザリーの知っている仲間はあのアリーナトルネコミネア、ユーリルという天空の勇者という男
彼らも殺し合いを止めるのに役に立つ人物であるということだった。
サンダウンが知っている仲間はレイ・クウゴ高原日勝、アキラ。かつてここに連れてこられる前に
共に旅をしていた仲間だということを彼はロザリーに伝えた。

「急ぎましょう。サンダウンさん、ピサロ様を捜しましょう。時は一刻を争います」
「待て、気持ちは分かるが闇雲に動いても見つかる保障はない。情報交換や私たちと協力してくれる戦力が必要だ」
「それもそうですね……道具の調達や町の人々から情報を入手して万全な状態で臨まないと、途中で何が起こるか分かりませんものね」
「地図によるとここから南にある城下町が近いな。ひとまずはそこへ向かおう」
「はい、分かりました」


こうして再び人を守る事を決意した男は一人のエルフとともに森の中に消えていった。
しかし、2人は知る術がなかった。
ロザリーの支給されたナイフはかつて"勇者"と呼ばれた男を拒絶し、一国の忌まわしき姫君が自らその命を絶つために使われた曰くつきのナイフだということ
ピサロがすでにロザリーの説得にはおえない状態になっていること
この2つのことを知る術はなかった。


はたして彼らのもとに朝日は再びやってくるのだろうか……
あるいはその名のように夕日に沈んだきり戻らぬままか……



【H-7 森林 一日目 深夜】

【サンダウン@LIVE A LIVE
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:エリクサー@ファイナルファンタジーⅥ、未確認支給品(1~3、銃器の類は入っていない模様)基本支給品一式
[思考]
基本:殺し合いにのらずに、ここからの脱出
1:ピサロの捜索
2:ひとまず城下町へ向かって情報交換
2:ロザリーの仲間(主人公(勇者)、アリーナ、トルネコ、ミネア)の捜索
3:自分の仲間(アキラ、レイ・クウゴ、高原日勝)の捜索(そう簡単には死ぬことはないと思っているので上記の人物よりは優先度は下)
4:銃がほしい
[備考]
参戦時期は最終編。魔王山に向かう前です。

【ロザリー@ドラゴンクエストⅣ 導かれし者たち】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:エリクサー@ファイナルファンタジーⅥ、アリシアのナイフ@LIVE A LIVE、双眼鏡@現実、基本支給品一式
[思考]
基本:殺し合いを止める
1:ピサロ様を捜す
2:ひとまず城下町へ向かって情報交換
3:主人公(勇者)、アリーナ、トルネコ、ミネアたちとの合流
4:サンダウンさんの仲間を捜す(レイ・クウゴ、アキラ、高原日勝)
[備考]
参戦時期は6章終了時(エンディング後)です。

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GAME START サンダウン 030:届いた手、届いた心
ロザリー


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最終更新:2010年06月19日 22:57