『バルド・ゴリーニ:イフ』
(キャラ) ダークマイト、虎杖悠仁、イリヤスフィール・フォン・アインツベルン、チャンプ
「おいよせって、落ち着けって!」
「うるせえ、来るんじゃねえ!」
秘密警察ワイルドハントの一人、チャンプは絶体絶命の危機に陥っていた。
(どうして……どうしてこんな事に……!!?)
球状帝具「快刀乱麻・ダイリーガー」は六種類の球体が全て木っ端みじんに砕かれ、チャンプは事実上、戦闘手段をすべて失っている。
信じられない事だった。
生身の人間が、二つの拳だけで帝具持ちを圧倒するどころか、粉砕してしまうなど。
チャンプの知る中で、最強の体術使いは同じワイルドハントのリーダーであるシュラだがそれをも上回る圧倒的な暴はまさしく鬼神の如く。
「俺は……俺はただぁ! イリヤちゃんとラブラブ結婚式をあげたかっただけなのにぃぃぃ!!!!」
贅肉がたっぷりとへばり付いたふくよかな肥満体を揺らし、脂肪が寄せ集まって膨らんだ顔にはびっしりと汗を貼り付けて。
汗でピエロの化粧が崩れていくのも構わずに、チャンプは大声で叫ぶ。
鬼神──虎杖悠仁に向かって。
(クソっ、しくじった!)
虎杖は胸中で数秒前の自分の大失態を悔いていた。
殺し合いを強制され、彼にとって因縁深い渋谷を再現された街をあてもなくさまよっていた時、少女の絶叫が聞こえ駆けつければ。
肥満かつ巨体のピエロが、銀髪の少女を血走った目で押し倒していた。
虎杖はピエロ──チャンプを変態及び危険人物だと認定し、ロケットのように助走をつけて飛び蹴りを噛まし、戦闘へ突入。
呪具のような奇抜な球の武器を悉く破壊し、そこで僅かに油断したのが虎杖の失態だった。
チャンプは虎杖の隙を狙い。自分が襲っていた少女を人質に取り、盾代わりにし始めた。
「もう、いやあ……!!」
チャンプの汗臭く分厚い腕と胸の中で、泣き声をあげていた少女の名はイリヤスフィール・フォン・アインツベルンといった。
カレイドステッキを没収され、心細かったとはいえ、不用意に近づいてきたチャンプに名前まで明かしてしまったのは不用心すぎた。
後悔してもしきれず、また大人という子供が頼りにすべき手本となる存在に本気の性愛を向けられ、イリヤは本能的な拒否感に陥る。
恐怖と嫌悪に満ちた彼女は、涙を溢れさせチャンプと対峙する虎杖を見つめる事しかできない。
「わ……私のことは……いいですから……!」
仮に、虎杖がチャンプを逃そうものなら死よりも最低最悪な末路が待ち受けているのは確実。
切実な思いでイリヤは、虎杖に向かって叫んだ。
(どうする……あの娘を傷つけないで、どうやってあのデブピエロを倒す……?)
イリヤという少女の懇願通りに、虎杖はチャンプを倒すことができるだろう。
しかし、イリヤを無傷で助けられるかと問われれば、虎杖も首を縦には振れない。
武器は完全に潰した。使い手の力量も虎杖と比較すれば、格下であり脅威ではない。
だが、チャンプは仮にもシュラが世界を巡りスカウトした実力者である。
黙って虎杖に倒されるぐらいなら、イリヤを道連れにするだけの胆力は持ち合わせている。
イリヤの首に回した溢れんばかりの贅肉に覆われた巨腕で、彼女の首をクッキーのようにへし折るなど造作もないだろう。
(やばいな。逃がすわけにもいかねえし……だからって、あの娘を見捨てるわけにも)
なにか打開策を見つけなければ。
◆
──力に固執するお前では、ファミリーを纏めることはできん。
──恐怖だけでは人は動かん。
オールマイトはその力で己の理想を手にしました。
──彼は理想の為に力を欲したのだ。
──お前とは違う。
そんなことは、ないッ!!
──次は君だ。
……ハッ!?
◆
虎杖もイリヤもチャンプも。
その瞬間のみ、一人の男に意識を奪われた。
全身を赤と青を基調としたスーツで包み込み、背に羽織ったマントを靡かせて。
筋骨隆々の胸を張り、前髪を触角のように二本逆立たせた男に。
一触即発の緊迫した雰囲気をぶち壊すかのように、男は宣言する。
──俺が、来た。
ヒーローにしては、あまりにも芝居がかったまるでショーを披露するかのような声音で。
「アンタは……?」
「先代──オールマイトを継ぐ者。新たな『象徴』!!」
虎杖の問いに、男はダークマイトと名乗る。
「手こずっているようだな。ボーイ?」
「えーと……ダークマイト、さんは……味方なの……?」
「くそっお前も動くんじゃねえ!!」
虎杖は、アメコミのヒーローでも気取っているかのような、中年男の奇抜な出で立ちを訝しんだ。
一方、ピエロの衣装を好むチャンプにとっては、その程度の格好など大したことではない。
むしろ虎杖に味方しようとするダークマイトを牽制するように、盾にしたイリヤを高々と掲げた。
首に回した腕へさらに力を込める。
イリヤが苦しげな呻きを漏らしていることにも気づかないまま、チャンプはハァハァと荒い息を繰り返した。
「さて、そこのロリコンペド野郎。まずはお前から粛清してやろう!!」
カツカツと足音を響かせながら、ダークマイトはチャンプへ歩み寄る。
「く、来るんじゃねえ!!」
「うぐッ……!」
一歩近づくたび、チャンプはイリヤの首を締め上げる力を強めていく。だが、ダークマイトはそれを意にも介さない。
足元の蟻を踏み潰すことすら気に留めないように、その視界にイリヤという存在は最初から映っていなかった。
「これ以上、刺激しないほうが……!」
優先すべきは、人質となったイリヤの命だ。
突如現れたダークマイトという火種が、チャンプという爆弾に火を点けてしまっていた。
虎杖はいつでも飛び出せるよう、全身に力を込める。
「こうなったら──イリヤちゃん、君を穢れた大人にはしないからねええええええ!!!」
「ひ、ぃ……!?」
まさにその瞬間、イリヤと無理心中でもしかねない形相でチャンプが叫ぶ。
猶予は、もうなかった。
「ハッハハハハハハ!!!!」
ダークマイトは拳を握る。
右腕へ光が収束し、肥大化していく。
次の瞬間、間合いの外にいるチャンプへ向け、正拳突きのように拳を放った。
「これが、象徴の力ァァァ!!!」
何もない空間を突き抜けたはずの拳。その拳先から黄金の礫が錬成され、拳の形を保ったままチャンプへと吸い込まれていく。
(こ、こいつ、帝具もないのに……どうやって……!!?)
ダークマイトの個性『錬金』。
金からあらゆるものを錬成する。などという能力を、帝具もなしに行えるとはチャンプも想像していなかった。
光り輝く黄金を前に立ち尽くしたまま、盾にしたイリヤもろとも、チャンプは──
「マジかよ、あのおっさんッ!!」
横から飛び込んできた虎杖悠仁が、イリヤの腕を掴んで奪還する。
丸々と肥えたチャンプの脇腹を蹴り上げ、その反動をトランポリンのように利用して、黄金の拳の射程から飛び退いた。
腕の中のイリヤを庇いながら、地面を転がる虎杖。
「ぐおおおおおおおおおおおおお……俺の……天使ぃぃぃ……!!」
最後に虎杖が見たのは、黄金の拳に肥えた肉体が圧縮され、ぶちぶちと音を立てながら潰れていく姿だった。
脂肪の内側に詰まった血肉と臓器が弾け飛び、それでもなお、イリヤへ追い縋るように手を伸ばす。
あまりにも凄惨なその光景を幼い少女に見せまいと、虎杖はそっと掌でイリヤの双眸を覆った。
「……おっさん、アンタ」
ダークマイトはイリヤごと殺すつもりで拳を放った。
虎杖が咄嗟に動けなければ、今頃二人そろってあの世へ逝っていただろう。
ダークマイトを睨みながら、虎杖はゆっくりと立ち上がる。
腕の中のイリヤをそっと下ろし、いつでも戦えるよう両手を自由にした。
「見事だ。よく俺の合図通りに動いてくれた」
だが、ダークマイトは詫びるどころか、手を叩いて虎杖を称賛した。
「……ありがとうございます。二人のおかげで助かりました」
虎杖が困惑していることなど知る由もなく、イリヤは二人が協力して自分を助けてくれたのだと思い込み、交互に二度頭を下げた。
「いや……俺は……」
「感謝しなくてもいい。『平和の象徴』として、当然のことをしたまでだよ」
結果だけを見れば、イリヤを救ったのはダークマイトと虎杖だ。
だが、本当にこの男にイリヤを助けるつもりがあったのか。
虎杖には、「合図」とやらに覚えはまったくない。
それでもイリヤは、すっかりダークマイトを信じ切っていた。
虎杖は握りかけた拳を、ゆっくりと開く。
「さて、君達の名を教えてもらえないかな? 共にこの殺し合いを止めようじゃあないか」
胸の奥に渦巻く不信感を押し殺し、虎杖はひとまずダークマイトの言葉に耳を傾けることにした。
【チャンプ@アカメが斬る! 死亡】
【快刀乱麻・ダイリーガー@アカメが斬る! 破壊】
【虎杖悠仁@呪術廻戦】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考]人を助ける。
1:このおっさん大丈夫か?
[備考]
※参戦時期は不明です。
【イリヤスフィール・フォン・アインツベルン@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】
[状態]:健康、チャンプに対するトラウマ
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考]殺し合いはしない。
1:カレイドステッキが欲しい。
2:ピエロのことは忘れたい。
[備考]
※参戦時期は不明です。
(あの娘が死のうと、どちらでも良かったんだがな)
イリヤごと、あの薄汚い下種ヴィランは殺すつもりだった。
平和を成し遂げるためには犠牲は付きもの。弱者は不要。力こそがすべて。
イリヤが助かったのは、ひとえに虎杖が強かったからだ。
本来の予定では、二人を殺した後、虎杖を嬲った末に見逃すつもりだった。
そして敗走した虎杖は、多くの人々にこう吹聴することだろう。
──ダークマイトという強者に敗れた、と。
力を誇示できる。
平和の象徴として、この殺し合いの抑止力となるものは何か。
それは力だ。
圧倒的な力を示せば、最終的には優勝を狙うような輩も諦めるだろう。
それでもなお逆らうのであれば、その力と強さででねじ伏せればいい。
しかし、イリヤを助け出した虎杖の強さは力を信条とするダークマイトをも唸らせた。
ただ、嬲り見逃すだけでは少々惜しい。
(そういえば、先代にもサイドキックがいたか……)
故に、当初の考えはひとまず胸の内へしまっておくことにする。
(そうだ、俺も!!!)
丁度いい。この虎杖をサイドキックにしてしまおう。
ダークマイトは、口元に笑みを浮かべた。
【ダークマイト(バルド・ゴリーニ)@僕のヒーローアカデミア】
[状態]:健康、オールマイトに似せた格好
[装備]:金の指輪と沢山の金貨@僕のヒーローアカデミア、賢者の石@鋼の錬金術師
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~1
[思考]オールマイトの意思を継ぎ、俺が平和の象徴になる(意訳:俺が最強なら誰もが殺し合いに乗るのを諦めるだろう)。
1:力を示し、使える手駒を探す。
2:逆らう者は皆殺し。
3:虎杖悠仁は俺のサイトキックにしよう。
[備考]
※参戦時期はダークマイトを名乗ってからです。
最終更新:2026年08月09日 18:44