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感想コーナー

リレーも、とうとう始まったね。
というわけで、私の感想はここに分けて置いておくことにしたよ。
みんなが使うスレッドを、私の自己満足な長文で埋め尽くすのもあまり良くない。

そんなわけで、ここは企画主が好き勝手に感想を書く場所。
言ってしまえば、私の自己満足ページだね。
暇な時に読んでくれる程度で十分だよ。
① ②(今ここ)


■
目次
■





031『逆襲のシュラ』



……これぞシュラ。
これぞワイルドハント。
というか、もうこれ『アカメが斬る! バトロワ編』じゃない?
Rだとさ、エンシンさんとかチャンプとかコスミナとか、なんか妙にマヌケなところ見せちゃってるから、ワイルドハント自体がちょっと小物集団みたいに見える時あるんだけど。
いやいや、……やっぱ忘れちゃいけないよねえ。
こいつらは本来こういう連中なんだよ、って。

特にシュラ。
やっぱり極悪非道の親玉だねえ。
で、今回いちばん「うわ~、シュラだなあ」って思ったの、レイをボコボコにしたところじゃないんだよ。
小蘭本人に、レイを殺させるところ。

まず両腕を折る。
両脚も折る。
ついでに顎まで壊して、完全に抵抗できなくする。
そこまでやってから、

「どうせ死ぬんだから、お前が楽にしてやれば?」

しかも小蘭が拒んだら、今度は猫猫を持ち出す。
大切な友達を同じ目に遭わせるぞって脅して、とうとう小蘭本人にレイを刺させちゃう。
これ、単純に「強い悪役が弱い奴をいたぶりました」じゃないんだよね。
相手の心とか、善意とか、尊厳とか。そういうのをわざわざ壊して、その様子を楽しんでるんだ。
……う~ん外道だねえ。

でさ。
これがまた嫌なのが、レイが最後までちゃんとFBIなんだよ。
特に序盤で「マオマオさんは僕が必ず見つけて保護する」と約束してるのが効きすぎてる。
FBI捜査官として「真実を追う」「守るべき人間を守る」という姿勢を、殺し合いでも最後まで崩してない。
で、シュラに両腕・両脚・顎まで破壊されても、最後に考えてるのが自分じゃなくて、

「逃げろ、小蘭ちゃん」

顎を砕かれて喋れなくなってからも、目だけで「俺はいいから逃げろ」と訴え続けてる。
さらに極悪なのが最期。
小蘭が自分を刺そうとして泣きながら謝ってるのに、レイには恨みも怒りもない。
むしろ「気にしなくていい、君は悪くない」とでも言うような反応のまま、小蘭に喉を刺されて死ぬ。

これさ。
レイが途中で恐怖に負けて「俺を助けろ!」とか小蘭を差し出してたら、普通の因果応報寄りの惨殺になる。
でも最後まで善良な大人・捜査官として完走した人間を、シュラがその善性ごと利用して殺した。
だから小蘭の方も最悪なんだ。
「悪い人を殺しちゃった」じゃない。
『自分を最後まで守ってくれた人を、自分の手で殺した』だからねえ。
で、その直後ですよ。

「殺人処女卒業おめでとう。これでお前もこっち側だ」

……いや~。
最悪だねえ、こいつ(褒めてるよ?)
もう最悪すぎて笑うしかないんだよ。

……それで、たぶん、初めてじゃないかな。
違ったら申し訳ないけど、明確に『胸糞そのものを主菜にした回』っていうのは。
今までも殺人・残虐描写・クズ・狂人は山ほどいたけど、基本はバトル、ブラックコメディ、狂気、悲劇のどれかが前に出てた。
これは違う。
善人のレイが小蘭を守ろうとする→徹底的に壊される。
守ろうとした小蘭自身に殺される→小蘭は助からず、そのまま加害者役まで強制される。
……救いがないねえ。
読者に「うわ、最悪……」と思わせるための構造が最初から最後まで一本通ってるんだよ。
レイの善人度が高ければ高いほど小蘭の傷が深くなり、小蘭の傷が深いほどシュラが喜ぶ。
だからもう、……なんていうか。あれだね。
完全にワイルドハント編の悪趣味な構造ていうか。
……シュラ、ほんとにワイルドハントの親玉っていうか。その、


【総評】
→一流フラグ建築士シュラ。


……ごめんて、ふざけて。……OK?
『逆襲のシュラ』←このタイトルは秀逸。
元ネタは明らか逆シャアだね。その上でツッコむ。
何に逆襲してんだよ。w
オールマイトに逃げた腹いせをレイと後宮の下女にぶつけてるだけやないかい。www


032『死の飛翔』



……号泣した。本気で。
うん、もう圧倒的にかっこいいよ。
鬼龍おじさん、最後の最後でめちゃくちゃカッコいいじゃん。
まあ男泣きってやつかもしれないし、惜別の涙かもしれないけどさ。
今まで他人をいたぶったり、魔王やったり、気がついたら猿空間に送られたりするために鍛えてきたような筋肉が、最後の最後で一人の女の子の壁になる。

で、個人的に一番好きなのが最後の突撃。
これ、ただ「死ぬ前にヴォルデモートを一発ぶん殴ってやる!」じゃないんだよね。

「あの杖を叩き折れば、あの馬鹿げた連射も終わるはずだ」

ちゃんと最初からニワトコの杖を狙ってる。
セイバーも同じように「あの杖さえ封じれば」って考えてるから、鬼龍おじさんの特攻ってヤケクソでも自己犠牲でもなくて、ちゃんと勝つための一手なんだよ。
自分はもう助からない。
でも拳は届く。
だったらヴォルデモート本人じゃなくて、あの馬鹿げた連射を成立させてる杖を潰す。
ん~、最後まで頭いいねぇ、このおじさん。
で、致死のアバダをまともに食らって、

だが──
その体は崩れ落ちるその瞬間まで拳を振り抜く事をやめなかった。

からの、

鬼龍の拳がヴォルデモートの手にあったニワトコの杖を
真っ向から打ち砕いた。

いやぁ……これはズルいでしょ。
最後っ屁なのに、最後まで頭使ってるんだよな。
「死ぬ間際だから一発ぶん殴ってやったぜ!」じゃない。
死に際の最後っ屁なのに、最後まで考えて殴ってるんだもん。
しかも杖だけじゃなくて、指から手首、肘までまとめてぶっ壊してる。
だから直後にセイバーが反撃できて、杖を失ったヴォルデモートの盾を斬り裂いて、左肩から胸までザックリ。
つまり鬼龍おじさん、死んじゃったけどさ。
あの戦闘でヴォルデモートを敗走させた一番の功労者なんだよね。

しかも、後段でさらに効いてくるのがエグい。
ニワトコの杖って単なる強武器じゃなくて、このロワではアバダ・ケダブラの再使用制限を緩和できる唯一の手段だった。
つまり鬼龍は死ぬ瞬間に「ヴォルデモートの武器一本」を壊したんじゃない。
闇の帝王のこのロワにおける最大の特権そのものを永久に潰した。
だからあの一発、めちゃくちゃ重いんだ。

あと個人的には、最初に沙代を庇ったところも後から効く。
一発目は鎧が身代わりになって生還して、セイバーに感謝されても、

「勘違いすんな」
「前にも言ったが太陽神の鎧なんぞ俺にとっては邪魔なだけの代物だからな」

って絶対認めない。
なのに二発目はもう鎧がないことを本人もセイバーも分かってる。それでも行く。
だから「本当は優しい鬼龍おじさんでした!」という説明じゃなくて、最後まで本人は悪党のつもりなのに、行動だけ見たら誰よりヒーローになってる。

沙代のさ、

「もし悪になるなら私は……貴方のような優しい悪になりたい」

も、ここまで積んでから出されるとそりゃ泣くわ。
何より最高なのが、死んで終わりじゃなく盤面に傷跡を残して死んでること。
一人の死亡でここまで後続のゲーム盤を動かしてる。
これは「鬼龍おじさん、いい人になって死にました」じゃない。
宮沢鬼龍、死に際の拳一発で闇の帝王を恒久ナーフして退場。
めちゃくちゃ華ある死に方だよ。


……やっぱ、いいよね。ここ。

「お前悪党のくせに知らないのか?」

倒れていたはずの鬼龍の体が、
まるで何事もなかったかのように起き上がったのだ。

「────悪魔は死なないんだぜ」

本当に熱い。
熱くて、読み返した後今度は、涙腺が込み上げてくる。
しかも助かった理由が、前回セイバーと戦った時に本人が「邪魔だ」って散々言ってた太陽神の鎧なんだよね。
「こんなの戦うのに邪魔だよ」って扱ってた鎧が、ここで一回だけ命を拾ってくれる。
さらに熱いのが、助かった直後も鬼龍が一切デレないところ。

「感謝する、キリュウ。君のおかげで、サヨは──」
「勘違いすんな」
「前にも言ったが太陽神の鎧なんぞ俺にとっては邪魔なだけの代物だからな」

前回の「邪魔」をそのまま言い訳に転用しているんだ。


033『There are two paths you can go』



……乙骨くん「自分を物に喩えると……潤滑油ですかね?」
いやいやいや、乙骨くん有能すぎない!?
乙骨くん、マジでこのチームに絶対欠かせないラストピースじゃん!

というわけで、まずは前回のおさらい。

ルルーシュ→妹殺されて復讐モード
オールマイト→シュラは止めれた
右京→「殺人はいけませんよっ!!!!」
リーニエ→正体隠してる
シャミ子→😪

で、普通なら思想の違いだけで崩壊しかねないチームだった。
そこに現れたのが乙骨くん。

「僕は復讐、肯定派です」

からの

「許してくれるなら、代わりに僕が手を汚してもいいですよ」

強すぎる。
オールマイトと右京さんには絶対できない、「ルルーシュの復讐心そのものは否定しない」っていう立ち位置に入ってるの。
しかも何でも「いいよいいよ!」って認めるんじゃなくて、
「殺して喜ぶようになったら、それは妹さんを殺した奴と同じだからダメ」って、ちゃんと線を引いてる。
つまりルルーシュの気持ちを受け止めながら、暴走だけは止めてるんだよね。
しかもそれだけじゃない。

「彼らが掲げる理想は、綺麗事かもしれません。
でも、最後に勝つのは彼らだし、彼らであるべきだ」
「だから、『冥府魔道』を歩くのは僕の役目だ」

ここでオールマイト・右京の立場まで肯定してるのが超有能。
つまり乙骨一人で、
右京・オールマイト→『理想を捨てなくていい』
ルルーシュ→『復讐心を捨てなくていい。ただし怪物にはなるな』
乙骨→『汚れ仕事は僕がやる』
という役割分担にしてしまった。
いつ爆発してもおかしくない導火線を、リカに食べさせちゃったのさ。

それとさ、右京も今回はかなりまともになってる。
いや、まともっていうか今回はちゃんと『刑事・杉下右京』としての立場がハッキリした、って感じかな。
前回の「過剰防衛ですよ!」からさ、ちゃんと自分の法執行の物差しが超人同士の戦闘にはそのまま適用できない場合があると認識して。
そして、オールマイトに謝罪してる。
でも、「僕が全部間違ってました!」にはならず、

『過剰防衛だと思ったこと自体は間違ってない。でも状況をちゃんと理解できてなかった』

ここ右京さんっぽいのすこここ。
それで、オールマイト側も「君が悪かった」で終わらせず、自分にも手加減という落ち度があったと認めて、

「次に機会があれば、その時は私を信用してほしい」

まで行く。
これで前回の不和が綺麗に経験値へ変換されてるのが良いんだよねえ。

しかも一番面白いのが、乙骨が人間関係を全部修復して「よし、これで四人はまとまったな!」となった瞬間、
リーニエ「じゃ、シャミ子貰って帰ります」で物理的にチーム割ってるところ。
乙骨が人間関係の不和を完全治療した直後に、リーニエがブラック・サバスでパーティ分断するという構成は、正直かなり唸ったなぁ。
……真似したいかも。

余談。
リーニエから見ても乙骨、「あいつ強すぎ。勝てない。コピー教材にも向いてない」判定なの草。
戦闘・治療・交渉・思想調停・遺体保全・呪力診断まで一人でやって、敵側からも「規格外すぎて関わる価値なし」判定。
ウルトラハイパー超有能の乙骨くんに、文句なしの今後期待です。

……蛇足余談。
いやもっかい言いたい。
リーニエとスリーピングビューティ優子分断したのマジ上手い。
予約空いてたら続き書きたいかも。

「……優子」

静かな路地の一角で、リーニエは背中で眠る少女に呼びかけた。
返事はない。ただ、幸せそうな寝言だけが返ってくる。

ここがエモすぎるんよぉおおお~~~~~~~~!!!!!


034『“極”悪党、集結』



……同じ属性同士の悪は、惹かれ合う。
……とか書いちゃうと、まるで京都人=悪みたいな言い方になっちゃうかな? あはは、嘘嘘。ごめんて。
祝・直哉くん堂々の登場回。
個人的にはこれ、かなりモモさん回だったなーって印象。
前回のモモさんって、「レンゲル手に入れて、倫理観ぶっ壊れて、なんか本人も楽しそうだねえ」くらいだったじゃん?
それが今回で一気に、
「……あれ? これ強化イベントじゃなくて、人間やめるまでのカウントダウンじゃない?」
って意味に変わったんだよねえ。

特にここ。

「それが不思議と疲れてないのよね」
「むしろ疲労感がどんどんなくなっていくのよ。体が軽いくらい」

本人視点だとボーナスみたいなのが最悪すぎる。w
しかもその直後に、

「なんだか、少しずつ自分が自分じゃなくなっていくような感覚もあるのよね」

って、本人もちゃんと異変には気付いてる。
で、極めつけが「四十八時間以内にスパイダーアンデッド化するようレンゲルバックルに細工済み」。
あーあ。
♣Aの精神汚染だけじゃなくて、肉体にも時限爆弾ついちゃった。
これでもうモモさん、
レンゲルを使えば使うほど強くなる→強くなるほど生存率が上がる→生存するほど人間ではなくなる
っていう、びっくりするくらい綺麗な地獄の階段ができちゃったんだよね。


さて。
冒頭でもちょっと触れたけど、今回は京都人同士の邂逅でもあるわけで。
……ここ、かなり上手いと思ったんだけど、みんなはどうかな?

「俺は女に舐められるんが嫌いなんや」
「三歩後ろを歩かれへん女は、背中刺されて死んだらええ」


舞妓時代から培われた、感情を表に出さぬための笑顔。
そして夜の世界で幾多の客を相手にしてきた
経験が、この程度の物言いなど取るに
足らないものとして処理していた。

えーつまり、モモさん、京都の舞妓上がりだからさ。
ドブカスの些細な日常会話みたいな男尊女卑発言に対してブチ切れるんじゃなくて、
(はいはい、このタイプね)で接客処理してるのめちゃくちゃ好き。www
しかも糸目細めて。w
京都のクソ男vs京都の女の「真正面から喧嘩しない」ファーストコンタクトになってるんだよ。

直哉「女は三歩後ろ歩け」
モモさん「うふふ」
ドロテア「おっ、揉めないな」
モモさん(こういう客おったわ)
なのほんま草。

さらに直哉側もモモさん見た瞬間、

「これ特級呪物みたいなもんやん」
「侵食されとるやん」
「まあ暴走したら殺せばええか」

で終わってる。
ドロテアも「侵食されとるな。観察して利用するか」だからね。
誰一人として「桃花ちゃん、それ外した方がよくない?」と言わない地獄のパーティーになっている。www
いやー、スパイダーアンデッド化までの線、綺麗に繋がったねえ。

……まぁ、ここまで京都人同士の対比について書いてきたけど。
地味にドロテアちゃんとの会話も良いよね。
冒頭。
完全にレンゲル桃花が、自分より遥か先を行ってる悪党の先輩に将来のキャリアパス聞いてる会話になってる。

「他者の生命力を奪って若さを保ってるって言ってたわよね」

「左様。実年齢は貴様が想像するよりも遥かに上じゃろうな」

「じゃあ、これまでどれだけの人を殺してきたの?」

「妾からすれば、数を数えるという発想自体が滑稽じゃのう」

「ふーん。じゃあ長生きしたら私もそう考えるようになるのかしら」

「貴様がその歳まで生き延びられればの話じゃがな」

特に「貴様がその歳まで生き延びられればの話じゃがな」が好き。
否定しない。止めない。諭さない。
「そんな考えを持つでない」じゃなくて、「まあそこまで生きてたら分かるんじゃね?」。ww

桃花から見ればドロテアは、
「今の自分が興味を持ち始めた生き方を、遥か昔から実践してるサンプル」。
ドロテアから見れば桃花は、
「人間から別の何かへ変わっていく途中の、興味深い観察サンプル」。……なにせ明らかにカマキリコスミナを見る目で桃と接してるからねえ。
お互いがお互いをサンプルとして面白がってるから、会話が弾むのさ。
最低のガールズトークで草。


035『今いるここからは、落ちてくだけのゲーム』



……映画見てもゼオン、な~んも響いてないのが良いよねえ。
ガッツリ最後まで見て、多少自分とガッシュを重ねる材料まで揃ってるのに、結論がほぼ、

「くだらん」
「悪の魔王は皆が恐怖し全てを差し出すか……その言葉だけは認めてやる」

自分の都合のいいところしか拾ってない。
思想が変わったわけでも、弟について考え直したわけでもない。
増えたのはせいぜい「映画の兄ムカつく。会場にいるなら殺す」くらい。
でもさー、こっちから見てると、「いや君も、弟とパートナーへの執着で人生めちゃくちゃ変わる人じゃん」ってなるわけで。
……ごめんメタ的な事言って。でもこれ、構成が上手いんだよねえ。
しょうがないじゃん、語りたくなっちゃうんだから。(しょうがなくない)

さて、映画館お披露目回。
今話は、舞台装置の初回プレゼンとして、かなり理想形になってんじゃないかな?
単に「この映画館では参戦作品にまつわる映像が上映されます」って設定だけ置くんじゃなくて、実際に一本のSSを使って「ほら、こうやって遊べるよ~」って見せてくれてる。
今回だけで用途がかなり伝わるんだよ。

  • 『ある兄弟の記録』として、与一たちを直接名指しせず上映できる。
  • それをゼオンに見せて、出演者の人生をゼオンの価値観で好き勝手に評させられる。
  • 「兄弟」「力」「王と魔王」「生まれ持った力」「所有」っていう、映画側とゼオン側の共通項を自然にぶつけられる。
  • だからって参加者の能力や性格が丸裸になる、便利な情報収集施設にはしない。
  • 最後には「映画の兄が島にいるなら殺す」で、映画を見たこと自体はちゃんと本編に還元する。

これが大事で、映画館が単なる原作回想を流すテレビになってないんだよねえ。
しかもポスターでとあるやシャニマスまで並べたことで、後続に対しても「こういう遊び方していい施設ですよ」が一発で分かる。
(地味に上映チョイス良いよねえ。同じ作品の中でも本人が直接関わってない出来事になってる)
つまりここから極端な話、

  • 真人がニヤニヤしながら黒の章を見る
  • キー坊がSW EP5を見てベイダーに哀しい過去を感じる
  • セリューさんがモグラの殺人スナッフフィルムを見て「これですよこれ!」と正義(笑)を感じる

……なんてこともできちゃう。
そして「名簿参加者は顔をぼかす」「能力・人となりを一方的に取得するのは困難」という最後の注釈が効いてる。
これがないと映画館が無料参加者攻略Wikiになるからねえ。

今回、舞台装置のお披露目としてちゃんと

①何がある場所か
②どう使うのか
③クロスオーバーとして何が面白いのか
④何をやるとゲームバランスが壊れるのか

まで一本で実演してる。
だから後続書き手が「映画館予約したけど何書けばいいんだ?」になりにくいんだ。


…………あーやば、マジごめんて。
なんか構成の話ばかり熱入っちゃったね……。ほんと、ごめん!
ここめっちゃ好き。

奪って蓄積した無数の“個性”。
「……フン、盗んだ装飾品を着飾って偉くなったつもりか、ゴミめ」

ゼオンにとって映画内の彼は、他人の物をジャラジャラ身につけて自慢してるだけのアクセサリーに見えてるんだよね。
強い弱い以前に美学としてダサい扱い。
で、ゼオンがその青年を殺そうと決意したのも好き。
仮に『その青年』に出会ったら、私怨全開で襲い掛かるんだろうけども、……殺し合いの会場にいるのは決して『青年』じゃない。
見た目こそ、映画とほとんど変わらなくても。
中身は長い長い時間をかけて、ちゃんと『成長』しちゃってるんだからねえ。

──『オール・フォー・ワン』。

……ゼオンは吞み込まれずにいられるのかな?
映画ってさ、いつも肝心なところで終わっちゃうんだから。


036『遊喜宴楽』



……いや~勇ちゃんさあ。
「戦闘を邪魔されたら休憩時間になって、対戦相手と親睦を深める」っていう、謎のロワ独自習性を獲得してない?w
しかもイリヤとエンシン(笑)との待遇差が凄まじい。
戦闘邪魔されて、

「教育に悪ィ」

やさし~。
強者と子供にはかなり寛容なのに、エンシンだけ人権判定を通過できてないのが酷いんよなあ。w

さてさて、今回。
ナチュラルハイパー超チート vs クレイジーサイコピエロの性処理回でございます。
いや私さ~、この組み合わせ、予約の時点で結構楽しみにしてたんだよね。
だって対戦相手、勇次郎だよ?
「ヒソカが勝てるかな~?」とか考えること自体がもうバカバカしいくらい、勝敗なんて最初から見えてるじゃんね。
で、何が言いたいかって言うと、だからこそ楽しみだったんだよねえ。
勇次郎が強ければ強いほど、ヒソカの知略が『映える』。
相手がナチュラルハイパー超チートであればあるほど、ピエロが頭使って頑張るところが面白くなるんだ。
……ふふ、摩訶不思議だねえ。

今回の勇ちゃん。
  • 念なしでヒソカの『凝』込み蹴りをほぼノーダメ
  • バンジーガム初見なのに即座に原理を推測
  • 「雷の球? 効かないねぇ、勇次郎だから!」
  • ヒソカ渾身の二重三重のブラフを食らっても、最後は数時間前にカイドウから勝手に生やした武装色で弾く

という、最強伝説をウルトラ更新。
板垣先生エミュ全開なくらいに、ナチュラルハイパー超チートなわけだ。
普通だったら相手の格まで一緒に潰しちゃいそうな強さなんだけど、不思議とヒソカが全然弱く見えないんだよね。
なんでかっていうと、そもそもヒソカは単純な力比べをする人じゃないから。
「勇次郎を倒せる火力がない」ことを早々に理解して、そこから勝負を『どう騙すか』へ切り替えているんだ。

特に上手いのが、亡きピエロ仲間・チャンプさんの帝具(通称:こんなもの)を使うシーンだね。
雷球連打する。
そして、爆球を雷球に偽装。
爆煙から天逆鉾を突き出すもそれも偽装。本物は死角からバンジーガムで射出。
……いや、ここほんと上手くね?? 超々奇術師すぎじゃん。

相手は地上最強の生物。
どう逆立ちしたって、まともにやったら勝てない。
それどころか勇次郎からしたら、ヒソカなんて空き缶を踏み潰すくらいの感覚で処理できちゃう怪物なわけだ。
でもさ、勇次郎がどれだけ理不尽でも、『ヒソカのテリトリー』にまで理不尽は侵攻すると限らない。
ハイパーウルトラ火力が、次々と相手の手札を理不尽に潰して、慢心した──その『隙』が狙い。
何手も先を読んで戦うキャラの描き方として、ここはかなり気持ちよかったな~。

そうそう。
褒めようと思えば勇ちゃんも中々に『漢』だよね。
だってさ?
ヒソカの戦い方って勇次郎からすれば、真正面から腕力をぶつけるのとは真逆なんだよ。
言ってしまえば、徹底して「騙して一発通す」戦法。
……グラップラー刃牙のころなら、こういう小細工を鼻で笑って理不尽に踏み潰しててもおかしくなさそうだけど、ここが上手いトコ。
勇次郎は、その『姑息さ』まで含めて、「こいつはこういう強さなんだ」と受け入れてるんだ。
……だから武装色まで発現したあとも、ヒソカを格下扱いして興味を失うどころか、戦闘そのものを続けたがる。

勇次郎はフェアプレー主義じゃない。
「お前が持ってる強さなら何でも見せろ」主義。
だからヒソカの姑息さが「卑怯」じゃなくて、勇次郎にとってはヒソカという生物の牙として処理されてる。
これのおかげでヒソカも格を落とさないんだよねえ。
真正面では勇次郎に勝てないことを早々に認めてるのに、「だから雑魚」にならず、勇次郎が持っていない種類の強さを見せる役になってるんだ。

総評
→実は最大の被害者・ぃりゃ。
「なんで私この二人の間にいるの?」って困惑してるのかわいそかわいい。w
しかもヒソカに加勢した瞬間、ヒソカらは「スンッ……」
白ブドウジュース&パンケーキというブレックファストチョイスも含めて、100点です。♧


037『この探偵事務所に爆撃を!』



……挿絵の総評、『2018年の木村拓哉もよろしく』にしようと思った。(こなみ)
みくる古畑の生きる1999年から、ほぼ二十年後だからねえ。
……一応、八神とキムタクは別人ってことだけども、マジ、キムタクのアニキぱねえと実感した今回だったス。

さてさて今回。現状R最多登場人数更新回。
それでまず初めに、凄いと思ったところは──いや、違うな。
本気で「かなり技術いるやろこれ」って思ったところは、9人を同一話に出した『意味』があるとこ。
作者様のその計算力がダンチすぎだと思ったよ。

  • 八神→集団の運用・交渉・推理
  • 古畑→のらりくらり。八神と阿吽の呼吸な老獪
  • レオン→実戦判断(ついでに言うとさ、フェルンが叫んだあと、ソリテールに銃向け続けたとこバチバチかっこいい)
  • フェルン→実体験から来るソリテールへの警戒線
  • みくる→どうにか足手まといから脱却したい少女
  • 上条さん→そんな小林の精神的救済。そして集団行動を覚える成長
  • 神谷→『やさしいお医者さん』
  • バンビちゃん→LOVE♡レオンさま~
  • ソリテール→以上8名、ほぼ全部の人間関係をかき回す異物

それぞれにはそれぞれの役割、キャラ立ちが演出されていて、まるで短編集を読んだ読後感になる。
これはシーンチェンジの度、各々の登場人物にしか描けない心象描写ではっきり転調しているから、メリハリがついているんだ。
(例えば、八神がソリテールへの判断を下した本筋。その直後は、神谷センセのゲッスい視点に変わっている。だから「次は? 次は何来る?」とスラスラ読めちゃう)

……今の私にさ。
9人でこれやれって言われたら、「あっ、あっ、5人くらい帰ってくだひゃい」ってなるけど、いつかこういう群像劇、書いてみたいと思ったな。
……そして本音を言っちゃえば、「今回の話、どうにか私が書いたことになんない?」とは思いました。(←しね企画主)


さて、その中でも今回。
……まぁ、「ここが一番すこここ」っていうのは、まあ人によると思うんだけど。
私個人的に、目玉は『ソリテール』だと思ったな~。
ソリテールと周りの人たちとの会話が、いちいち面白い。
特にここ好き。↓

ソリテール「水商売風の女と、小さな少女に、あとは刀を持った男に襲われたの、間が悪かったわね」


八神「誰かと組んでたよね?」
ソリテール「なんで分かったの?」
古畑「『間』……が引っ掛かると」
八神「そういうわけ。証拠はそれだけだけどもね。でも、カマかけは成功した」
ソリテール「……」


↑言葉の違和感を拾う警部補と、そこから実際にブラフを投げて確かめる探偵。
二人で一個の推理を完成させてる、クロスオーバーの美味しいシーンだ。
……それで、私がもっと好きなの、その後なんだよ。

「……怖いわね、あなたたち」

↑マッジでここ↑
ソリテール、焦りゼロ。www

普通のステルスマーダーなら「しまった」とか反応するよね。
でもこの子、「へえ。人間ってそんな小さな言葉の違いからそこまで分かるの」くらいの感じ。
研究者やってんだよねえ。

だから、直後に夏油のことも普通にゲロるし、
フェルンが殺気全開で杖を向けても「……あー、この子フェルンと言ったわね」。
バンビにタクシー爆破されても、「あら、爆散しちゃったわ」。
八神から「危険だけど、お前みたいな奴も必要」と言われれば、「へえ……話ごたえある人間は久しぶり」

「こいつらを利用して殺してやろう」みたいな、悪役チックを考えてるわけでもない。
ずーっと、一段引いたところから人間を眺めてるんだ。
だから味方でもない。かといって、今すぐ敵ってわけでもない。
なんか気付いたら、殺し合いそのものを横から眺めて話を転がしてる。
ある意味、『バトロワの狂言回し』みたいな立ち位置が、すごく魅力的に感じたんだ。

つまり総評。メタ的に言うとさ。
ソリテールは「誰と会話させても化学反応が起こる」というクロスオーバーロワで、一番強いタイプのキャラになってるんだよね。
だから9人もいるのに、ソリテールを中心に置くだけで各キャラの違う面が勝手に出てくる。
今回のタイトル、『この探偵事務所に爆撃を!』なんだけども、読み終わって一番頭に残ったのが、「ソリテールちゃん、なんかめちゃくちゃ楽しそうだな……」。
そこまでが狙い通りかどうかは、一介の読み手は断言できないけども、少なくとも私は『相当成功してるなぁ』と思ったよ。


あぁ、そうそう。
それでいてソリテール、バンビ戦になると一瞬で『無名の魔族』らしい戦闘態勢出るのすこ。
防御魔法が単純に火力負けしたんじゃなくて「性質を変換された」と一発で分析。
バンビちゃん本人から能力説明を聞いたら、「じゃあ爆弾化される物質に、それ以上の質量をぶつければいい」と即席で対処。
しかもクライマックスが、レオンと二人でさ。

「さあ、防御は任せて。勇敢なナイトさん?」
「頼もしい限りだよ、お姫様」

……だよ?
さっきまでフェルンから「魔族です!信用するな!」と言われてた女が、数分後にはレオンと軽口叩きながら共同戦線張ってる構図。
……どうかな?
マジメに今回の主役、ソリテールだと思わない???


039『壊れた娘の使い道』



……大災害で草。
え? 「まだ何も始まってない」って?
いやいや。ほら、ここ。↓

宿儺は懐から自身のスマートフォンを取り出して参加者名簿を閲覧した。

西住しほ。
西住まほ。
西住みほ。

宿儺、ブツブツ大侵攻してるゆかりんから、彼女の大切な人──その家族丸ごと全部情報得てるんだよねえ……。


さて今回を踏まえて。
今後、宿儺はかなり「優花里単体で勝てるギリギリの相手」を選んでぶつけるんじゃないかなー、と思うんだよなあ。
だって今回の宿儺の思考、単に「お、便利な手駒発見」じゃないんだよね。
ほら。

  • ただの弱者→バッド・カンパニーで殺せる
  • ある程度の実力者→優花里が制圧される
  • 善人に制圧される→優花里を説得されて正気に戻される

……そこまで考える? ってくらい育成計画してるんだ。
ま、考えるんだろうねえ。宿儺だし。
だから、宿儺にとって一番おいしいのが、「優花里より少し弱いor互角(でも反撃はしてくる)」くらいの相手なんだよ。

しかも宿儺にとって腹抱えものなのが、もうゆかりん。
回りくどい策を講じなくても、現状かなり駒にしやすいこと。
もちろん、ゆかりんが歯向かったり、宿儺の思惑通りにいかなかったりすることもあるかもしれないけど。
……現状これだからねえ。↓

「て、敵影確認……! 距離八百……いえ、六百……ッ 撃て! 撃ってくださいぃ!」
「あはは……あはは、当たった、当たりましたよ西住殿……! これで、これでもう大丈夫……!」

地の文『誰もいない虚空に向けて、延々と砲弾を撃ち込み続けている。(無慈悲)』
ゆかりん自身も何に当たって、何故喜んでるのか分からないという。
そんな『絶望』なんてものを今までほとんど知らなかったカモが、目の前でチョロチョロしてるわけだから。
……まあ、宿儺視点で感情移入すれば気持ちは分かるよ。

さて、特筆すべきはラストだ。

この壊れた小娘を上手く飼い慣らし、手駒として従える。
弱者狩りにも積極的に活用し、娘を一端のマーダーに育てる。
そうして、この娘が知り合いと鉢合わせる機会が訪れたなら──。

「ケヒッ……」

ここで宿儺の目的がもうハッキリしてる。
……多分本人も、『想定する限り最も喜劇してるバッドエンド』想像して笑っちゃってるし。
宿儺は決して、「優花里を強くする」のが目的じゃない。
「西住家の前に、殺人者になった優花里を完成させて持っていく」のが目的なんだ。

みほ「優花里さん……?」
優花里「…………ぁ、」

……たぶん、ここ以降を見るのが本番なんだろうね。
呪いの王にとっては。あくまで前菜感覚で。
宿儺が今後、最大級の巨悪としてどう動くのか。
そして崩壊しかけのゆかりんが、ここからどこへ転がっていくのか。
その二つの今後をしっかり定めた今回。
地獄絵図の一画目としては、かなり凄い出来だったと思うよ。

……あ、そうそう。最後に。
『壊れた娘の使い道』←このタイトル、読み終わったあとジワジワ効いてくるねえ。
思えば今回、終始ほとんど宿儺側から「壊れた優花里をどう扱うか」を眺めてる話なんだよね。
爆弾戦車娘を宿儺が見つけた。本当にそれだけ。
二人はまだ干渉していない。
ゆかりんは宿儺の邪悪な視線すら認識していないんだ。
……だからさ、よ~~く覚えておいてほしいんだよ。

ただ首を刎ねて終わらせるより遥かに面白い。

斬首より怖い末路が待ってるらしいから。


040『新生シャドウ・コレクティヴ』



……これよ! これ!!
(前回書いた側として我出してゴメンチだけど、)続編としてすごく見たかったって話だ!
いや~、もうめっちゃ鳥肌立ったから先に、一番好きなとこ書いちゃうね。
モールのここ!

「この命の授業で再びシャドウ・コレクティヴを結成する」
↓
「ワイルドハントとやらもシャドウ・コレクティヴに加わってもらう」

そうよ、この二段論法ですよ!!
良いのが、コスミナの入ってるその組織に加入するじゃない。
ワイルドハントそのものを、シャドウ・コレクティヴに吸収合併する。
要するに、はるかかなた銀河系からのM&Aってわけだ。これぞ犯罪王。
前話『スタア誕生』で偶然できあがった三人組が、そのままモールの長期展開の起点に変わってる。
こういうの、リレー企画の醍醐味って感じでいいよねぇ。

さてさて前回。
『スタア誕生』では、「悪とは何か」「命令されてやる悪とは何か」「真なる悪役とは何か」。
和菓子ダウナーっ娘が、「真なる悪役」を主催へ焼き付けるという宣言で締めている。
つまり前回が『ヴィランとしての理念作り』。
で、今回はそこから一歩進んで、『ヴィランとしての組織作り』になってるんだよね。
前述のワイハンも含めて、ドロテアの加入や、三人の知己情報の交流など、今後の行動方針を明確に表した回なんだ。

そのためにも、モールは参加者名簿を眺めながら、自分の知る連中について改めて考えるわけだけど。
私が特に好きなの、ここなんだよね。
なんだろ。読んだ瞬間、ちょっとビビッと来たっていうかさ。
『アソーカ』の名を見て、初めてニヤリとしたところがめちゃくちゃ効いてると思ったんだ。

四つ目の名――アソーカ・タノ。
モールの口元に皮肉げな笑みが浮かんだ。

それまでの名簿確認って全部、モールが冷静に盤面整理してるんだよね。
シディアスには純粋な憎悪。ドゥークーには「利用できるかもしれん」。アナキンには警戒。
ところがアソーカだけ、憎悪でも警戒でもなく、妙な懐かしさ混じりの因縁になる。w
もちろん、「一度は俺と組むと言った挙句、結局俺を捕まえやがったあの女か……」っていう、モール側からすると割と屈辱的な思い出はあるだろう。
でも、最終決断はこうだ。

もし彼女の目的がシディアスの打倒にあるのならば手を組む余地はある。

『IF』。
マンダロアで成立しなかった共闘を、殺し合いの島でもう一度持ちかける可能性が出てきちゃった。ww

……考えてみればさ、今は状況が全然違うからねえ。
前はモールが「シディアスを倒すため俺と組め」とアソーカを誘った。
でも今回はモールが既にえっちゃん+コスミナを抱えて、シャドウ・コレクティヴ再建まで考え始めてる。
そしてアソーカ側も、前回と違って殺し合い+シディアス本人参戦という異常事態だから、同じ答えになる保証がない。
だから再会したら、「……以前の提案を覚えているか」が成立するんだよね。
そこがもう胸アツ。
また、妄想が膨らんで私は夜眠れなくなるわけだ。

【総評まとめ】
ワイルドハント6名は今や、原作のスピード感を忠実再現したかのように壊滅寸前。
2名が華々しく1話退場した今、フォースを使えなくても全滅は予測できるだろう。
ところが、そんな潰れかけのやりたい放題集団に、『シャドウ・コレクティヴ』が牙をむく。
……まあ、展開次第じゃドロテアらの命の保証まではしてくれないだろうけど。
少なくとも、加わること自体にそんな大きなデメリットがあるわけでもない。
何しろモールって、一度すべてを失ってから人生をゼロから作り上げた男だからね。
コスミンがモールの義足に触れて「じゃあ私の火照る身体、解消できないじゃ~~ん!!」みたいな反応してくれたのも含めて、前回書いた側としては嬉しい限り。

『悪≒マーダー』、その図式が、この先どこまで広がっていくのか。
シディアスを殺し合いに入れれるほどの巨悪(主催者)でさえ、その結果だけは読めないんだ。


041『イゾウを斬る』



……剣豪同士の、死合。
戦闘時、イゾウ側の心境を語るに、『死を覚悟した』わけじゃないと感じたな。
『死など眼中にないくらい、目の前の相手を斬りたい』。
生死を置き去りにした、剣豪としての本能のままのぶつかり合い。
その決着の先にて開かれた、セイバーの出す答えは、ただ春の夜の夢のごとし儚さがあった。

うん、今回は『剣豪死合』のリメイクとして相当綺麗だったね。
前回とほぼ同じ構図のまま、その差分そのものを決着理由にしてるのが一番いい。

『剣豪死合』ではイゾウ側が先手を取り、ドロテアが沙代を狙い、さらに桃花まで乱入したことで、セイバーは「沙代を守りながら七対一」という圧倒的な不利を強いられた。
今回はセイバー自身がそれを敗着として認識して、

「案ずるな。四人全員を相手取るつもりはない」
「水の壁でイゾウと他の三人を分断する。一騎討ちに持ち込めば私に負ける道理はない」

と、前回自分が押し付けられた戦場を、今度は自分で設計する側になる。
そして、そのために使われるのが沙代の令呪。
もうセイバーに守られるだけの存在だった娘じゃない。
マスターとしてセイバーに力を与え、自ら令呪を一画使うことを受け入れ、「忌まわしい力に殺されるのではなく、忌まわしい力を征する悪になれ」という覚悟を胸に、共に戦う側へと立っている。
つまり、イゾウを閉じ込めたあの水の壁には、前回には存在しなかった二人の『積み重ね』があるんだ。
だからこそ、セイバーの「一騎討ちに持ち込めば私に負ける道理はない」という言葉も重い。
『あの時の私とは違う。今の私たちなら、イゾウを斬れる』
そんな確信まで込められた一言に思えた。

対して、イゾウ。
水の壁で囲われた時の反応に、武者震いを感じたな。
普段なら、「小癪な真似を!」「姑息でござるな!」とか言わせそうなところを、彼は

「……成程」
「拙者一人を狙ったでござるか」

笑う。
歓喜する。
そりゃそうなんだよ。直前に自分の支給品を確認して、ドロテアに全部渡してるのだから。
彼が信じているのは、どこまでも江雪の剣先だけ。
イゾウにとって、水壁は牢獄じゃない。念願のリング。
「セイバーが拙者だけを選んで一騎討ちしに来た!」なんだ。

やりようによっては、セイバーは先手必勝で奇襲をかけることもできた。
でも、水の壁はあくまで一対一のサシの勝負のため作られたもので、イゾウもそれを理解している。
前回、先に「剣豪同士の死合」という空気を作り上げたのはイゾウだった。
今回は、それをセイバーの側から差し出している。
同じ二人、同じ一騎討ちでありながら、死合の始め方まで綺麗に反転しているんだ。


こうして始まった、刀がぶつかり合い。刹那の連続が絶え間なく続く死合。
今回のイゾウ、弱体化どころか前回より遥かに強くなってるんだよね。
超強化薬。
一錠目で既に身体能力を限界突破。二錠目でさらに上へ行く。
それでも徐々にセイバーが優勢なものだから、とうとう、「勝ちたい……勝ちたいでござるなあ」と、残り十数粒を全部飲む。
まるで江雪にも最期の一滴を飲ませるように、血涙を流しながらね。
……多分だけど、この時のイゾウには「江雪の願いに自分の身体だけが追いつかない」という焦燥すらあったんじゃないかな。
江雪に血を与えたいのか。ただセイバーに勝ちたいのか。
もはや本人にすら区別できないほど膨れ上がった執念には、危険薬の過剰摂取を迷う隙さえなかった。

その結果、遂には本来のセイバーすら一時的に押すところまで行く。
実際、左腕を深く裂いて、「このままなら押し切られる」とセイバーに思わせてるからね。
セイバーの動きを先読みし、その読みの先へ、薬によって得た人智を超える力を乗せる。
決着はイゾウの読み通りになるはずだった。


でも、
その刃は届かなかった。


天叢雲剣の刃がイゾウの胸を深々と斬り裂いた。
時が止まったかのような静寂が水壁に囲まれた空間を満たした。
「がはッ……」

──なぜなら、イゾウは強くなりすぎたから。
彼が最初から持っていた最強の武器って、実は江雪ですらないんだよね。
セイバーの言う通り、「読むこと」。
経験と観察から相手の次の動きを読み切る、未来予知じみた剣士としての完成度。
それが『剣豪死合』でセイバーと渡り合えた理由だったんだ。
なのに「もっと速く」「もっと強く」「セイバーに勝ちたい」で薬を積み重ねた結果、肉体の速度に、イゾウ自身の思考が追いつかなくなる。
これは剣豪に限らず、多種多様な事柄に言えるけども、強さ求めすぎると、自分が元々持っていた強さを見失うんだ。
そんな薬一つに支配された男が、──沙代と共に戦い、鬼龍の魂を背負うから強くなった、セイバーに斬られる。
『剣豪死合』の構造が完全に裏返った瞬間が、読んでいて鳥肌を隠せなかったよ。

そして、決着後。
息も絶え絶えのイゾウは、セイバーへこう願いを託す。

「江雪に……もっと多くの血を与えてくれとは言わぬでござる」
「ただ……拙者の愛した、この刀を」
「貴殿に託したい」

……ここさ、違う世界線。『一斬必殺・村雨』に斬られた時のイゾウは違ったんだよね。
「拙者はいい。江雪を」「この刀に、もっと血を吸わせてくれ」と。
最後まで江雪に血を吸わせることを望み、アカメは突き放した。独りよがりな願いだった。
でも、セイバーとの死合を終えたイゾウは違う。
「自分が愛した刀を、自分を斬った剣士に託したい」。
一人の剣士から、自分を斬った剣士への最大級の敬意。
だからセイバーも単なる悪党として処理せず、

「……見事な剣士だった」

その一言で送ったんだと思う。


今回の一閃。
『剣豪死合』で完成していたイゾウという剣士が、強さを求めて自分自身を壊し、最後に原点へ戻るまでを描いてから斬る話になってる。
狂気に呑まれても。薬で自分の身体を壊しても。最後の最後まで、江雪だけは刃毀れ一つさせなかった。
だから、一騎討ちの意味も、沙代の意味も、セイバーの強さも、イゾウの強さも、江雪の意味も、決着の意味も全部変わってるんだ。
前作を否定せず、むしろ前作があったから今回の一太刀が成立する。
この美しくも儚い二戦構成は、作者様だからこそ描けたものだと私は思ったな。


042『エイリアンVSヴォルデモート』



……ワームテールやろもうこれ。
夢の対決。エイリアンvs闇の帝王──A.v.V。
そして壮絶な死闘が痛み分けに終わった今、実質的勝者はパンジー・パーキンソンだったりする。

秋の夜長は金曜ロードショー・お辞儀祭り。
いや~~、めっちゃくちゃ哀れだったねえ……彼。(名誉を考慮して名前は呼ばない)
彼、一応戦闘には勝ってるんだよ?
勝ってるはずなのに、読後感が完全に敗者なのがもう……。w

さてさて、ここで彼のバトロワ人生を振り返ろう。
前々回は宿儺・ゼオンと並び、「史上最悪の魔術師」として最大火力をぶつけ合っていた。
しかも本人はほぼ無傷。三頭政治とはいえ、あの二人を相手に『勝ち逃げ』できる程度には確かな格があったね。
で、前回もセイバー相手にアバダ連射+姿くらまし連打で、少なくとも『触れたら死ぬレイドボス』ではあった。実際、鬼龍を殺れてるし。
……それが今回。嗚呼、我々の知る彼はどこへやら。
悲惨の見本市、ここに極まりである。

  • アバダ! → 出ません。
  • インペリオ! → 効きません。
  • 姿くらまし! → 一回でめっちゃ疲れます。
  • ゼノモーフ「シャー」 → 腹ブッ刺されます。
  • クルーシオ! → やった!これは効いたぞ!?
  • そして写真を見れば、おかっぱ頭のパグ犬がドヤリッ。

もうね……もう、あまりにも転落が美しいよ……。
特にだいすきなとこが、やっぱクルーシオが効いた瞬間。

「どうだ。下等な魔法生物め」

ちょっとだけ元気になってて草。
腹貫通して血ダラダラやないけお前!ww
しかもクルーシオが効いたことで「まだ俺様は闇の帝王だ!」って尊厳をギリギリ回収した直後さあ。
ディフィンド撃ったら、相手の返り血で左目を失っちゃうわけじゃん? 彼。
想像してみなよぉ~。
(そりゃゼノモーフの血は初見殺しではあるけども、)酸血浴びて「目がぁああああ!!!」……でっせ?
この戦闘、闇の帝王様が何か成功するたびに罰ゲームが発生してるのがすごい。

で、断トツ哀れポイントがここ。
↓↓↓

「この島の制限は俺様だけではない」
「グリンデルバルドにも同じ制限がある」
「ならば今の俺様でも敗北することはない」
──グリンデルバルドを探すために。

……心の声聞こえたかもしれないの、私だけかなあ?
『俺様がこんな目に遭ってんだから、アイツも……』
平常時の彼なら、今のコンディションでグリンデルバルドを探して積極的に交戦するより、まず回復と戦力確保を優先しそうなんだよね。
でも今やそんな余裕さえない。
だって腕ボキボキだし。胸も痛いし。
腹には穴開いてるし。片目は溶けたし。
魔力もガッツリ減ったし。杖は顔写真付きだし。
そんな状態で出した結論が、「よし、探して殺してやる」なの、もうすっげぇ悲しい。
なんだろ。
お父さんが急に「パパな、ゆっくり解説動画に人生賭けてみようと思うんだ」とか言い出した時くらいの悲哀感あるんよ。

でさでさでさ。
そんな彼の悲惨さを、これでもかというほどコントラストさせてくれるのがエイリアンなんですよ。

(もちろん大前提として、ゼノモーフに「闇の帝王に勝った!」「強敵を追い詰めた!」なんて認識はほぼないとして)戦闘以降、


攻撃受けた
↓
退避
↓
なんか回復できそうな液体ある
↓
😪💤

以上。
ゼノモーフからすると、あの男は「遭遇した危険な獲物/敵」の一匹にすぎない。
しかも逃げ切ったら即座に生存本能へ切り替えて回復行動。
ゼノモーフに、彼の尊厳なんて一ミリも関係ないのだからね。
だから構造的には、ヴォルデモートだけが死闘してるんだ。

……あぁ。名前、呼んじゃったね。


043『カルネアデスの舟板』



……
え~~……トロッコ問題、というものをみなさんご存知でしょうか。
ああ。私ならどうするか、ですか?
ん~~……、……んっふふ……。

もし私がその場に居合わせたら、間違いなくレバーには触らないでしょうねえ。
“事故”を“事件”にしたくはありませんので……。

……正直、冒頭から例の古畑BGMが脳内再生された人、多いんじゃないかな?
トロッコ問題における功利主義か、義務論か。
そんな大仰な倫理の話には踏み込まず、「人間が意図的に介入した瞬間、事件になるから触らない」という、刑事ドラマの文法で答えた古畑クオリティ。
この絶妙な理屈を出して、結果として本人の倫理観が透けるのがものごっつ古畑だよ。
で、そこから本編では、すっかり容疑者役としてエミュを上げた『やさしいお医者さん』神谷センセご登場。
彼が、虎視眈々とこの盤面が揺れ動く瞬間を狙ってるのだから、『本格サスペンス』の幕開けとしては💯なんだ。

……え~~、さて。
さてですよ、皆さん。
今回の話の凄いところは、そこなんだよね。
その本格サスペンスの核に、『みくるの成長』を取り入れているんだ。

完成された推理者が未熟な子供に答えを教える話じゃない。
子供が自分で考えて一歩踏み出す瞬間を、大人の推理者が見つけて、少しだけ背中を押す話。
私は古畑とみくるの関係に、どちらかといえば『真夏の方程式』を連想させられたよ。


振り返ろう。
みくるが最初に言ったのは、あくまでさ。

「わたしもっ────上条さんと、一緒に行かせてくれませんか!?」

だけなんだよね。
この時点では本人も、役に立たなきゃという焦り+詳細名簿を自分しか使えないという発見で半ば衝動的だった。
つまり、完成された作戦を持って立候補したわけじゃないんだ。
でも古畑は、その未完成な「私が行く」に含まれている合理性を即座に拾ってさ。
「そうとも限りません。ですよねぇ、小林さん?」って振る。まずみくる本人に説明させる。
そしてみくるが、「このスマホは散策に行っている人達の方が必要だと思う」まで自分で言った時。
……その時の、古畑の反応。いいよねえ……。

「えー、はい。その通りぃ」
「我々待機組は集合時間の“18時”まで外の情報を得られない上、どうしても又聞きになる」
「対して、八神さんたちはリアルタイムで直接参加者と接触できます」
「どちらが“詳細名簿”を必要としているか……ンフフ、言うまでもありませんよねぇ」

……分かるかな?
つまりさ、みくるの『今持っている情報と道具から、次に何をすべきかを考えて、自分で動こうとする能力』。
それを評価して、古畑は拍手代わりに、彼女の発想を言語化してくれたんだ。
……少なくとも、私は二人の間にそういうものが見えたよ。

だからこそ、みくるがこの場を去る時の古畑も好きなんだよねえ。
古畑は、身支度を整える彼女の背中を少しだけじっと見つめてから、突然ホームズの話を振る。
あの時の彼、満足そうで。でも……どこか寂しげにも見えるんだよね。
それは決して、『みくるがこの場からいなくなるから』とか、『もう戻ってこないかもしれないから』とか、そういう感傷じゃない。
【幸福論】では、古畑が吉良を追い詰めていく一方で、みくるは本物の推理を目の当たりにして、自分との差に打ちのめされた。
そして今回も、別にみくるが古畑と同じことを出来るようになったわけじゃない。

でも。
古畑には古畑の武器がある。
みくるにはみくるの武器がある。
──そのことを、何よりも古畑が認めている。

「彼(上条)の最大の武器はですねぇ、推理力や口の上手さではなく“行動力”にあると思っています」
「え~~……小林さん。今の貴方には“それ”があります」

……みくるが去る直前。
まるで、「危なっかしいなあ」「本当なら止めたいんですがねえ」「……でも、止めちゃいけないんでしょうねえ」。その全部が混ざっているような、古畑の静観がさ。
……うん。すごく心に来たんだよ。

もちろんだけど、そんな二人の間に共有された思いは、残りの三人は知らない。
知る由もない。
……フェルンとか、終始ジト目だっただろうしね。

でも、神谷センセはみくるが一歩進むたびに一々狼狽して。
そして最初は古畑の判断に反対していた上条さんも、最後にはみくるの意思を受け入れる。
階段の先で、右手を差し出してさ、「ああ! 一緒に頑張ろうな、小林!」って。
「守ってやる」ではなく、『一緒に頑張ろう』ってね。

今回。
──容疑者・神谷実が、自分の足で古畑の懐へ残ったことも含めて。
八神探偵事務所で交わされた選択は、二人の推理者に確かな『今後』を残したと思うな。


045『火を点けろ、燃え残った全てに』



……参りました。
私の拙作『はらいもどしRabbits!』では、しほさんを「母」として描くことに軸を置いたんだけどさ。
西住流戦車道・家元としての知略とか、陸戦用ストライカーユニットとの相性とか。そこまでは表現しきれなかったんだよねえ。
だからこそ、今回。……いやいや、目柱が燃え盛る……。
「西住しほの強さを、どうクロスオーバー戦闘へ翻訳するか」。そこを考え抜いてる構成に脱帽の極みだった。
なので改めて、何度でも言っときます。
参りました。しほさんのファンになりました。


「――Panzer vor」
そして、反撃が始まった。
パンツァー・フォー。


言わずもがな、まずここ。
これ以外に台詞はない、ってくらい熱いよねえ。
単にお馴染みの決め台詞を言わせました、ってだけじゃないのがまた良いんだ。
だってさ、しほさん。
直前まで黒岩から見たら、ずーっと「負傷したウサギ」「伏黒より弱い獲物」「頭のおかしいバニー女」なんだよ?
一兎を追う狩人──黒岩は完全にハンティングのつもりで来てるわけだ。
で、アビスラッシャーを突っ込ませる。はい、獲った。
……と思った、その瞬間。しほさんが振り向いて、『パンツァー・フォー』。
これがさぁ、もうクッソかっけえんよぉおおお~~~。
「私をただのウサギとお思いで?」そんなスピリッツが、ビッシビシに響くんよ。

そして、瞬きする間もなく西住流バニーvs殺し屋の激闘開始だ。
目には目を。歯には歯を。変身には変身を。……んで、『鮫には報いを』ってね。

アビスラッシャーが左右から双刃を振り下ろした瞬間、しほさんはその両方を素手で受け止める。
そして、伏黒の遺体の痕跡を発見した後、「報いを──」「──受けなさい」。
顎を上下にぶち抜く。
……一閃後、黒岩の「は?(直球)」も無理はない。ほぼ、読者の声代弁みたいな結果なのだから。

特に、伏黒の遺体発見時が良いよね。
「許さない!」とか叫ぶわけでもなく、泣き崩れるわけでもない。

「……そう。食べたのね。恵さんを」

目を背けたい事実を、しっかり奥歯で噛み締める。
そのうえで、怒るべき相手をきっちり見据える。
で、双刃を握り潰して、口に両手突っ込んで、上顎と下顎を力任せに引き裂く、と。
アビスラッシャーを馬鹿力で沈めたことももちろん凄い。
でも、それ以上に好きなのが、この静けさなんだよね。微風すら目立つくらい静かに怒ってる。
それがもう、「ああ、西住流戦車道の家元だなあ」って感じなんだ。

でも、本当に凄いのはここから。
ここからが本当に特筆すべき点なんだよ。
第一段階は前述の通り、『なんだこのゴリラウサギ!?』でヴォルテージを上げるんだよね。
……そう。『第一』段階。まだ、西住家の流派を全部見せつけきっていない。
第二段階:『なんだこの戦術眼!?』
ここから我々は、しほさんの底の無さを見せつけられるわけだ。

陸戦ウィッチ化したしほさんは、再び迎撃に向かうけども、上手いのがこれ。
「陸戦ストライカーが強かったので勝ちました」じゃない。
むしろ装備は「西住しほの戦車道」を表現するための車体に過ぎないところなんだよ。
しほさんは、アビスラッシャーを最初に殺さない。
頭部を破壊して思考能力だけ奪い、生かしたまま盾にする。
それでアビスハンマーの砲撃を受け、最後は残った頭部を質量弾としてアビスハンマーへ撃ち込む。
一連の流れはさ、完全に『戦場に存在するもの全部を戦力として勘定する指揮官』なんだよね。

さらに後半だ。黒岩が「戦車なら上を取ればいい」と判断する。
……うん、ここは黒岩として正しいよね。
戦車は跳べない。砲塔もない。だから上空を取れば勝てるし。
でもさ、戦場において、「自分の中では正解」ってのが一番怖かったりするわけで。

「ウサギはね。月まで跳べるのよ」

──黒岩が「しほ=戦車」という比喩を理解した瞬間、その理解そのものが罠になる。
これは、前回『ウサギとカメ』では、黒岩にしてやられているから、『指揮官』としてやり返す構図になっているんだよね。
いや熱ない?!


で、最後。
黒岩もようやく気付く。

なんでこいつ、俺より判断が速い?
なんで全部先手を取ってくる?

そこで、今までの全部が一本につながるわけだ。
血痕が途切れたこと。──『追われることを予測して、敵を誘導していた』
ウサ耳が置いてあったこと。──『ミラーモンスターを先に出させて、黒岩の初手を観測していた。』
高所を取っていたこと。──『下半身の武装を隠しつつ、位置エネルギーまで攻撃に利用していた。』
ぜーんぶ、つながって。

「……てめえ、最初から……!」

ようやく黒岩は全貌を悟る。
遭遇戦じゃない。最初っから、西住しほが用意した『待ち伏せ』だってことを。
魔術髄液。
陸戦用ストライカーユニット。
そして、西住しほ本人の戦術眼。
この三つが噛み合って、初めて勝因が完成する。
つまりさ、今までは「戦車」っていう媒体を通して発揮されていた西住しほの能力を、殺し合いっていう全然違うルールへ、きっちり移植してるんだよね。

だから、「強い支給品を引いたから強い」じゃない。
「謎パワーで身体能力が上がったから強い」でもない。
西住しほが、西住しほのまま強い。
ここが、私は一番好きかな。
最終更新:2026年09月29日 01:03