『第一回放送』
(キャラ) 森口悠子
キーン、コーン──、
カーン、コーン────。
午前六時、ちょうど。
六つの学び舎から、同時にチャイムが鳴り響いた。
雄英高校。
大洗女子学園。
東京都立呪術高等専門学校。
穂群原学園。
かつてジェダイを志す子供たちが集った、ジェダイ・テンプル。
──そして、黄金に輝く高校。
本来なら決して重なるはずのなかったチャイムたちが、エリア全体に響き渡る。
命の授業──『一時限目』、終了の合図。
かつて、主催者である森口悠子はこう言った。
『人は命に感謝しません。……何故でしょう?』
『それは、皆さん、“明日も生きている”と、何の疑いもなく信じているからです』
あれから、六時間が経った。
明日どころか、今日を生きることさえできなかった者がいる。
森口の言葉を借りるなら、彼らは命に感謝する機会を得たことになるのだろうか。
それとも、授業の内容を理解できなかった、落第生とでも呼ぶべきなのだろうか。
感情の抜け落ちた、淡々とした声で。
『第一回死者放送』という名の出席確認が、静かに始まった──。
「一時限目、お疲れ様でした」
◆
皆さん、おはようございます。担任の森口悠子です。
午前六時になりましたので、予定通り、第一回の放送を始めます。
まず、禁止エリアについてお伝えします。
今回新たに指定される危険区域は、B-5、F-2、H-6の三箇所です。
該当するエリアに立ち入った場合、装着されている首輪が爆発しますので、十分に注意してください。
続いて、これまでに命を落とされた生徒の皆さんのお名前を読み上げます。
伊地知虹夏、
河合美津子、
小川さくら、
由比ヶ浜結衣の母親、
織田敏憲、
緑川リュウジ、
園みどり子、
新名、
フィン、
ローズ・ティコ、
東方仗助、
ナナリー・ランペルージ、
チャンプ、
佐倉千代、
チャンプ、
エンシン、
ベン、
伏黒恵、
レイ・ペンバー、
宮沢鬼龍、
三島創、
イゾウ、
秋山優花里、
ターボババア、
新田ヒナ、
グラディス。
以上、26名です。
心より、お悔やみ申し上げます。
それから、このゲームにおける『願い』についてです。
まだ信じられないという方もいらっしゃるでしょうから、改めて説明しておきます。
最後まで生き残った方の望みは、どのような内容であれ、確実に実現されます。
財源や技術的な背景、現実性といったものを、皆さんが心配する必要はありません。
あくまで『結果』ではなく『そこに至る過程』こそが重要だそうですので、約束通り、処理されます。
その後、元の世界へ帰します。
あわせて、『マップアプリ』についてのお知らせです。
この放送が終了し次第、アプリ内のデータが最新のものへと更新されるとのことです。
端末に通知が届くはずですので、各自でしっかりと確認しておいてください。
以上、主催者から四点、真実のみをお伝えしました。
内容を信用できない場合は、禁止エリアに入って確認してください。
その場合、首輪が爆発します。
──ドガーン、って。
◆
ブー、
ブー。
電子音が、ふたつ。
宣言通りに、スマホが震えた。
『【マップ】更新のお知らせ』
──佐倉千代には、必要のない情報だというのに。
届くはずのない人間に向けられた、死者への唯一の『誤通知』。
無人の喫茶店に、その無機質な振動音だけが虚しく響く。
もちろん、誰の耳に届くこともなく、静かに消えた。
【シン・バトルRワイヤル】
【──『命の授業』】
【Season2 開始確認】
【残り……77人】
最終更新:2026年10月15日 21:06