12-334「Did we confess, in real. 」

Did we confess, in real.

「あー、佐々木君。これはですね……」
興味ない。
思いはしたがはっきりそうであるとは言えず、僕は教員の話に相槌(返事とも言う)をし、
彼がどっか隅で手を上げた女子生徒(塾だがら塾生だろうが)のところへ行った後
僕はなんとなく前の席に座るキョンと目を合わせた。
笑っているように見えたが、彼は何も言わない。僕は何も言わない。

超A級スパイが軍用飛行機を滑空させて最後には海へ飛び込んだ昨日の映画を思い出しながら
塾仕様の微妙に外したような答案用紙と幾つか散らばる斜め十字を見て
大袈裟に自棄に成ったりもせず、かといって何か発起させるわけでも無く
僕は(表向き)真面目に終業を待った。僕らの塾ではチャイムは鳴らない。
せっかちな事で有名なその講師(教員といったが、別にどちらでもいい)は
二言三言何がしかの心構えについて語った後
駆け下りるように去っていった。どうせ後で受付で姿を見ることになるのに。

僕がキョンの自転車に乗る時、彼は何も言わない。僕も何も言わない。
菓子の交換すらしない。
或る日唐突に彼がにやついた顔で「どっか行こうぜ」とか何とか言うわけでは無く、
僕が或る日突然自転車を漕ぐ彼の目をわざとらしく塞ぐようなことも無い。
どちらかがそんなことをすればどちらかが相手を張っ倒すだろう。僕はそう考えることにしていた。
彼もそうだろう。

夕暮れ。何故太陽の色が変わるのか彼に訊いてみようかと思った。そして止めた。
彼は僕が知っている事しか言わないだろう。僕はそう思っていた。

彼は何も言わなかった。僕は何も言わなかった。
別にその日に限らない。僕はそれでいいと思っていた。何故か。

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最終更新:2007年07月20日 21:45
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