68-909「まだ今年は残ってる」

佐々木「キョン、知ってるかい。大晦日の夜12時ごろに神社にお参りすれば
     二年参りと言ってご利益もお得だそうだよ、
     万事ものぐさな君にはピッタリだろう?」
キョン「呼び出した理由はそれか?何でこんなこの草木も凍る晩にお参りせにゃならんのだ。」
佐々木「まあまあ、そう言わずに。」

本来ならば俺は家族と年越し蕎麦でも食ったり、
あったかいこたつで妹とシャミと共に紅白でも見てたはずなんだ。
それがこれだ。つくづく俺はお人よしということか。

佐々木「神社の方でも所によっては振舞い酒も用意してるそうだよ。随分親切なことだとは思わないかい?」
俺は成人まで(もう)酒は飲まないんだ。そう決めてるんだ。
佐々木「僕たちには甘酒ぐらいがいいんだけどなあ、あ、キョン、除夜の鐘が聞こえるよ。」
ああ、聞こえるさ。煩悩を消し去っても悩みなど消えないとは知りたくはないものだった。
佐々木「むう、さっきからダンマリとは君らしくないね。」
寒くて喋ると凍え死にそうなんだ、聡明な佐々木さんよ、気づいてくれたまえ。

佐々木「ぎゅっ」
…抱きつくな。
佐々木「もう少しだけ」
心の声を読むな。
佐々木「キョンが喋ってくれないんじゃ、これから神様にお参りに行く甲斐もないじゃないか」

そう言った彼女の笑顔が眩しくて。
ふっと思いついたささやかな希望を、俺はこれから神様に願ってみるかと思うのだった。

おしまい

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最終更新:2013年02月03日 18:10
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