昼休み、谷口がいきなり変なことを言い出した。
谷口「おーい、キョンお前の姉さん美人なんだってな。」
キョン「あ?誰がそんなことを…ってお前か。」
国木田「ゴメンね。谷口がいろいろと聞いてきてね。」
谷口「どうなんだよー。本当なんだろ?一度あわせてくれよ。」
キョン「あーもう、うるせーな」
キョンの姉貴が佐々木で、佐々木の弟がキョン
キョン「ただいま。」
別に誰に言うでもなくつぶやく。習慣ってやつだな。聞こえていないと思っていたのだが聞こえていたらしい。
佐々木「おかえりキョン。今日は真面目に勉強したのかい?母さんが君の成績表を見て、何度もため息ついているようだったが」
玄関に立っているこいつは俺の姉貴だ。妙に小難しい話し方をする。頭はいいほうだ、俺と違ってな。
キョン「ああ、ただいま。ところで何故、玄関に立っているんだ?」
佐々木「君の帰りを待っていたといったら?」
キョン「は?」
佐々木「くっくっ、嘘さ。ただここを通り過ぎようとしたら君の自転車のブレーキ音が聞こえたものでね、待っていたのさ。」
キョン「ああそうかい。」
そういって俺は靴を脱ぎ捨て、自分の部屋に行こうとするときに、呼び止められた。
佐々木「ところでキョン。君は今日の夜、何か用事はあるかな?」
キョン「別に何もないが…なにかあるのか?」
佐々木「いや、今日ビデオ屋に行ってみたんだ、そしたらなかなか面白そうなDVDがあってね。」
キョン「ああ、いいけど…何借りてきたんだ?」
佐々木「『時をかける少女』さ」
キョン「…それこの前にテレビできていたぞ。」
佐々木「ああ知っているさ、しかし僕はそれを見ていないのだがね、友達が面白かったといっていたのを思い出してね。」
キョン「ああ分かった。」
佐々木「では、楽しみにしているよ。」
その後、飯食って風呂入ってシャミセンとベッドでゴロゴロしているときにノック音が聞こえたので、適当に返事した。
佐々木「キョン?起きているかな」
キョン「ああ、まだ9時だからな、寝る気にはなれないんでな。」
佐々木「じゃあ見ようか。」
そして、俺らは『時をかける少女』を見始めた。
佐々木「…時間は不可逆といっているのに何故主人公は戻るのだろうね。」
キョン「そういうものだ。映画なんだし適当に見ておけ」
佐々木「つれないな」
まあ内容は割愛しよう。というか、途中から意識がないんだ。つまり寝たんだ。
キョン「…ん」
目が覚めた。目の前には姉貴の顔と、蛍光灯。妙に柔らかい感覚。
佐々木「やっと起きたかい?」
キョン「…俺、寝てたのか?」
佐々木「主人公が告白される前にね。」
キョン「…どの場面だよ。」
佐々木「なんせ君が寝ていたときだ。わかるはずもない」
キョン「そうだな。」
佐々木「あと、そろそろ降りてもらえるとうれしいのだがね。」
俺はそのとき理解した。姉貴は俺を膝枕していたのだ。
キョン「わ、悪い。」
佐々木「別に悪い気分ではなかったのだが、足がしびれてきてね。」
キョン「今…何時だ?」
俺が時計を確認する前に姉貴は答えた。
佐々木「深夜の2時さ。君はずいぶん寝ていたようだったが、そんなに疲れていたのかい?」
キョン「別に疲れることはしていないさ、ハルヒからギャーギャー言われて、変な集まりの中で古泉とゲームして、朝比奈さんのお茶で喉の渇きを潤して、長門の本の合図で帰ってきたのさ。」
佐々木「楽しそうだね。僕もそんな高校生活が送れたら良かったものなんだが。」
ああ、言い忘れてたな。姉貴は大学生だ。近くの国立大に推薦で軽々入ったのだ。
キョン「平穏な高校生活が欲しかったよ。俺は。」
佐々木「あとで思い出すと、いいものだと思うよ。」
そういうと、姉貴は立ち上がり、部屋を出て行こうとする。俺はただ、その姿をボーっと眺めていた。
佐々木「どうしたんだい、そんなに見つめて。僕と一緒に寝たいのかい?」
俺はすぐにからかっているものだと分かった。本気でこんなことをいうやつがいるわけがねぇ。
キョン「ああ、寝たいよ。」
からかわれたら、からかい返す。基本だな。しかし、意外な答えが返ってきた。
佐々木「そうか。嬉しいね。じゃあ寝るとしようか。」
俺は最初訳がわからなかった。ああ、からかってるんだな。ならば徹底抗戦だ。
キョン「じゃあ俺はもう寝る。」
そういうと俺は布団をかぶった。こうして、相手の出方を待つ。「くっくっ、冗談だよ」とでもいうがいいさ。
佐々木「もう少しつめてくれないか?僕のスペースがないんだ。」
徹底抗戦だ。言われたとおり、少しつめる。
佐々木「ああ、このくらいあれば大丈夫だろう。」
そういうと、姉貴は布団に入ってきた。
佐々木「おやすみ、キョン」
そういうと、姉貴は目をとじた。しかし、シングルベッドに二人はきつい。
キョン「……」
俺は絶対そのうち起きて、「本気にしたかい?」というのを待っていた。しかし、
佐々木「くーくー」
規則的な寝息が聞こえてくる。これも罠か?と思ったときに姉貴はもぞもぞと動きながら俺の真後ろに来た。
寝息がうなじにかかり、こそばゆい。それになんか甘い匂いもしてきた。
俺はうろたえている間に姉貴は俺の脚の間に脚を絡ませてきた。
くそ。こんな攻撃耐えてやる。耐えてやる。たえて…や…r
ふと目が覚めると、目の前は真っ暗だった。何か目の前に圧迫感がある。柔らかい。いい匂いがする。
頭が覚醒してくる…まさかな…そう思って頭を離そうとしたが頭が何者かにロックされているらしい。離れようと少々暴れると、嫌な事態が起きた。
佐々木「ん…きゃぁ!!」
妙に可愛らしい声とともに投げ出された。久しぶりかもな。姉貴のこの声。
そうだ。わかっている人もいるかもしれないが俺は姉貴の抱き枕状態で寝ていたのだ。ついでに言うと、姉貴の胸は朝比奈さんに比べるとまだまだだな。比べるものが悪いのか?
とまぁこんな感じで俺の日常は過ぎていく。まぁ退屈になることは少ないな。多分俺は楽しいと思っている。
そして今日も、
佐々木「キョン、今日も暇かい?…ちょっと買い物に付きあって欲しいのだが…」
と、こんな感じだ。
fin
最終更新:2007年07月26日 23:10