佐々木さん、最後の一葉の巻
病院にて
佐々木「十二、十一、十……」
橘「佐々木さん、何を数えているのですか? 窓の外には小さな庭と木くらいしかないのです」
佐々木「六。折れるのが早くなってきたわ。三日前は20近くあったのに。数えていたら頭が痛くなったもの。でも、今は簡単だわ。また一つ落ちたわ。あと、五つしかない」
橘「だから何なのです」
佐々木「葉っぱよ。あの蔦のつるの。最後の一葉が落ちたら、私のフラグがへし折れるの」
橘「そんなバカな話はないのです。退院したら、一緒に新世界を創造して、ヒロインになるのです」
佐々木「いいの。明後日は嵐になるわ。きっとそれで最後の一葉が落ちて、
私の使いすてのテコ入れキャラとしての寿命も終わるの」
橘「そんなことありませんってば!」
橘さんがどんなに言葉をつくしても、佐々木さんはどんどん衰弱していきます。
それにあわせるかのように、葉っぱは一枚、また一枚と落ちていきます。
それと同時に阪中さんが元気なくなったり岡田さんが元気なくなったりしましたが、それは余談です。
困った橘さんは、とうとうキョンに全てを打ち明けました。
佐々木さんが入院して心細くなり、最後の一枚が落ちると同時に、自分のヒロインとしての
立場も終わると思い込んでいることを。
キョンはそれをツッコミをいれずに聞き、何か考えていたようでしたが、何も言わずに立ち去りました。
そして嵐の夜が過ぎました。橘は祈りながら一睡もせず夜をすごし、翌朝一番に佐々木さんの所へ行きました。
佐々木「ねえ橘さん、ブラインドを開けてくれないか。もう覚悟はできてるから」
橘「だめなのです佐々木さん!」
佐々木「お願い、橘さん」
観念して橘がブラインドを開け、おそるおそる蔦を見ると、
どうでしょう。最後の一葉が、嵐にも耐え、けなげにも残っているではありませんか。
橘「見てください佐々木さん、あの葉っぱを」
佐々木「ああ、なんてこと。……ごめんなさい橘さん。私甘えていたわ。
佐々木団の団長として、そして中学時代のキョンを知る唯一のヒロインとして、
私がんばってみる!」
橘「佐々木さん、その意気なのです!」
そこへ、佐々木さんの部屋に来客が。
キョン「よう佐々木、元気か?」
佐々木「き、キョン! ……とそちらは」
キョン「お前が元気ないって聞いてな。長門に頼んで、あの葉っぱの時間を凍結したから。
これでいつまでも葉は無事だぞ。よかったな佐々木。
長門が特殊な能力使ったのはナイショで頼むぞ」
佐々木「……」
長門「……いい。あなたのタメだから」
キョン「いつもいつもすまんな長門。じゃ、俺はお礼を兼ねて長門と図書館行って来るから。
早く元気になれよ、佐々木」
長門「……行く」
橘「……」
佐々木「……………………」
橘「またいつものオチですかー!!」
最終更新:2007年07月30日 21:59