15-653「ゲーセン佐々木団」

『ゲーセン佐々木団』

俺は今ゲーセンに来ている。
とは言っても一人で暇つぶしに来たわけではない。
谷口や国木田と遊びに来たわけでもないしSOS団で不思議探索をしているわけでもない。

しかしまぁ、お前らとゲーセンに来ることになるとはな。

「くっくっ、中学のときは時々来ていたじゃないか」

お前はそうだがこいつらまで来るとは。

今回の面子は佐々木団の面々+俺だ。
でも藤原は欠席、集合写真を撮れば右上のほうに丸く映っているかもしれない。

「私は佐々木さんの行くところなら何処にでも行くのです」

「此処は───何処──音が──多い──ところね」

というかお前らゲームなんかするのか?

「私だって能力身につける前は普通の女の子でしたから、プリクラくらいは撮りますよ」

写真を残すと新世界の神に裁かれるぞ犯罪者。

「んん…もう!私の神は佐々木さんだけです!」

まぁいい、なんかやるか。

「キョン、久しぶりに君がアレをやるところを見てみたいな」

あれ?ああ、あれか?

結構昔のゲームだから今でも置いてあるのか?ここ。

あ、あった。

「あ、これなら知ってます!」

なんだ橘、やったことあるのか?

「原作が好きなんです、キョン君勝負です!」

まぁいいけどさ。

対戦台の両側に俺と橘が座ってコインを投入。
佐々木と九曜は俺の後ろでゲームを観戦している、橘は1人で反対側だ。

「佐々木さんの前でボコボコにしてやります!」

……なんとなくむかついたのでペットショップを使ってボコボコにしておいた。

「んん…!もうっ!」

橘を瞬殺した俺はとりあえずストーリーモードを勧めておく。
橘は端っこのほうでベコベコに凹んでいる。
何十回もクリアしたストーリーモードなどワンコインで楽に攻略だ。
数分後にはジョースター家一行は全滅していた。
君は相変わらずうまいね」

やりこんだからな。

「興味のあることには物凄い才能を発揮する……キョン、君は将来年収なんかよりも興味を優先して就職すべきだね」

遠まわしに馬鹿にしてないか、それ。

「そんなこと無いさ、僕はキョンのこと結構尊敬してるんだよ」

ゲームで尊敬されても嬉かねぇな。

……九曜、それはデモムービーだ、いつまで眺めてるんだ。

「ザ───ワールド───時よ───止まれ───」

止まらん……いや、出来てもやるな。

「昆布に───して───くれるぜ──」

もう訳がわからん。
というかそんなマニアックなところから持ってくるな。

「佐々木さん!プリクラ取りましょう!」

もう惨敗の凹みから回復したのか橘。

「んん…!もうっ!次までにボコボコにしてやります!」

多分無理だ。
だって橘だから。

「プリクラか、いいね。キョンもどうだい?久しぶりに」

ん、いいぜ。

「えー、じゃ三人ですか?」

「嫌ならキョンと二人で撮ることにするよ」

「あ、いや三人でいいです、三人で」

おいおい九曜はどうした。

「さっきのアレをまだ眺めてます」

「新しい───ページが───現れた───」

聞き様によっては不思議なことが起こる複線みたいなセリフだな。

テコでも動かない九曜を放置して三人でプリクラに向かう。
並び準は外側から橘、佐々木、俺。
電子音が写真の撮り方を説明する。
もうジャックフロストのやつは無いんだろうか。
『じゃあ撮るよ!3・・・2・・・1・・・』

「え?きゃ!?」

シャッターが切れる直前に橘が素っ頓狂な声を上げる。

『0! コレでいいかな?』

画面には俺と佐々木しかいない。
もともと三人で撮るつもりだったので俺と佐々木は少し中心からずれた感じでかなりくっついて映っている。

おいおい何やってんだ橘。

橘は横ですっころんでいた。

「いたたた、一体何が……?佐々木さん?」

「橘さん大丈夫かい?……撮り直そう」

佐々木が橘の手をつかんで嫌にゆっくりと起き上がらせる。

「あ、時間切れになってしまっているね」

画面内では既に今のプリクラの印刷が開始されていた。

「ええ!?じゃあ私映っていないんですか!?」

そうだな。

「んん…!もうっ!もう一回撮りましょう!」

もう一回か?プリクラって無駄に高いから勘弁して欲しいんだが……。

「わ、私が出しますから!!」

それからはまぁ普通だ。
それならとなんとかして九曜を引っ張ってきて四人でプリクラを撮る。

「三万円───カメラ───壊す?」

とか言ってたがもう突っ込まない。

あとはまぁ適当にゲームを回った。
佐々木とコンビでガンシューティングをやったり。
九曜に音ゲーをやらせてみたらリズムはまったく会っていないのにありえないスコアでランク1位になったり。
橘が全てのゲームで全員に負けたりした。
「どうだい、キョン。彼女らも悪い子じゃないだろう?」

……なんだ佐々木、今日のも勧誘だったのか?

ゲーセンからの帰り、橘と九曜は方向が違うとかで今は佐々木と二人だった。

「違うよ、純粋に遊ぼうと思っただけさ。大体僕は神になんかなりたくないしね」

じゃあ何だ?

「そりゃ、親友と友達が仲良ければ言うことは無いからさ」

……そうだな、多少は見方を変えてやってもいいかもな。

「くっくっ……なんだかんだ言っても君は他人を完全に嫌いになるなんて出来ない人間だからね」

何だそりゃ。

「いい奴だって事だよ」

……あいつらにまたどっか行こうと伝えといてくれ。

「くっくっ……任されたよ」

そういえば佐々木よ。

「ん?なんだい?」

お前が携帯にプリクラ貼るタイプだとは知らなかったな。

「……そりゃ僕だってそれぐらいはするさ」

あんまりそういうイメージ無かったからな。
お、此処でお別れだな。じゃあな、気をつけて帰れよ。

「ああ、またね」




「張ったのは今日が初めてだし、一枚しか張ってないんだけどね」

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最終更新:2007年07月30日 22:00
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