70-442「ある日曜日、午前中の風景」

爽やかな日曜の朝。 いつもより少し日が高い。
俺は高校・大学を問題なく卒業し、そこそこ有名な企業に就職。
それから数年後に結婚し、研究職の妻と新居(といっても賃貸だが)で二人暮らし。

少し遅めの朝食。 まぁ、昨晩頑張りすぎたからな……何をかは聞かないでくれ。
普段の朝食はご飯なんだが今日はパン食。 俺はちょっと濃い目のブラック、妻はカフェ・ラテ。
妻は元々凝り性でわざわざサイフォン二台とフォームミルクのためのスチーマーを購入しやがった。
うまいコーヒーを入れたいと言って休みの日は近くの喫茶店で勉強しに通っているほどだ。

あいつがコーヒーを入れてる間、調理担当は俺である。
と言っても、ソーセージをボイルし、温野菜を蒸して、スクランブルエッグを作り、パンを焼くだけ。 簡単である。
さて、そろそろ全部仕上がるのだが……
「おい、こっちはもうすぐ出来上がるぞ」
「ああ、僕のはもうちょっとで出来上がるよ。 君の分はもう出来たから飲みながら待っててくれ」

妻は俺と居る時だけ昔と同じ喋り方をする。 こっちもそのほうが気が楽でいい。
ん、これで最後の盛り付けも終わり、と。 それにしても……

「……」モグモグ
「――」モグモグ

「なんでお前らがいるの? なんで出来たそばから食べてるの?」
「……一度にムグ、色々聞かれてもモグモグゴクン、答えられない。 それに今は食事中」
「――食事中の――おしゃべりは――ダメ。 ――行儀が ――悪い」

「ああ、そうね、ごめんなさいねって馬鹿。 よーし、長門に九曜、二人共そこに直れ」

「くっくっ、キョン、朝倉さんも喜緑さんも昨日からいないらしい。 それで遊びに来たんだってさ」
「は? なんで調理担当が二人揃っていないんだ?」
「……眉毛はツインテールと一緒に某バンドのコンサート」
「――ワカメは――未来から遊びに来た乳牛と――にょろ~んと一緒に――温泉旅行」
「呼び方は突っ込まんぞ。 で、お前らは置いていかれたわけね。 ハルヒは確か……」
「古泉くん・森さんと一緒に社内研修で欧州だっけ。 そして残った近所の友人は僕らだけだった、という訳か」

「はぁ~……やれやれ、しょうがねぇなあ。 足りないだろ? ほかに何か作ってやるよ」
「……大好き」
「――愛人に――なる?」

「へぇ……二人共そういう事言うようになったんだ」ニコッ
「」
「」

ふーん、気で景色が歪むって本当にあるんだなー
そしてこの日、俺はこの上なく素晴らしい土下座を二つも見ることができた

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最終更新:2013年04月29日 13:27
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