鈍い輝きを見せる大小多数のメーター、様々な数字や画像を映し出すパネル。それらが並んだ艦橋の
向こうは、無数の星が輝く無限の大宇宙だ。雄大、って言うのはこんな光景のことを言うんだろうね。
…って、おい古泉!なんだって俺達はこんなトコにいるんだよ!
「今更驚くこともないでしょう。涼宮さんが望んだから、ですよ。まあ宇宙まで出るとなるとさすがに
異常事態ではありますがね」
いつものこととは言え、笑顔を浮かべたまま言われても緊迫感がねえな。で、なにか。つまりはハルヒが
小説だかアニメだか知らんが宇宙戦争モノのなにかを見て自分も参加したくなったのがこの元凶ってことか。
「おそらく、先日テレビでやっていた『懐かしの熱血アニメ主題歌特集』の影響と思われます。この船の
デザインからすると昔の戦艦を改造した宇宙戦艦で遠くの星まで空気清浄機を取りに行くあの作品の印象が
強いようですね」
ああ、SFアニメの古典的な存在になってるアレか。アレのどこがハルヒの琴線に触れたんだか。
「涼宮さんは敵を撃滅して完勝するのがお好きですからね。あの主題歌の『地球を救う使命を帯びて 戦う男
燃えるロマン』と言う部分がまさに涼宮さんの『燃えるロマン』だったのでしょう」
めちゃくちゃだ。それだけで孤島や雪山ならともかく、宇宙にまで連れ出されるこっちの身にもなってくれ。
「そうですか?あなたもどことなく楽しそうな雰囲気ですが。いや、実は僕もですけどね」
まあな。お互いに非日常って奴に慣れきっちまったんだろうよ。で、配役的にはおまえが島か。完結編まで
行くと名誉の戦死だから気をつけろよ。
「まったくです。アンド○メダ往復で涼宮さんが満足してくれればいいのですが」
ええと、長門は・・・やっぱりそれか。何が起きようと「こんなこともあろうかと」で助けてくれよ。それと
朝比奈さん、その体のラインがはっきり出るコスチュームは反則です。敵襲の前にあなたの魅力に
KOされて今すぐ救護班の役割をしてもらうことに成りかねません。あ、おい、アナラ○ザー!てめえ
朝比奈さんのどこを触ってやがる!
「あれはあなたのクラスの谷口さんのようですね。まさか外見までロボットになるとはたいしたものです」
どっかに隔離しとけ。そうだな、第3艦橋あたりがいいだろ。手間も省けるしな。
「さあキョン!出航よ!敵なんか全部波動砲で蹴散らしちゃいなさい!」
団長、いや艦長殿の登場だ。振り返れば付け髭までしてやがる。
「おい古泉。あいつ、重度の宇宙放射線病で手遅れなんじゃないか?特にこのあたりが」
俺は人差し指でコツコツと頭の脇を叩きつつ聞いた。
「爆沈したヤ○トじゃ縁起悪いわ!この船は最後まで沈まなかった戦艦長門、いや、宇宙戦艦ナガトよ!
さあ、ナガト発進!」
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「クックッ。僕たちを敵役として配置するとはさすが涼宮さんだね。九曜さんが髪の長さだけでスターシャ役に
なってるのは複雑だけど」
「フン。とんだ茶番劇だ。とっとと負けてあいつらを満足させて終わればいいんだろ・・・うわっ」
「ああっ!藤原さんが突然床に開いた穴に落ちて・・・!」
「我がサキラスに下品な男は必要ない」
「佐々木さん、その台詞はまだ早いのです!それにサキラスってなんですかサキラスって!な、なにか目がマジに
なっちゃってますけど、あの、佐々木さん?」
「いいかい、橘さん。涼宮さんには完結編のシナリオまで満足されては困るんだよ。完結編になれば、キョンの、
いや失礼、ナガトのピンチに僕は颯爽と駆けつける事ができる。その上、涼宮さんはナガトと共に自沈してくれる。
こんな一石二鳥の展開を逃すわけには行かないんだ!」
「でも、それだと古代さん、いや、キョンさんと結ばれるのは森雪役の朝比奈さ・・・佐々木さん、視線が怖い
です・・・」
「橘さん、君を冥王星基地の司令官に任命するよ。言い訳は無用、軍人らしく華々しい総攻撃を期待するよ」
「いやぁ~!特攻で犬死はしたくないのです~!」
最終更新:2007年07月30日 22:01