71-334『SOMEDAY IN THE RAINCOAT Δ』

「キョンくぅ~ん!佐々木お姉ちゃんも!」
二人が声の方向を見ると、そこには妹とミヨキチがいた。
「ミヨちゃんの言った通り、キョンくんだったね!」
「は、はわわ……」
濡れ鼠になり、それでも笑うキョン妹の笑顔が眩しい。未発達な肢体が雨に透け、好事家には堪らない。
佐々木は目を覆わんばかりの格好のキョンの妹にタオルを渡す。
一方のミヨキチ。傘にビニール長靴という少女特有のファッションだが……所々濡れて透けた肢体は、未成熟ながら将来の有望さを言外に主張している。
「「…………」」
好対称故のエロス。健康的な色香のキョンの妹と、隠すからエロいミヨキチ。
もじもじとしながらミヨキチは、キョンに言った。
「……あ、あんまり見ないで下さいぃ……」
そのはにかんだ表情は、佐々木をして胸にときめきを覚え……キョンは顔真っ赤だ。
「(ふ、不覚だった……!)」
まさかの小学生乱入。佐々木は地団駄を踏みたい心境であった。
この先のアドバンテージをつけておきたかった。だが、それは最早砂上の楼閣。キョンは帰るしか選択肢がない。
ミヨキチは、佐々木に気まずそうに頭を下げている。無欲のトライである以上、そうされる筋合いもないので佐々木が首を振る。
「じゃあな、親友。また。」
「ああ。またね、親友。」
……千載一遇のチャンスを逃した……。二人は溜め息をつく。
ミヨキチ、妹に挟まれ、帰路に就くキョン。その背中から、キョン妹が佐々木を見る。
「?」
キョン妹は、佐々木に微笑みながら舌を出した。
「……くっくっ。やれやれ、お姫様はご立腹か。」
将を射んと欲すれば、まずは馬を射よ。それであろう。
「(次はどうかしらね。)」
佐々木はキョン妹に、人差し指を差し、弾く。
キョン妹は満足そうに笑うと、キョンの腕にしがみついて帰路についた。
「くっくっ。過保護な身内を持つと大変だね、キョン。」
これからも、何かとこうなる予感がする。確信めいた予感に、二人は微笑んだ。

END

Δ(デルタ)ルート、VS妹篇w

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2013年08月04日 16:49
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。