前にネタとして書かれていた『由乃の行動様式の佐々木が驚愕にいたら』。
『親友。雑草という名前の草はない。何にでも等しく名前はあるものだ。』
『くっくっ。』
『さぁて、どこに行くかね。サイゼか?』
『どこにでも。ああ、キョン。自転車の後ろに乗せてくれたまえ。』
『おう。』
春から夏に変わる頃。暖かい日差しと草の匂いを胸一杯に感じ、緑が織り成す絨毯の中を二人で駆ける。
汗の匂いに混じる、彼の鼓動を感じて私も微笑み――――
「…………。」
目が覚めると、そこは色褪せた壁の中。
「夢だったのか。」
一人、身を起こすと私は周りを見渡す。そこには未来人や宇宙人、そして橘さんがいた。
「良い夢を見ていたのですね。」
「うん……とても。」
懐かしい、懐かしい夢。今では遠い、遠い夢。
「佐々木さんが決意してくれて、嬉しいのですよ……」
橘さんが涙ぐみ、未来人は心から安堵したように笑っている。
「君に願いがあるよう、僕にも願いはある。詳しくは禁則にかかるので話せないが……
君が望む全てに協力すると誓おう。それがひいては僕の未来にも繋がる。」
宇宙人は、無言だ。
「――――」
何か思惑があるのかも知れないし、無いのかも知れない。
「そうか……。」
私は立ち上がると、宣言した。
「涼宮さんから、能力を簒奪する。」
協力者達が微笑み、計画を練り始める。
「(もう戻れない。……あの緑に彩られた日々は……)」
私は感覚として、それを理解した。
もう一度家の緑色の草に触ります。
人々は古い樫の木の日陰で私に会うでしょう。
人々は私を家の緑色の草に埋めるでしょう。
「おかしいのは……僕がキミと結ばれないこの世界のほうだよ……」
END
最終更新:2013年08月04日 16:54