71-371『The Green Green Grass Of Home』

前にネタとして書かれていた『由乃の行動様式の佐々木が驚愕にいたら』。

『親友。雑草という名前の草はない。何にでも等しく名前はあるものだ。』
『くっくっ。』
『さぁて、どこに行くかね。サイゼか?』
『どこにでも。ああ、キョン。自転車の後ろに乗せてくれたまえ。』
『おう。』

春から夏に変わる頃。暖かい日差しと草の匂いを胸一杯に感じ、緑が織り成す絨毯の中を二人で駆ける。
汗の匂いに混じる、彼の鼓動を感じて私も微笑み――――

「…………。」

目が覚めると、そこは色褪せた壁の中。
「夢だったのか。」
一人、身を起こすと私は周りを見渡す。そこには未来人や宇宙人、そして橘さんがいた。
「良い夢を見ていたのですね。」
「うん……とても。」
懐かしい、懐かしい夢。今では遠い、遠い夢。
「佐々木さんが決意してくれて、嬉しいのですよ……」
橘さんが涙ぐみ、未来人は心から安堵したように笑っている。
「君に願いがあるよう、僕にも願いはある。詳しくは禁則にかかるので話せないが……
君が望む全てに協力すると誓おう。それがひいては僕の未来にも繋がる。」
宇宙人は、無言だ。
「――――」
何か思惑があるのかも知れないし、無いのかも知れない。
「そうか……。」
私は立ち上がると、宣言した。

「涼宮さんから、能力を簒奪する。」

協力者達が微笑み、計画を練り始める。
「(もう戻れない。……あの緑に彩られた日々は……)」
私は感覚として、それを理解した。

もう一度家の緑色の草に触ります。
人々は古い樫の木の日陰で私に会うでしょう。
人々は私を家の緑色の草に埋めるでしょう。

「おかしいのは……僕がキミと結ばれないこの世界のほうだよ……」

END

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最終更新:2013年08月04日 16:54
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