71-455『父の日』

可愛い妻に、一戸建ての家、健康な二人の子ども。
一介のサラリーマンにとって、これ以上望むものがあるのかね?
今日は父の日。最愛の妻をポニーテールにした最愛の娘が、ネクタイをくれた。
「ありがとう。」
「くっくっ。お父さん、相談なんだけど……」
……何かと思えば、金の無心……。1000円でいいのか?万券を……あ?不思議探索の時に喫茶店に行きたいから?
そういやハルヒの息子とSOS団やってんだったな。あの傍若無人を絵に書いたハルヒの息子だ。きっと娘も振り回され……
ん?メール?ハルヒか。
『あんたのバカ娘をどうにかしなさい。ウチの息子が落ち込みまくってるのよ!』
……ああ、妻の子でもあるからな。俺も苦労したよ、頑張れ少年。
「親父。父の日だ。」
俺の息子。誰に似たか、また生意気でな……。ん?万年筆?また高価な……
「最近、バイト頑張ってるからね。……文芸部のくせに。」
「う、うるせぇよ!」
妻の茶々に息子が叫んで去ろうとする。……ったく、こいつは。
「おい。」
俺は意地悪く笑うと、本棚からハイペリオンを取り出して渡した。
「最近SFが好きなんだってな。……多分、気に入るぜ?」
「て、てめぇ……クソ親父……!」
長門とほぼ同一の存在と、文芸部で一緒にいるんだってな?
『端的に言えば、私が世界改変した後の私。長門有希とほぼ同一の存在だが、超常的な力はない。
人間と同一の存在のケースとして、彼女は存在する。』
と、長門からメールがあったからな。で、お前らを繋いだのが『ハイペリオン』だってちゃんと聞いてるんだよ。
真っ赤な顔で叫んでいる息子。しっかし、こいつはルックスいいね。妻に顔立ちなんかそっくりだし。
子ども達が出払い、俺は妻とテーブルに向かい合った。
「お昼にしようか。何を食べるかい?キョン。」
「お前がいいかな?『佐々木』。」
「くっくっくっくっ。今更新婚時代に戻る気かい?下らないジョークはいいから、リクエストをくれたまえよ。」
こうして、平凡な父の日は過ぎていった。

END

未来設定。子どもについては 70-652「二人の子どもを妄想してみた。」に準じていますw

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最終更新:2013年08月04日 17:36
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