71-661『They call us problem children』

試合前の練習。選手達が散らばる。
「…………」
食い入るように見るのは、キョンとキョン子である。
「あれがエースの牧瀬か。」
赤髪の少女が球を投げる。
「走ってるニャン。」
猫耳をつけたキャッチャーマスクを被った少女が球を投げ返す。
「並み……だな。」
「だな。」
一方の青髪の少女……泉は……
「みゆきさん、いくよー。」
「お手柔らかにー。」
…………
「スピードはあるが、荒れてるなぁ。」
「長門に較べれば遥かに劣るが……長門は怪物クラスだし、一概に言えんな。」
コントロールの牧瀬に、スピードの泉の二枚看板のようだ。
「さて、守備練習だ。」
あの時、岡部が言っていた通りのメンバーである。
特に目を引くのは、レフトのまゆりの怪物じみた身体能力の高さ。
「……レーザービームでノーバンのバックホーム?!」
あれだけの肩と守備範囲があれば、センターでもいい。身体能力だけなら、ハルヒや阪中に並ぶ。
「他は……センターもうまい。後はセカンドもやれる奴だが、橘には及ばんな。ライトも喜緑さんに比較すれば劣る。だが、足が速いな。阪中さんクラスだ。」
総合的には北高より格下。だが。
「あれが本当に素人軍団とすれば、とんでもない。全員が何か一つの武器を持つスペシャリスト集団だ。」
キョン子の言葉にキョンが頷く。
「(これで、データを取られて丸裸にされていたら、苦戦するかも知れんな。)」
相手の良いところより、自分たちの武器を考えるべきだろう。
「割とえげつない戦略をやってくるらしいが……対策はあるのか?愚妹。」
キョンの言葉にキョン子はニヤリと笑う。
「あたしが、何のためにわざわざ昨日完徹しかけたと思ってる?別にお前をいじくる為なんかじゃないぜ?」
キョン子の言葉に、キョンは呆れたようにやれやれとゼスチャーする。
キョン子のもう一つの特技。それは……

「キョン子!練習始まるわよ!」

去り行くキョン子の背中にに、キョンが言った。

「またバットで殴られても知らんぞ。」


石門高校のベンチでは、岡部がノートパソコンを弄っている。横には当然のようにダルがいる。
必要なデータを算出する為に、何も見る必要はない。そう言いたげな態度だ。
「態度悪いわねー……。あのコーチ。」
朝倉が毒吐く。
「朝倉、あれでもみくるちゃんや鶴屋さんと同い年みたいよ。」
「またまた。私を担ごうなんて、長門さんじゃあるまいし。あんな無精髭面が1級上なんてあり得ないわよ。あんな老けてるのに。」
岡部が突っ伏している。
「大体、白衣着て試合に臨むなんてコーチ以外ないわよ。キョンくんや古泉くんだってスタジャンと制服なのに。
30位かしら?世俗的な常識知らない奴って、いるものねー。」
啜り泣く岡部。ダル、フェイリス、まゆり達が慰め、牧瀬が指差して苦情を叫ぶ。
「あんたら、いくら岡部が老け顔で厨二病乙だからって、言い過ぎよ!」
「クリスティーナ!それじゃトドメだよ!トドメ!」
こなたが牧瀬を止める。
「「もうやめて差し上げろ(て)。」」
佐々木とキョン子が朝倉と牧瀬を止め……またもや因縁勃発である。
「案外普段大人しい朝倉さんが、実は結構な問題児なんですよねぇ……」
「一年生で問題児でないのは、阪中ちゃん位っさ……。」
「ああ見えて、周防さんも問題児ですからね……」
二年生達が頭を抱える。まともでない人材といえば、本日の解説もそうだ。
『練習試合。本日の解説は私、谷口と……』
『皆さん、おはらっきー☆小神あきらがお送り致します!』
『あきら様、番組が違……』
『あ゛?』
二年生達にしてみると、ほぼ毎日キョンや古泉絡みで一年生達が揉めるので、揉め事には案外慣れてしまった感もある。
その中でマイペースなのは長門と周防。
「エースは私……」
「エース――コック――好き――――」
「チキンラーメン……美味しい。」
「――チキン――今日の――解説――――」
いまいち噛み合わない会話をしながら、キャッチボールをする二人。ハルヒ達は石門高校ベンチ前で揉め、キョン、古泉がハルヒ、朝倉を引き離す。
『お祭りですねぇ、あきら様。』
『いやーん、あきら怖ーい☆』
喧嘩っ早いハルヒと牧瀬が揉み合う。
「次に頭を狙ったらただじゃおかないわよ!」
「やってみなさいよ、この(表記不可)!」
『誰か特別機動隊を呼んで、この狂人達をどうにかして!』
『漸く分けられました。……公式戦なら間違いなく没収試合ですね。この紙一重達は。』
藤原、国木田が恥ずかしさに頭を抱え……北高は練習時間を終えた。
「へん!データ取りたくても取れなかったでしょ!ざまーみろ!」
ハルヒが叫ぶ。
「練習時間削ってどうすんだ、アホ!」
ハルヒを引き摺りながらキョンが叫んだ。
「データを取るよりは、まとめる時間を取らせなかったといった風だよ!ああ、キョン、後で投球練習に付き合いたまえ!」
佐々木が恥ずかしさに頬を染め、頭を抱えながらベンチに戻る。

問題児軍団対問題児軍団。

「岡部さん、試合終わったら男同士で親睦を深めましょう……」
「そうするか……。」
疲れ果てた表情の岡部とキョン。乾杯はドクターペッパーだろう。
「……僕達が一体何をしたというのでしょう……」
「巡り合わせって、怖いお……」
古泉とダルもまた、賑やか過ぎる周囲に溜め息をついた。


両軍オーダー。
北高
1番ショート 周防
2番セカンド 橘
3番ファースト 長門
4番サード ハルヒ
5番センター 鶴屋
6番ライト 喜緑
7番レフト みくる
8番ピッチャー 佐々木
9番キャッチャー キョン子

石門高校
1番センター 鈴羽
2番セカンド ルカ子
3番ショート こなた
4番レフト まゆり
5番キャッチャー フェイリス
6番サード 萌郁
7番ライト みさお
8番ファースト かがみ
9番ピッチャー 紅莉栖

先攻は石門高校。

「「投球練習無しかーい!」」
キョンズが盛大に突っ込み、試合開始となる。

To Be continued

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最終更新:2013年09月05日 00:01
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