13-875「佐々木さん今日はへしおられない七夕の巻」

佐々木さん今日はへしおられない七夕の巻

 佐々木「笹の葉~ さ~らさら~♪」
 キョン「あれ、なにしてるんだ佐々木?」
 佐々木「ごらんのとおりさ。七夕らしく、笹の葉にお願いごとを飾っているんだ」
 キョン「そら見りゃわかるが、確かおまえ、七夕に願い事するなんてバカらしいとか
      前に言ってなかったっけ?」
 佐々木「ああ、覚えていてくれたんだね。確かに中学時代はそうだったよ。
      織姫と牽牛の話がどうにも不合理だと感じてね。
      あの二人は、天帝に結婚を許されたものの、互いのことばかりかまけ、仕事を放逐したので、
      天帝に引き離された、という話だろう? 二星の距離が14光年、というのは措くにしても、
      それほど引き離され、一年に一度しか逢えない二人が、
      本当に互いを思い続けていられるんだろうか? そんな不確かな逢瀬に願い事を託して何になるんだ、
      なんて思っていてね」
 キョン「そういや、塾の帰りによく言ってたな。アルタイルとベガを指差して、あれはアラブでは
      「飛ぶ鷹」と「降りる鷹」で、そっちの方が僕は好きだ、とか教えてもらったの覚えてるよ。
      で、願い事つるしてるってことは、宗旨替えでもしたのか?
      いまどきこんなのやるのは、ウチの妹か、イベント好きなウチの団長くらいかと思ってたが」
 佐々木「あの頃の僕はね、色々不安だったんだ。
      どんなに近くにいても、人の思いは変わるもので、離れればそれはなおさらだって。
      相手が思ってくれないのはまだ仕方ない。それより僕は、自分自身の思いが薄れるのが怖かった。
      ……でもね、あれから2年近くたって、わかったことがあるんだ。
      離れていても、一途に思い続けられる、いや、離れているからこそ、変わらない想いもあるんだって。
      きっと織姫と牽牛も、一緒にいた時よりも、離れてしまってからの方が、互いを想っているんじゃないかな。
      だからこそ、日本や中国では、二人の逢瀬を何百年も語りついでいるのも、
      きっとそこに、変わらない想いが続いていると信じているからなんだと思うよ。
      願い事は、そんな二人の姿を見て、自分もこの願いをかなえよう、って勇気を出すおまじないに過ぎないのさ」
 佐々木「だからね、たとえ今日の空が曇りで天の川が二人をさえぎっても、二人の思いが本物ならば、
      かささぎの橋を渡り、上弦の月を船にしてでも、二人はきっと出会っている。
      自分たちの思いが嘘じゃないんだと確かめている。今日はそんな夜なんだよ」


 キョン「佐々木、もしかしてお前好きな相手でもできたか?」
 佐々木「き、キョン……」
 キョン「中学時代の奴か? それとも高校に入ってからか?
      なんだったら俺がとりもってやるよ。なに、遠慮するな、色々と世話になった親友のためだ。
      何でも相談にのるぜ」
 佐々木「……」
 佐々木「い、いいんだ。君がそういう奴だとはわかってるし、難攻不落の砦が今日一日だけ、
      門戸を開放するような奇跡は望んでいないからね?」
 キョン「いや、遠慮しなくていいぞ?」
 佐々木「ま、負けないもん! 天の川がパーフェクトストームでカササギがジョーズに喰われて
      月の船がテロリストでスピード2でも、僕はいつかたどり着いてみせるんだから」

 橘「き、今日くらいは穏やかに過ごさせてください佐々木さーん!(ry」


 タイトル訂正:佐々木さん(今日もへしおられれた)七夕の巻


 短冊「変わらぬ思いが、いつかあの人に届きますように」

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最終更新:2007年07月19日 11:13
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