ある夜の出来事だった。僕は塾の帰りが遅くなり、近道をしなければならない。
あんまり遅くなると両親を心配させるからね。中学時代キョンと帰った思い出の道を、通りかかった時
前にはガラの悪い男達五人くらいが、だべっていた。
最近公園の近くで連続婦女暴行事件が多発しているのを思い出した。
《そう言えば橘さんにも近づくなと言われていたっけ…くっくっ思わず苦笑した》
このまま見つからないように辺りを見回す。どうやらまだ僕に気が付いていない様だ。
公園の池にある噴水を迂回すれば見つからずに済みそうだね。しかし、彼らは別な獲物を見つけたようだ。
連中が見つけたのは僕と年が同じくらいの女の子。髪が長くポニーテールをしたらキョンが喜びそうだ。
キョンと言えば北校で涼宮さんと一緒にいる。今の僕には関係ない、いや考えたくない。僕以外の女事は…
臆病な性格を無くす為に僕はあえてキョンと別な高校に進学したんじゃないか!
いや、不謹慎だった。今は彼女が危ない!ここから交番まで一キロ以上はある。ここは加勢すればいいかな?
一応僕は格闘技の心得は有るつもりだ。だが多勢に無勢…このままにする訳にはいかない!
「まて、キミ達は女の子一人に対して何をしようとするんだい?男子の癖に、群れなきゃ何も出来ない糞野郎だろう?違っては無いようだね」
気が付くと僕は叫んでいた。何故だろうね?どうやらキョンに毒されたのかな?
『ふざけんなこのアマッ!二度と男に歯向かえなくしてやるぜ!』
『げへへへ、男を見るだけで怯えるように調教しがいがあるぜ?気の強い女なら尚更』
男達の視線は僕に向いている。ここで上手く立ち合えば…二人とも逃げられるはずだ。
「――見つけた―あなた――やっと――この緩やかな―時間――後は――鍵…」
女の子は急に語りだし、異様な雰囲気を漂わせる少女はいつのまにか僕の前に移動していた。
男達はこちらに向ってくる。急いで彼女の手を取り逃げる態勢にしようとした時…
男達はいつのまにか消えていた…もしかして、夢だったのか?辺りを見回すと静かにたたずんでいる彼女しかいない。
いや彼らがいた場所には吸い殻やゴミなどが散乱している。何が起こったのか解らないでいた。多分僕には理解出来ない事だろう
「おかげで助かったよ。良かったら名前を教えてくれないかな?」
「―――わたしは―――」
時間が止まったかの様にゆっくりと語りだす。
「九曜――」
「くよう?」
その時、僕はどんな字に当てはめるのかを、考えかけた瞬間
「周防――」
名前を聞いた瞬間、くっくっ、こいつは面白い事になる感じがして堪らなかった。
「キミとは何かしら縁がありそうだよ…うーん言葉では説明出来ないと言うより」
九曜さんは僕を黙って見つめている。話を聞いているか解らないけど
「本能がそう言っている気がするし、それは何か解らないが…宜しく頼むよ」
僕は彼女に手を出し握手をする。彼女はきょとんと、していたが挨拶と解からないみたいだね。でも何故か嫌いにはなれなかった。
それが彼女との初めての出会いだった。
最終更新:2007年10月07日 11:17