14-184「佐々木さんの雨の夜と寂しい午後はの巻(誰がさだまさしのマイナーな歌なんぞ知っていると)」

佐々木さんの雨の夜と寂しい午後はの巻(誰がさだまさしのマイナーな歌なんぞ知っていると)

  ♪忘れらない人がいる 青春のきらめきの彼方に
   その人は 季節はずれの薔薇のように 
   いつも あざやかに ひそやかに 咲いてる♪

佐々木「おやキョン、今日の天気で傘を持たずに走って下校とは。
     かばんの中までぬれると、教科書がだめになってしまうよ」
キョン「おう佐々木、そういうお前も雨宿りとは珍しいな」
佐々木「まあ、とりあえずこちらで一休みしていきたまえよキョン。
     ほら、あちこちこんなにびしょぬれじゃないか。
     実は、学校の帰りに本屋に立ち寄ったら、傘を別の人に持ち去られてしまってね。
     買いなおすのもしゃくだし、雨が小降りになるのを待っていたというわけさ。
     ほらほら、首の後ろもべっとりだ。ほら、かがんで」
キョン「ああ佐々木、お前のハンカチがダメになるからいいよ。どっちみちもうずぶぬれだし」
佐々木「以前はよくやってあげただろう。いいからいいから」
キョン「お、おう。すまんな」
佐々木「こうしていると、昔を思い出すね。君が身の回りをかまわない質だというのは、
     あの頃からあまり進歩がないらしい。くっくっ」
キョン「悪かったな。どうせ素材が平凡なだけに、飾っても効果ないんだよ。
     しかし昔って言い方もどうなんだ佐々木。たかだか中学時代の話だろう」
佐々木「年寄りくさい、とでも言いたいのかね、キョン?
     まあ、そうかもしれない。僕にとっては、中学の、とりたて最後の1年間というのは、
     それだけまぶしくて、特別な一年だったんだ。それだけに、回顧する気持ちも強くてね」
キョン「そんなに受験が楽しかったのかお前。前から変な奴だとは思っていたが。
     安心しろ。あと1年で、またお前の大好きな受験戦争に突入だ。俺は今から気が重いよ」
佐々木「くっくっくっ。キョン、相変わらず君の返しの鋭さには脱帽するよ。
      もし言葉のボクシングなるものがあったら、君は最強のクロスカウンターとスウェイの使い手として、
      あらゆる女性の恐怖の的となることを保証するよ」
キョン「なんじゃそりゃ」

  ♪おそらく あゝ一杯のスープ分け合うような
    ささやかなぬくもり 求め合う恋だった♪

佐々木「……」
キョン「……」
佐々木「こうやって、雨音の調べに無言で耳を傾けるというのも、時には心楽しいものだね、キョン」
キョン「本気で年寄りくさいと思うが、まあ悪くはないな」
佐々木「雨と言えば、知っているかい、キョン。水というのはね……」

  ♪あゝ雨の夜と淋しい午後は
   君という名の花が咲く季節(シーズン)
   あゝ雨の夜と淋しい午後は……

翌日
ハルヒ「なんですってぇ!」
長門「事実。雨の中でずっと観察していたから間違いはない。
    彼と佐々木という女性は、公衆の面前で「もうずぶぬれ」や「こんなにびしょぬれじゃないか」
    「だめになってしまう」などの会話を交わしつつ。相手と接触を楽しんでいた」
朝比奈「き、キョンくん、なんてハレンチな。あわわわわ」
●「あの、長門さん、それはもしかして非常に恣意的な観察結果のごく一部では……」
長門「…………」
●「何でもありません」
長門「……最初に私が図書館に雨宿りに誘う予定だった」

キョン「何故か凄い悪寒がするんだが、昨日ので風邪ひいたか?」

……なんで、「いい話」を書こうとして自分で下にオトしてしまうのだろう。不思議だ。

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最終更新:2007年07月19日 21:42
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