22-864「佐々木さんとストレッチ」

昼休みの教室、給食を食い終わって俺と佐々木はだらだらと世間話に興じていたのだが、
「ああそうだ」
と何か思い出したように佐々木は身を翻した。
その時―――

ゴキゴキゴキゴキゴキッ!

―――ものすごい音がした。
茹蛸のようになって固まる佐々木。
「大丈夫か?もしかして腰やっちゃったか?」
「…いや、んん。大丈夫」
ゆっくりとこちらへ向き直る。顔は真赤のままだ。
どうやら恥ずかしさのあまり固まったみたいだな。
まあ教室には俺達の他には数人しか残っていなかったしそれほど恥ずかしがることもないだろうに。
「…キミにデリカシーを求めるのは間違いではあるがもっとマシなフォローがあっても良いんじゃないか?」
薄っすらと赤みの残った頬の上の半眼が刺すように痛い。
俺変な事言ったか?うーむ、とりあえず訂正しとこうか。
「あー、アレだ。もう受験も近くなってきたし、机に向かって勉強ばかりじゃ体もなまるよな。
昨日は体育も無かったし丁度良い発散になったんじゃないかな。うん」
「……」
佐々木の半眼は変わらずしばらく俺の顔を貫いていたがやがて諦めたように溜息を一つつき、
「確かにそうだね。一応寝る前なんかに軽くストレッチしているんだが予想以上になまっているようだ」
と首を振りつつ言った。
あれ?まだ足りなかったか?ならば、
「じゃあほぐしてやろうか」
「え?」
半眼が見開かれる。よし。
「そこに座って」
「ちょ、ココでかい!?」
有無を言わせず佐々木を足を伸ばした状態で座らせ、俺はその後ろへと回る。
さっき盛大な音を上げたのは腰だったからな。まずはそこをほぐすために前屈運動しようというわけだ。

「いくぞ?」
掛け声とともにぐっと佐々木の背中を押す。
「――!!」
しかしすぐに抵抗を感じ、動かなくなった。
もしかして体硬いのか、佐々木?
「うぅ…」
涙目でこちらを睨んできた。
「僕が気にしていることを…。これでも改善しようと努力しているのだが…」
ああ、それで毎晩ストレッチしてるのか。
引き続き背中を押してやる。今度はちょっと強めに。
「い、痛!痛いよ。もうちょっと優しくできないかい」
おっとすまん。――このくらいか?
「…もうちょっと強くても大丈夫」
よし。
「――、――く」
確か呼吸を止めちゃ駄目じゃなかったかな。
「―ふ、――はぁ」
佐々木が俺の動きに合わせて息を吸い、吐く。
ん。その調子だ。

・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・。
・・・・。

昼休み終了のチャイムとともにストレッチは終了した。
「楽になったか?」
という俺の問いに佐々木は
「ああ」
と言ったきり、ふらふらと自分の席へと戻り机に突っ伏している。
ちょっと強くやりすぎて疲れたか。などと佐々木を見ながら考えていると国木田が来た。
「僕はその場にいなかったけどすごかったらしいね?」
何がだ?――ああ佐々木の硬さっぷりか。確かにアレは俺より硬いのかもしれんな。
「いやそうじゃなくて…」
国木田が呆れたような表情を見せているとその背後から中河の奴が近づいてきてひと言、

「家でやれ!!」

何故か教室中から拍手が沸き起こった。

『佐々木さんとストレッチ』



アレンジ

あたしキョンくんの妹なの!今日ねキョンくんの部屋に昔の女が来ているの!
だからね?ちょっと部屋のドアに聞き耳立てる事にするの!
ドレドレ…
「い、痛!痛いよ。もうちょっと優しくできないかい」
ええ…嘘だよねキョンくんあたしは信じているからね!
「おっとすまん。――このくらいか?痛くはないか?佐々木」
あれ?やっぱりキョンくん?大人になったらする事をしているの?
「…もうちょっと強くても大丈夫だよ。あっ段々良くなってきたよキョン」
「よし、少し腰を落とすか?」
「――、――くっ…はぁはぁ―ふ、――はぁ」
「その調子だ。大分楽になったろ」
・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・。
・・・・。
これは一大事!ハルにゃんに伝えよ~と!もしもしハルにゃん?あたし…でね……

次の日俺は何故かハルヒに死刑宣告を言い渡された…
俺は、ただ佐々木にストレッチしただけなのにーーーっ

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最終更新:2007年10月12日 23:00
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