国木田が教えてくれたんだ、もうすぐ結婚するんだってね。
あの日の君の泣き顔が横切ったんだ。なつかしい校庭の片隅にね。
ひょっとして君も僕の事を……と思ってしまうよ。
……もう遅いけどね。
知らないうちに僕らは大人になっていたんだね。
あの大きかった鉄棒も君は数年で肩の下に従えていた。
おめでとう 相手は何をしているひとなんだい?
優しくしてくれるかい?
あの日描いた未来とは何か少し違ってるけど、それが時の流れなんだろうな。
真夜中に飛び込んだプールで服のまんま泳いだ夏を、君は覚えているかい?
……まあいいか。
ああ、協会の鐘が聞こえる。白い礼服が目に浮かぶ。
・……似合わないなあ。くっくっ。
あの日描いた未来とは何か少し違ってるけど、それが今は好きでね。
真夜中に飛び込んだプールは二度と戻らない、あの夏を僕に見せたんだ。
いけない、少し酔いすぎたみたいだ。プールサイドに君の影が月に照らされているように……
……もう一度飛び込んだら、今度こそ帰ろう。
最終更新:2007年12月29日 00:50