「ウヒョホホホホホホ!では!真犯人を見つけたご褒美をあげよう!ニコニコビィーーーーム!」
【名前】 |
ラーフ・ドーパント |
【読み方】 |
らーふ・どーぱんと |
【登場作品】 |
風都探偵 |
【登場話】 |
第86話「死神はlの顔2/死者は何故笑う」~ 第92話「死神はlの顔8/恐怖(テラー)の呪縛」 |
【分類】 |
ドーパント |
【能力】 |
怪力による肉弾戦、頭部の一つ目から放たれる怪光線、分離した皮膚のライブテクスチャー、取り付いた相手の頭脳の強奪(ハイドープ) |
【メモリ】 |
ラーフ |
【綴り】 |
laugh |
【頭文字デザイン】 |
箍が外れたようにL字に開いて笑う歯茎(入れ歯?) |
【モチーフ】 |
ピエロ?、悪魔?、怪人二十面相 |
【生体コネクタ位置】 |
右首筋 |
【詳細】
密かに旧組織『
ミュージアム』の支配者・園咲琉兵衛が遺していたもう1本のゴールドメモリ、『ラーフ』により何者かが変身した
ドーパント。
その容姿は一言でいうと常軌を逸した「変態」であり、ボロボロのマントをはためかせたボディビルダーのようなガタイの良いスタイルと耳が尖った悪魔やピエロを思わせる頭部を併せ持ち、頭頂部にはコミカルに一輪の花を咲かせている。
「笑い」の名を持つメモリから、指先の指紋、手の甲、胴体の凹凸、さらには穿いてるブーメランパンツの股間部分など、至る所に「スマイル」の紋様がある。
顔面も不気味な笑顔だがその中央には単眼があり、それを蝸牛の角のように突出させて放つ「ニコニコビィーーーム!」は、直撃した標的を焼却してしまう威力を誇る。
また自分の上半身の筋力を任意で発達させ、剛腕による格闘戦も得意とする。
その他、ラーフ・ドーパントとしてある特殊能力(後述)を備えているが、それを応用して多彩且つ変幻自在の技を繰り出す多用性から自らを「大魔術を使えるエンターテイナー」と豪語する。
ある目的のために、風都の学者ネットワーク『L・A・S・T』のメンバーを次々と襲撃した。
この『L・A・S・T』を構成するのは電子工学と生物学の知識を併せ持って生物の情報をデータ化する技術を開発した
ルーク・ランカスター、遺跡探索に必要な発掘と復元の才能を持つ吾妻仁、人類の遺伝子学に精通した咲夜栄介、そして世界の古代民族の研究の第一人者の東堂幸三の4名で、『L・A・S・T』のチーム名も彼らの頭文字から取られたもの。
『L・A・S・T』は風都博物館でも一目置かれる各分野の権威であるが、彼らを選抜したのは他でもない先代の博物館の館長、即ち琉兵衛本人であり、彼らの知識力への信頼性から琉兵衛にとっての「最後の知恵袋」という意味合いも持つ。
このチームの結成は、嘗て地中海の孤島・ロングバレル島で琉兵衛と伴に行った遺跡調査の出来事に遡り、その発掘で親睦を深めた彼らが帰国後に団結したのが『L・A・S・T』の始まりとされる。
しかし、この誕生秘話には裏があり、遺跡の墓地で古代の死者を弔う風習として使われていた笑顔を象ったいわくつきの『死仮面』を発掘したことで、彼らの人生は狂わされてしまっていた。
発掘した『死仮面』は当時の技術では鋳造不可能な代物であり、メンバーの見解から有りえないほど距離も時代も遠く離れた異なる民族文明の流れを汲むオーパーツだと分析された。
その結論は、琉兵衛が予てより考えていた「
地球は一個体の生命体であり、その表面で起こった全ての現象や文明の『記憶』は、世界を巡る風を媒介に離れた場所に伝達される」という『地球の記憶』への仮説を裏付けた。
そして、その成果を示した彼らに対して琉兵衛は、その記憶の風のパワースポットが自分たちの住まう風都であり、風の発生源である地下の『泉』を掌握した自分が『
ミュージアム』を組織したことを明かして、彼らを本格的な組織の協力者になるよう勧誘した。
彼が語る異常性に恐怖した4人は、琉兵衛に勧誘される形で『L・A・S・T』を無理矢理組まされ、帰国してから組織も
ガイアメモリの大量生産に成功している。
つまり、『L・A・S・T』の真の顔は意図せずともなった『
ミュージアム』の技術提供者であり、彼らの存在自体こそが組織を確固たるものへと発展させていたのだ。
ラーフ・
ドーパントは琉兵衛の名を騙って暗躍し、彼が日本に持ち帰って所有していた上記の『死仮面』を犯行に利用。
この『死仮面』を被せられた相手は仮面のデザインを象るかのように口角が異常に上がった不気味な『笑顔』で顔を固められ、謎の衰弱死を遂げた変死体にされてしまう。
手始めに幸三宛に琉兵衛の名義で『死仮面』を郵送し、届いた荷物に恐怖で錯乱した彼を殺害。
彼が殺される直前、
ルークに送っていた「琉兵衛から『死仮面』が届いた」と謎の遺言から、『L・A・S・T』とも縁のある轟響子が翌日に鳴海探偵事務所に依頼、今回の怪事件の捜査が始まった(因みにこの響子は、以前にもイービルテイル事件で事務所を訪れ、彼女のその時の依頼がテラー・ドーパントとの最終決戦に結び付いた縁から毎年恒例で協力依頼をしてくる常連なのだが、冒険や探検と称して無理難題の過酷な調査に連行することから、翔太郎のトラウマと化していた)。
幸三宅で現場検証を行っていた竜から、変死体の顔写真を転送された翔太郎たちは、響子から『L・A・S・T』の存在と今回の事件との因果関係を明かされて博物館に同行し、会議室のリモート会議で、生存している残り三名の『L・A・S・T』の面々と対談する。
そして、彼らから『死仮面』の正体が『L・A・S・T』結成のロングバレル島の遺跡の発掘物だったと語られるも、恐怖心から部外者を主張する仁や非協力的な栄介は、これ以上の話し合いは無駄だとして早々に通信を遮断してしまう。
唯一、響子を心配する
ルークが残って彼女を慰めるが、なんと彼の背後から『死仮面』と謎の
ドーパントの手が出現し、画面の向こうで襲われてしまう。
咄嗟にサイクロン
ジョーカーに変身して博物館を飛び出したダブルだったが、どこからか取り出した響子の鞭で首元を捕えられ、
ルークの所在を知る彼女の道案内で、風都グランドホテルへ急行。
ルークが宿泊していた客室に突入し、変わり果てた
ルークの亡骸とラーフ・ドーパントと遭遇する。
急いで響子が
ルークに心肺蘇生を施そうとすると、それを妨害するように「ニコニコビィーーーム!」を放って彼の遺体を焼却。
自身の技の凄まじさに歓喜していると、憤慨したダブルの拳で窓に吹き飛ばされて転落し、地上で交戦する。
身体をマッスル化して応戦するが、ヒート
ジョーカーにチェンジしたダブルに圧されると、頭部の花を差し出して和解を求めるも、却ってダブルの怒りを買って花を燃やしながら握り潰され、「
ジョーカーバックドラフト」で殴り飛ばされる。
ところが、この必殺技でメモリブレイクしたと思いきや、なんと泣き顔の幼体にまで小型化。敵の変容に動揺しているダブルに、反撃として『超恐竜博』が開催されていたビルの壁から巨大なティラノサウルスを召喚し、ダブルや響子を襲わせる。
間一髪、スタッグフォン操作でリボルギャリーで遅れて来た亜樹子の突撃で妨害され、そのままヒートトリガー状態でリボルギャリーに騎乗して特攻するダブルの「トリガーエクスプロージョン」で恐竜を撃破される。
戦いを観賞していたラーフは、自身こそが死んだはずの園咲琉兵衛だと名乗り、彼の高笑いの物真似に一瞬ダブルがたじろいだ隙にそそくさと逃走し、曲がった先のビルの陰で姿を眩ませた。
その後、2名の『L・A・S・T』が立て続けに殺された危険性から、栄介は自ら竜たち警察に護衛される。
残るは所在不明の仁だけだったが、リモート会議の録画映像に残る現象から翔太郎が「風鈴湖」の近辺だと推測し、彼の隠れ家である別荘を特定。
扉を蹴破った響子の鞭によって、仁の捕獲……もとい、保護に成功する。
そして、仁にも『死仮面』が送られていたようだが、本能的に警戒していた彼は荷物を開封せずにそのまま湖に捨てたと証言し、それを探そうとした亜樹子がダウジング・スリッパを手に森へ急行する。
彼女が外で捜索している間、翔太郎たちは仁から『L・A・S・T』の本当の結成理由である『
ミュージアム』への技術提供と、実際に風都を脅かす結果を招いた罪悪感から琉兵衛と疎遠になって沈黙していたことを明かされる(なお、彼の自白通りチームは組織のブレインでもあるのだが、翔太郎は琉兵衛が開眼していたテラーの恐怖心の操作により強制的に従わされていたと察し、彼に同情していた)。
ところが、その最中に窓の外で『死仮面』に襲われてもがき苦しむ亜樹子を発見。
翔太郎が飛び出してフィリップに連絡すると、敵の能力を突き止めた彼から敵の罠だと制止されるも、一瞬の隙に仁を殺害されてしまう。
ラーフがそのまま撤収すると、翔太郎を妨害するように『死仮面』を被っていた亜樹子が襲ってくるが、フィリップが同化したエクストリームメモリの翼の斬撃で真っ二つにされて燃やされてしまう(続けて、本物の亜樹子も無事に森から戻り、自分が燃やされている光景にパニックに陥った)。
そして、改めて合流したフィリップから、この
ドーパントの真の能力が解説される。
「他人を翻弄して嘲笑う」というラーフの真骨頂、それは「
切り離した自らの皮膚片のライブテクスチャー化」。
早い話が、自分の肉体を必要に応じて引っぺがし、粘土細工のように加工する能力である。分離した肉片は形状や色、さらには質感までも
オリジナルに似せた模造品に仕上げることができ、様々な偽装を仕掛けることが可能。
街で出現した恐竜や、先程襲ってきた亜樹子もこのライブテクスチャーで作り出した偽物であり、初戦での逃亡劇も実は完全に逃走しておらず、ビルの外壁に二重の壁を創作して隠れていたと推測される。
なお、この能力で消費する肉体の量は完全な質量保存に沿っておらず、偽亜樹子のような人間一人分なら影響はないが、恐竜のような巨大な存在への偽装は肉体の大半を使うらしい(戦闘中に急激に小型化したのもその結果)。
その特徴からこのメモリは、万物に擬態できる「ダミー」や、自身の血肉を糧に能力を使う「ロード」の二つの
ガイアメモリの特性を合わせ持った存在と言える。
しかも、生物に偽装させたライブテクスチャーは自立活動が可能なことから相手の意表を突いた増援に最適であり、さらに自分の肉体を燃やされて失っても「ロード」のような人肉を求める禁断症状が見られないことから、これらのメモリを複雑化させてデメリットも解消した上位互換と捉えることもできる。
直後、亜樹子宛に竜から栄介の脱走の連絡が入って彼がラーフだという可能性が高まるが、フィリップが話した「偽の恐竜の本体をダブルの必殺技で燃やしてしまったから、証拠を探すのに手間がかかった」という台詞に何かに気付いた翔太郎が一同を止め、自身の推理を説明する。
そして、とある廃ビルに潜伏してた本当のラーフの変身者を突き止める。
それは、二番目に殺害された筈の
ルークだった。
あの遺体も自身を容疑者から外すため、ライブテクスチャーで作り出した偽装であり、即座にビームで燃やしたのは蘇生の妨害ではなく、証拠隠滅だったのだ。
愕然として問いかける響子に、「君の笑顔のためだ」と意味深なことを口にする
ルークはラーフに変身し、「ニコニコビィーーーム!」で翔太郎とフィリップを襲うが、サイクロンジョーカーエクストリームに変身したダブルと交戦する。
変幻自在のマントや豪腕で迫るも、能力が露呈した上で単純な怪力戦闘ならエクストリームに及ばず、反撃にパンツの中から取り出した大量の肉片を加工して、琉兵衛の象徴ともいえる
テラードラゴンのフェイクを召喚し、騎乗してダブルを喰らわせようとする。
しかし、噛みついた顎は簡単にビッカーシールドで受け止められて歯が折られたり、剣撃だけで仮面が破損したりと
オリジナルの
テラードラゴンとは到底及ばないこけおどしであり、「形だけを真似ただけで、自分の能力を越える存在は作り出せないラーフは、所詮本物のテラーにも及ばない」とダブルに罵倒されてしまう。
逆上して騎乗したドラゴンごと特攻するも、プリズムビッカーに「サイクロン」、「
ジョーカー」、「ヒート」、「トリガー」の4本のメモリ、そしてベルトのスロットに「ルナ」をセットして発動したダブルの「ビッカールナチャージブレイク」の光の鞭剣に、ドラゴンを切り刻まれてしまう。
それでもまだ抗おうとした矢先、ダブルの次の標的に気付くも間に合わず、『死仮面』を破壊されてしまった。
実は今まで戦っていた筋骨隆々としたラーフのボディさえもライブテクスチャーによって切り離した身代わりであり、極限まで肉体を切り離すことができる
ドーパントの本体は、『死仮面』の裏面に一枚の皮としてうっすらと潜んでいたのだ。
メモリブレイクされた
ルークを尻目に、フィリップが突き止めた彼の
ハイドープとそれによる今回の行動目的を解説する。
『死仮面』の裏には電子基板のような加工が施されており、生物情報をデータ化する技術を開発していた
ルークは、これを介して自らも「他人の頭脳を自分にデータ化して吸収して殺害する」という
ハイドープを開花させていたのだ。
仮面を付けられた幸三と仁は、密着したラーフに強引に知識を吸収された事で顔の筋肉が引き上げられ、偶然にも『死仮面』のような不気味な死相を遺して死亡したのが今回の変死体の真相である。
ルークはこの
ハイドープの力で『L・A・S・T』の頭脳を自分に集約させ、真の天才に成りあがろうとしていたのだ。
満身創痍となった
ルークは響子に抱き上げられてその動機を問われると、真意を吐露する。
全ては最初に話した「響子の笑顔」のため。
彼女が『
ミュージアム』の首領ではなく、館長としての琉兵衛の人間性を慕っていた事から
ルークは嫉妬しており、全ての『L・A・S・T』の知識を統一し、琉兵衛の名を騙って第二の彼に成り替わることで、自身の片想いが成就すると盲信していたのだった。
その後、事件は無事解決し、行方不明の栄介も仁になりすました
ルークの「警察に犯人がいる」という嘘で呼び出されていたことが判明。
ラーフを撃破したことで、殺害を未然に防ぐことができた。
なお、フィリップの推察によると、やはり全ての発端はロングバレル島の遺跡調査が元凶とされる。
『
ミュージアム』の本性を見せた琉兵衛に他のメンバーが恐怖している中、唯一、
ルークだけがそのカリスマ性に惹かれ、自ら悪の道へ入り込んでいたのだ。
それを琉兵衛が見越していたのか、彼の死後に
ルークの手元に例の『死仮面』と「ラーフ」のメモリが配送されるよう手配されており、その真意は不明ながらも
ルーク自身は「後継者に選ばれた」と過信して、今回の犯行に及んでいたのだった。
なお、今回の騒動に『
裏風都』は直接関与しておらず、
ルークをスカウトしようとした雪侍も終始観察していたが、彼と接触する前にダブルに倒されており、これまた未遂に終わっていた。
しかしながら、この戦いを傍観していた雪侍は「
財団が手を引いても、街の人々の欲望を誘発させる[[ガイアメモリ]]はこれ以上とない完璧な発明」だと確信し、それを立証した
ルークを称賛した。
因みにオチとして、別荘で亜樹子が襲われた連絡を受けたフィリップがすぐに敵の陽動だと気付いたのは、彼の
ハイドープの特徴や行動原理から「
知性が優れた人間しか襲わない」から、とのこと(これには、クールに珈琲を口にしていた彼女の旦那も噴き出してしまった)。
最終更新:2021年04月04日 23:20