導くものは光と闇
運転台から、Gトレーラーのエンジンを切った
小沢澄子が降りて来る。
「まったく、もう少し大切に扱ってほしいわね」
長い髪を一つにまとめ直しながら、彼女は愚痴をこぼした。次いで上げた視線は、自然と運転手たる少年に向かう。
すでにジェネラルシャドウに大目玉を食らった睦月は、しょげ返りつつも反抗的な暗い瞳でこちらを見つめていた。
「あなた、免許持ってるの?」
「……バイクのなら」睦月がぼそりと呟く。
「基本は変わらないんだからこの機会に覚えたらどう?あ、ちょっとそこの白い怪人さん、ボンネット開けて」
気軽に怪人さん呼ばわりされたジェネラルシャドウが、思わず唖然となる。代わりに訊ねたのはジャーク将軍だった。
「そちは何をするつもりだ」
「念のため、エンジンルームの様子を確かめておかないと。それとも、いつ煙やら火やら吹くかわからないサスペンスがお好き?」
先だっての挑発とは別種の強気な口調に、クライシス帝国の指揮官にして最強怪人たるジャークも我知らず気圧される。
「そちが手伝え」
気を取り直して睦月に命じ車内に戻ろうとしたジャークを、小沢は気安く呼び止めた。
「手のあいてる怪人さんはその辺から食べ物でも探して来て。あと水」
「水だと?」
「ラジエーター回りがおかしくなってたら、予備のクーラントを補給する必要があるわ」
立場さえ考えなければ、至極真っ当な言い分である。
「食料ならあとで支給品を漁れ。水は探して来てやる」
ジャーク将軍は、様子を見守っているシャドウに呼びかけた。
「ここはそちに任せても良いか」
シャドウが頷くのを確かめ、通りを歩き出した。が、不意に足を止めて支給品リストを取り出した。しばしの間それを眺め、再びしまい込んで歩き出す。
衝突時に落ちた街路樹の枝が、ジャーク将軍に踏み折られて乾いた悲鳴を上げた。
小沢は街灯の明かりに照らされるGトレーラーの、ひしゃげた前面にため息をついた。睦月がボンネットを開けると、油の臭いと蒸気を含んだ風が吹き出して来る。
「あーあ、酷使されちゃって。ちゃんと見たほうがよさそうね。懐中電灯と工具箱取って来て」
「あんたみたいな弱い人間に、指図される筋合いはない」
「なに、その自分は怪人です、みたいな言い草。あなたは人間でしょ」
虚勢をぴしゃりと封じられて、睦月がより不機嫌になる。小沢は気にせず畳み掛けた。
「それに私だって訓練は受けてるのよ。仮にも警官だもの」
「だけどあんたはライダーじゃない。変身もなにもできないだろ」
「変身しただけじゃ、強くはなれないわ」
半分は信念、半分は虚勢だった。変身しただけで強くなれるわけではない。とはいえ、変身すら出来ない自分はこの状況でまぎれもなく弱い。
おとなしく工具一式を持って戻って来た少年に、彼女は問いかけた。
「このトレーラーに何が乗ってるか、見た?」
「なんか青いプロテクター」
「G3ユニットよ。私が作ったの。ある程度の適性があれば、あれを使ってライダーになれるってわけ」
小沢は手と口を絶え間なく動かし続けた。端からは、恐るべき敵に囲まれた緊張感でおかしくなったように見えるかもしれない。
「あれの装着員は氷川君っていってね。あなたと同じでちょっとヌケた所があるけど、私にとっては最高の英雄よ」
ヌケた、という言葉に睦月があからさまに眉をしかめる。そこに不器用な氷川の面影を見て、小沢はくすりと笑った。
「あなたは、英雄になれるかしら」
「俺は強いんだ」
答える睦月の言葉は力みすぎて、修羅場を踏んで来た小沢の前では微塵も説得力がない。
「強いとか賢いとか、それだけじゃダメなの。氷川君が英雄なのは、給料貰ってG3ユニットを装着してるからじゃない。その力を使って、何かを成し遂げようという強い意志があるからよ」
小沢は睦月、というより半分はエンジンを相手にご自慢の部下を語った。相手が聞いているかどうかは二の次だった。
「ガードアクセラーを取って来てくれない?」
「なに?」
「電磁警棒。ちょうどいいつっかい棒になるから」
必要ならその辺から手頃な棒切れを探しても良かったはずだが、小沢はあえて自ら開発した武器を求めた。簡単に特徴を説明し、収納されているはずの場所を教える。
睦月はおとなしく車内へと消えた。
「いつまでかかるのだ」
ジェネラルシャドウが、いぶかしむように訊ねる。時間稼ぎを疑っているのだろう。無理もない。
「こういうのは掛ける時間に比例して安全を買えるものなのよ。白い怪人さんは危険がお好き?」
「……ふん」
「そうよね、仮にも責任ある立場みたいだもの、ギャンブルみたいな真似はしないわよね」
挑戦的な口調はシャドウの気性を試すためでもあった。完全に無視されたことで、その冷静さを再確認する。
それでも不機嫌だったことは、シャドウの次の台詞で知れた。
「睦月、来い。訓練の続きだ。カードが欲しいのだろう?」
トレーラーから降りて来た睦月に、命じるように呼びかける。どうしたものかと自分を伺う睦月に、小沢は笑顔で答えた。
「いってらっしゃい。あ、それはこっちに」
逃走の隙ができるか、とほくそ笑んだ小沢の思惑を、助手席のドアが開く音が打ち砕く。目を覚ました冴子が、様子を見に降りて来たのだった。
小沢はすぐに逃走を諦めた。自分が死んだら首輪の解析は出来ず、仲間達も救えない。管理官として人の上に立つ彼女には、責任をになう者の自覚がある。ギャンブルまがいの真似が出来ないのは、本当は彼女のほうだった。
横から差し出された警棒を受け取ろうとしたとき、睦月と目があった。少年は、もう一つ別のものを手にしている。
「食いもの、欲しいって言ったよな。俺の荷物にあったから」
「何かな」
「八丁味噌のおにぎり」
これは笑うところなのか。一瞬虚をつかれた彼女だったが、すぐに屈託のない笑顔を作って答えた。
「ありがとう」
「俺は強くなる。力を手に入れて……」
少年が低く声を絞り出す。小沢はその腕を軽く叩いた。
「がんばりなさい。君が英雄になれたら、焼き肉奢ってあげるわ。おにぎりのお返しに」
むっつりとしたまま、少年が背後で待つシャドウのほうへと歩いてゆく。それをしばし見守り、小沢は改めてトレーラーに向き直った。
怪人どもを相手に軽く舌戦を交わし、睦月相手に喋り倒したおかげで少しは気が晴れた。相手に策士が多いならば、頭脳戦でそれなりに渡り合える自信がある。とはいえ、決して楽観視はできない。
殺戮を恐れない怪物達と、その意のままに操られる軟弱な少年。自分が桁外れに危険な状況に置かれていることは間違いない。その恐怖に打ち勝つためにも、作業に没頭して緊張を忘れる必要があった。
再び工具を手にした彼女の耳に、少年の雄叫びが聞こえて来る。続いて背後で響く、木の棒が打ち合わされる音。
それにしてもあの睦月という子。血迷ってこそいるようだが、完全に悪に染まっているとも思えない。ジャーク将軍やジェネラルシャドウに対する態度は単なる従属やへつらいではなく、どこか信頼や尊敬に似たものを感じさせる。
同じように自分にも好意を持ってくれれば、いざという時に心強い味方になってくれるかもしれない。なにせ、いやしくも仮面ライダーなのだ。
……それにどこか氷川君と似て不器用で、放って置けない所があるしね。
今一度杖を構えて、睦月はシャドウに打ちかかる。剣道を思わせる上段からの振り下ろし。シャドウは棒を掲げて受け流すと、軽い動きで横合いから剣を滑らせた。あわてた睦月は飛び退き様、棒を横に振ってそれを弾く。
距離を取って向き直ったが、シャドウが仕掛けて来る様子はない。睦月は杖を握る手に力を込めると、一息に駆け寄った。突き出される剣を二度、三度と払いのけ、シャドウの右脇に流れた杖の角度を変えて下から上へと一息に振り抜く。
だがその動きは見透かされていた。シャドウは一歩前へ踏み出すと、腕を返して睦月の首筋に静かに棒を下ろした。
代わりに得たものは辛うじて相手の肩をかすっただけの弱い手応え。落胆する睦月に、シャドウは厳しい叱咤を浴びせた。
「これが訓練で幸いだったと思え。実戦ならば、お前はこの一太刀のために命を落としていたぞ」
睦月が返す言葉もなく、ただ俯く。
「まあいい。一太刀は一太刀だ、カードはくれてやる。お前が選べ」
ジェネラルシャドウが、目の前に十枚以上に及ぶラウズカードを手にざっと広げる。睦月は慌てて顔を上げ、食らいつくようにそれに見入った。
本当ならばクイーンを選ぶべきだったろう。ラウズアブゾーバーが手に入った時、最初に必要になるのはそのカードなのだから。だが強さに心惹かれる睦月が手を伸ばしたのは、カテゴリー
キングのカードだった。
最強のカテゴリー。最強の力。
エヴォリューション・タランチュラのカードを握りしめた彼の脳裏に、不意に声が響いた。
お前は、本当の仮面ライダーになったんだ。
街路樹の青い匂いを含んで吹き抜ける風は、少年の耳元に遠い記憶の言葉を運んだ。かつてカテゴリーエースの呪縛を打ち破った自分を迎えてくれた、
橘朔也の優しくもどこか寂しげな面影が目に浮かぶ。
己の弱さに泣き崩れる自分を支えてくれた望美の腕、業火とともに弾けとぶスパイダーアンデッドの身体、まるでその炎が焼き付けるかのように、背に負った火傷が痛む。
「どうした?たった一枚で満足なのか」
シャドウの問いに、睦月は我に返った。その瞳の奥に光と闇を宿して、はっきりと首を振る。
「カードは全て貰う!」
叫んで杖を握り直した少年に、シャドウは頷いて身構えた。
「よく飽きないものだわ」
小沢の脇で車体にもたれていた冴子が呟く。
「結構なことよね」
ホースを締め上げながら小沢が相づちらしきものを打つ。
冴子は口元を手で隠すと、小さくあくびをした。目を細め、妖艶な笑みを訓練に興じる二人に向ける。
「でも熱心な子は、好きよ。育てがいがあるわ」
「そうかもね。あ、そこのスパナ拾って」
やはり小沢澄子は話を聞いていなかった。
差し出されたスパナを受け取ろうとして、彼女はそれを握る硬質な腕に気づいた。
「水だ」
奇麗な水の満たされたバケツが、足下に置かれる。どうやらジャーク将軍は、本当に水を探して来たらしい。
「……ありがと」
小沢は素直に礼を言った。少なくともこれで、手を洗うことはできる。
小一時間の修理の後、小沢はようやくボンネットを閉じた(正確には、睦月を呼んで閉じさせた)。その手は無造作にガードアクセラーを握っている。
「これで一応は安心だと思うけど、できるだけきちんとした道を走ったほうが安全ね。可能な限り市街地を行きましょう」
その提案は、出来るだけ仲間達と距離を短く保っておく努力でもある。睦月とともに運転台に乗り込もうとする彼女に、ジャーク将軍がたずねた。
「性懲りもなくこれにやらせる気か。また事故を起こしたらどうする」
「どうせここには警察はいないでしょ、っていうか私が警官だし。私有地なら免許無しで走っても問題ないわ。私が教官やったげるから」
小沢は完全に落ち着きを取り戻していた。こういうときは、自分のペースを保つことが一番大切なのだ。正確には、相手を自分のペースに巻き込むこと。
この怪人さん達は、ご親切にも首輪の解析が出来る場所に連れて行ってくれるという。ひとりきり逃げようもない今は、いっそそれに乗るのも悪くない。
首輪の解析が済むまでは彼らも自分を守るほかないのだし、そもそも首輪の外し方がわからないことには仲間達も助けようがないのだから。
協力や強制ではない。利用してやるのだ。たとえ先に怪人たちの首輪が外れることになったとしても、首輪に替わる弱点を見つけ出せばいいだけじゃない。そのために、私には灰色の脳細胞っていう武器があるんだわ。力を持ってしては奪い得ない、最強の武器が。
運転席に乗り込んだ睦月は心配そうにハンドルに手をおいている。まずはこの子と少し話しあってみようーーーーそう考えて助手席のドアに手をかけた小沢を、低い女の声が止めた。
「私もお付き合いするわ」
車体が街灯を遮っているせいで、
影山冴子の表情は伺い知れない。仕返しに、小沢はとびきり嫌そうに顔をしかめた。
「監視ってこと?」
「そうなるわね」
二つの視線が交わされる。熱くかたくなな光を帯びた小沢のそれと、冷たく鋭い闇を宿した冴子のそれ。互いに抱いた警戒感は戦士としての本能によるものか、それとも女の直感に類するものか。
先に視線をそらしたのは小沢のほうだった。
「ま、どうせ私たちの会話も主催者様には多分筒抜けなわけだし」
軽く伸びをしながら言い放った彼女の言葉を、ジャーク将軍と話し合っていたジェネラルシャドウが聞きとがめる。
「筒抜け?スパイがいるとでも言うのか」
見当はずれの言葉に、小沢は大げさにあきれかえってみせる。
「首輪よ首輪。まさかあなたたち、あの全裸コートの露出狂よろしい変態男が双眼鏡を手に現状確認してると思ってたわけ?日本野鳥の会じゃないんだから」
「いずれはクライシス野鳥の会になる!」
見当違いの反駁をしておいて、ジャーク将軍は慌てて厳かに言い直した。
「余の言葉を聞きたければ好きなだけ聞くがよい。余はクライシス帝国最高司令官なるぞ。神崎とやらなど恐れはしない」
「聞かれて困るような後ろめたいことは、俺は口にせん」ジェネラルシャドウが唱和する。
悪の帝国が誇る偉大なる幹部諸兄に於かれましては、実に負け惜しみ感の漂う宣言であった。
と、その宣言でふとあることを思い出し、小沢は聞こえよがしに口にした。
「クライシス帝国とやらは主催者とつるんでるから、筒抜けでも平気ってわけ?」
「我が帝国を侮辱する気か!あのような小僧と手を組むいわれはない」
ジャーク将軍の激昂に、やはり手を組んでいるというのはガセだと確信する。
「それは悪かったわ。ちょっとそういう噂を小耳に挟んだものだから」
小沢はそれ以上話を広げないことにした。さすがに敵である彼らに懇切丁寧なアドバイスをしてやるほど、彼女もお人好しではない。本当に説明が必要になったらしてやればいい。
「あーあ、それにしても肩凝った。こういうときは冷たいビールがおいしいんだけど、贅沢言える状況じゃないか」
場違いな物言いに応じたのは、冴子のつややかな声だった。
「残念ね。ここが私の店なら、一杯奢ってあげることもできたのに」
むろん小沢はそれが殺しのサインだということなど理解していない。
「焼き肉出してくれるなら、喜んで奢られに行くわよ」
あながち社交辞令とも言い切れない台詞だった。
ジャーク将軍は、運転席の窓を杖でノックした。ドアを開けた睦月に、手にした二枚のカードを差し出す。
「ダイヤのKだ。持っておけ」
睦月はそれをむしり取り、カードの中で静かにこちらを伺うカテゴリーキングを睨んだ。
金居の声が、挑発的に語りかけて来る。
実現させようぜ。
君の望んでいた、平和ってやつを。
「俺は、お前に騙された……」
エヴォリューション・ギラファのカードを、睦月は今にも折ってしまいそうなほど強く握りしめた。つぎの言葉は解っている。金居は鋭く言い放つのだ。
俺の平和に、人類など不要だ!
睦月は唇を噛んだ。
たしかに、自らの心に語りかけるアンデッド達の声を聞き、その思いを感じ、彼らとの和平を望んだ時があった。だが、その希望を裏切ったのもまたアンデッドだった。
ふと、先刻の戦いが脳裏をよぎる。脱出を餌にライダー達を騙し仰せたジャーク将軍。自分がライダー達の側にいたら、やはりあの提案を信じたことだろう。
そして裏切られたことだろう。
……とどのつまり、頼れるものは自分の力しかない。誰の言葉も信じるな。
心の奥でそう囁く声がする。
と、それを吹き消すようにドアの隙間から風が吹き込み、それに乗って聞き覚えのある声が耳に響いた。
百回人を裏切った奴より、百回裏切られてバカを見た人間のほうが、
ぼくは好きだな。
その言葉に覚えはなくとも、その言葉を口にしたのであろう朗らかな笑顔の青年はすぐに浮かぶ。いい歳こいて手に牛乳瓶を握っているユーモラスな光景まで思い出された。
次の瞬間、ジャークの声が少年を現実に引き戻す。
「もう一枚のカードは『はずれ』だな。それともジョーカーのようなものか?余にはわからぬが」
コモンブランクのカードを、ジャークはそう評した。
睦月は、ブレイドと肩を並べて戦っていたカリスの姿を思い出す。あの人はジョーカーじゃない。
相川始、人間に魂を売ったアンデッドだ。
違う。人間の心を手に入れたーーーー人間だ。剣崎さんが自らの存在を賭けて守り抜いた、一人の人間だ。
オイルのこびりついた髪を解いて指でくしゃくしゃにしながら、小沢はジャーク将軍に話しかけた。
「あなたも面白い怪人よね。人間であるあの子の世話を焼くなんて」
「出自はともあれ、あれは今は余の部下だ。余は指揮官として、あれを鍛え、戦士として立派に戦わせてやる義務がある」
むろん、最終的には余の目的のために。そこまではジャーク将軍は口にしない。見抜けないほどの愚か者なら、それまでのことだ。
小沢が暢気な声で返したのは予想外だったが。
「なんかわかるわ、その苦労。中間管理職ってつらいのよね」
「最高司令官を中間管理職と申すか!」
「上になんかいなかったの?王様とか皇帝とか神様とか」
「皇帝陛下がおる!」
「じゃあ中間管理職で合ってるじゃない」
どう見ても高級管理職です、本当にありがとうございました。そんな突っ込みを許さぬ勢いで、小沢は決めつけた。
「苦労人だから結構人間もできてる、ってわけ?って怪人だったか。人間じゃないのが惜しい位よね。あ、褒めてんのよコレ」
手にした警棒で軽く自分の肩を叩く。
「あなた、いっそ人間になってみない?金ぴかなのは、ヤスリかなんかつかってテカリを落とせばちょっと黄疸、くらいでごまかせないこともないし」
「人間ごときの醜悪な美的感覚でものを語るな!そもそも、そちの髪型はなんだ!まとまりなくふわふわさせおって、たてがみのつもりか!」
「どんな髪型しようと私の勝手でしょ」言いながらも、小沢が慌てて髪をまとめ直す。
「金ぴかなのも余の勝手だ!」
一帝国に冠絶する名将と、一国の警察が誇る天才科学者。しかしそのやり取りが端から見ればまるきり漫才であることに誰も気づかないのは、凄惨な環境が人から笑いを奪うことの証明だったのかもしれない。
風の声を聞け
いつの時代の人間が築いた営みの証だろうか。今はかつての面影もない遺跡のシルエットは、月に照らされ遠い地平にかぎ裂きのごと醜い影を浮き立たせていた。
凍り付いたさざ波を思わせる風景の中を、そぐわぬエンジン音とともに疾走する一つの姿がある。遺跡の色に似たベージュのコートを翻してバイクを狩る男を、人は蔑みの名で呼んだ。
すなわち、ジョーカーと。
あたりに広がる死んだ風景は彼にとって慰めだった。命あるものの名残を見れば、背負った罪科に苛まれざるをえない。ヒューマンアンデッドが彼に与えた残酷な祝福は今も生きていた。人を殺し、未来を奪う行為は、そのつど彼自身の心と身体に傷を刻む。
人を憎んでいるのではない。愛しているからこそ、目の前の人間を憎み、殺さねばならない。統制者が彼に与えた宿命はいま、神を気取る別の存在の手で彼を縛っていた。
ふと視界にヘッドライトを映し返す小さな輝きを認め、始はバイクを止めた。ライトをつけたまま、そのきらめきに歩み寄る。
瓦礫の奥に透明な小箱がひっそりと、日の目を見るときを待ちわびていた。中身はスペードの7と8。
これは剣崎の持つべきカードだ。自分が見つけたのも運命というもの、他の人間に渡してはならない。
始は瓦礫をのけ始めた。力を込めるたび、腹部に追った傷に痛みが走る。それを堪えるため、彼は幾度となく虚空に叫んだ。
だが風さえも彼には答えない。
ようやく小箱を引きずり出すと、始はその場に腰を下ろして息をついた。
朽ちた廃墟の中、このケースだけはほとんど埃を被っていない。その事実が、苦難の始まりからさして時間が経っていないことを彼に思い知らせる。
苦難は短ければ短いほどよい。自分のためではない。故なく渦中に投じられた少女のために、出来るだけ短く済ませたい。たとえ自分は苦難の続く間だけしか生きられないとしても。
始はカード今一度眺めてをポケットにしまい込み、風の導くまま再びバイクを発進させた。
崩れ落ちた岩壁が排気音で震える。長い間沈黙を保って来た風にとって、その音は冒涜にも近い。だが考えてみれば、ジョーカーそのものが全ての生命に対する冒涜とも言えた。ならば今更、このささやかな悪行をとがめるものがどこにいよう。
トレーラーは無事に市街地を抜け、隣接する遺跡へと乗り込んだ。小沢の指導のおかげでエンストや急ブレーキの回数も減り、スピードもなんとか安定している。
あともう少し先で南に折れれば、車に負担のかかる海岸地帯は最短距離で通過できるだろう。
「がっかりしてるんでしょう。お仲間が助けにこなくって」
小沢の耳元で冴子が囁いた。
「まあね、でも覚悟はしてたわよ。あなた達全員をぶちのめすには、ちゃんと準備が必要だし。ほんと、悪役商会真っ青だものね、あなたたち」
強がりながらも、小沢は残された仲間達のことを思う。新たなる脅威にさらされてはいないだろうか。
リュウガは無事に彼らと合流できただろうか。
普段の調子のおかげで強がりが強がりに聞こえないのは、せめてもの幸いだった。
ヘッドライトが照らし出す道は土がむき出しで、ところどころに地割れが入っている。よほど長い間雨に恵まれていないのだろう。この土地に降る雨を自分は見ることがあるのだろうか。小沢は柄にもなく思いを馳せた。
崩れた瓦礫の欠片が目の前を塞いでいるのを見て、小沢が迂回を指示する。
「えっと、これだっけ……」
睦月がなぜかヘッドライトを上下させた。
「ああもう、ウィンカーとか出さなくていいから」
小沢が睦月を押さえようとする脇から、不意に冴子が手を伸ばした。
「待って。何か見えるわ」
そう囁いて、自分でヘッドライトを動かす。睦月と小沢は何のことか解らず、それを見守っている。冴子は目を細め、意識を集中した。オルフェノクの鋭い視覚で、砂塵の中に光と呼応してきらめく何かを確認する。
「っていうかまず止めて」
小沢の命令に睦月が慌ててブレーキをかけ、車体が派手に揺れた。
「何の騒ぎだ!」荷台から苛立たしげな声でガライが叫ぶ。どうやらお目覚めらしい。
「ジャーク将軍、このエリアに支給品はあったかしら」訊ね返したのは冴子だった。
「いや、ないはずだが」
「……気になるわね。見に行きましょう。ライトはそのままにしておいて」
冴子が助手席の扉を開けるのを見て、小沢は足下の工具箱から懐中電灯を抜き取った。
「私もついて行くわ」
「どうぞ、ご自由に」
睦月は呼ばれなくても黙ってついて来た。どうやら純体育会系の見かけによらず、一人にされると寂しくて死んでしまう小動物系の神経を持ち合わせているらしい。
その一帯は壁や床もろとも完全に崩れ落ちていた。だが砂塵に覆われてない所を見ると、崩れたのはごく最近だ。
ヘッドライトをたよりにある程度まで近づき、回りが暗くなると感じた所で懐中電灯をつける。その瞬間、確かに何かが瓦礫の中で輝いたのが見えた。冴子が近づいてそれを拾い上げる。
輝いていたのは、剣を模した銀のペンダントだった。ヘッド部分はスペードのマークを象っている。瓦礫に引っかかって切れたのだろう、鎖の部分はその側に落ちていた。
価値を確かめるようにそれを目の前に掲げた冴子を見て、睦月が表情を変えた。飛びついて女の手からそれを奪い取る。
「どうしたの?」小沢が懐中電灯を手に駆け寄った。
「これは、剣崎の……」
銀のペンダントには黒い血の染みがついている。睦月は爪でそれをこすり落とそうとする。
小沢が照らす瓦礫の中に、明らかに何かを引きずった跡がある。睦月は小沢の手から懐中電灯を奪い取り、その跡をつけた。
やれた家屋の裏側の一角が、不自然な空虚を宿している。瓦礫が取りのけられ、平たく慣らされた土の上には、十字の形に石が置かれているのだ。
おそらく剣崎はこの場所で誰かと戦い、敗者がここに葬られたのだろう。冴子はすぐに背を向けた。
「行きましょう。死んだ者に構う必要はないわ」
「待て」睦月がうなった。
興味があった。剣崎が誰を殺したのか。ブレイドより強いことを証明するためには、剣崎よりも強い相手を倒さねばならない。
死者への冒涜などという考えは、闇の音色に耳を傾けている睦月の心にはなかった。手で軽く払いのけるだけで、満足に踏み固められていない土は簡単にえぐれる。
様子がおかしいことに気づいたのだろう。トレーラーから残りの三人が降りてくる。冴子の目配せに、ガライが肩をすくめた。
乱暴に地面を掘り散らかしていた睦月の手が、何かに触れる。光を当てられて青く光ったそれに、睦月が血相を変えた。
スペードの意匠が彫り込まれた、樹脂製のキューブ。
慌てて腕全体を使い辺りの土を払った睦月の前に、そこで眠っていた男の顔が現れる。
「……剣崎、さん…………?」
少年は擦れた声で呟いた。
小沢は睦月の傍らに膝をつき、男の手の指を握ってみた。ほとんど曲がらない。つまり、死んで半日以上ーーーーこの感じだと、一日近く経っているということだ。
考えてみれば剣崎の名が死者の列に連なったのは最初の放送が行われた時点。計算は合う。
そう告げる小沢に、睦月は激しく首を振った。
「あり得ないですよ!だって剣崎さんはさっき……」
はたと言いよどみ、あらためて小沢を見つめる。
「小沢さん、教えてください!あなたと一緒にいた剣崎さんが本物なんですよね?!」
睦月の声は悲鳴に近く、その言葉も確認ではなく懇願だった。
自分は策士などではないな、と小沢澄子は内心で苦笑した。敵と言うべき者たちの前で、陽動のためにも嘘を突き通すべきだとわかっていながら、少年の悲痛な声と神代への怒りにその嘘を口にすることを躊躇ったのだ。
そのためらいが、睦月にとっては何より明瞭な答えとなった。
「そんな……じゃあ、こっちの剣崎さんが、本物……?」
ただ呆然と言葉をこぼす。冴子が低く冷たい声で訊ねた。
「どういうことか、説明してもらえるかしら」
小沢は今一度躊躇った。本当のことを教えないほうが、彼らには不利になる。敵である以上、彼らに便宜を図ってやる必要はないーーーーはずだ。
が、結局彼女の中でも怒りが勝った。
「
神代剣よ」
嫌悪の感情を押し殺しながら、小沢は吐き出した。
「彼には人の姿をまねる力があるの。おそらく彼が剣崎君を殺して、その記憶を手に入れたんでしょうね」
話してしまうと少しだけ楽になった。と同時に、頭が冴えて来る。この先目の前の怪人たちは、神代と出会えば敵と認め、戦うだろう。少なくとも神代は『殺し屋』、自分にとっても敵だ。死んだところで胸は傷まない。
睦月がすがるように死者の腕を引き寄せると、青い樹脂製のブレスレットが抜けた。
「剣崎さん……」
剣崎の冷えきった身体を覆っているのは土ばかりではなかった。乾いた赤黒い血がその身体に染みを作っている。赤い血……アンデッドのそれではなく、まぎれもない人間の。それに気づいた睦月の脳裏に、ひとつの疑問が浮かんだ。
この世界に集められた人間は、必ずしも同じ時代から呼び寄せられたのではないらしい。目の前に横たわっているのは、どの時代の剣崎なのか。
もしアンデッドの力を手に入れる前……カードを数枚しか持たない剣崎だったとすれば、あっけなく敗れたとしても納得がいく。
しかしーーーーもしこれがキングフォームになる前の剣崎だとしたら、自分の来た世界は誰が救ったのだろう。まさか、いざ脱出しても帰る世界がない、なんてことになるのだろうか。
このゲームの主催者には、全ての世界の歴史を狂わせるほどの力があるのか。だとすれば、戦って勝ち残ることに、何の意味が……?
睦月の手から今にも滑り落ちそうなブレスレットに気づき、シャドウは記憶を反芻した。目の前で変身した白いタキシードの青年。彼は、スペードの刻印されたベルトを使って変身した。
「これが、スペードのエースで変身していた男か」
睦月が頷くのを見て考え込む。この男が本物のスペードのエースとなれば……。
「クラブの8に心当たりはあるか?」
「ポイズンスコーピオン、俺のカードです。俺の……」
答える睦月の声はうわずっていた。
皮肉なことに、ジェネラルシャドウは剣崎を装った男がサソードゼクターの資格者であり、スコルピオワームであることを知らない。知っていたら、即座に答えを断定していたことだろう。
死んだ剣崎の操るスートはスペード、目の前にたたずむ少年の握るスートはクラブ。手に入れるべき切り札のうち、片方は永遠に失われたということか。
「残念だったな、この男がお前のためにカードを残しておいてくれなかったのは」
慰めともなく口にした言葉に、睦月は掠れた声で叫んだ。
「そんな言い方はやめてください!剣崎さんは……」
……これ、仕事だから。
誰から押し付けられたわけでもない、
俺が選んだ、命を賭ける価値のある仕事だ。
はにかむような笑顔で答えた剣崎の顔は、今もよく覚えている。冗談半分のその言葉の、真実の部分は命を賭ける価値という言葉にあった。
剣崎一真は英雄だった。その力ゆえではなく、その力の使い道を知っていたがゆえに。一人でも多くの人間を守るために力を費やし、命を賭けることもいとわなかった。
世界とか人類とか、そういう形だけの言葉を守っていたのではない。目の前の人間を、見知らぬ誰かであれ友であれ、分け隔てなく救おうとした。
友と世界を天秤に賭けることを拒み、自らの生に変えてその両方を救った。
睦月の前で、彼の英雄は静かに眠っている。
強くなりたいと思った。剣崎さんのように。橘さんのように。そして……。
そして、何をする?
遠く彼方から渡ってきた潮風が、睦月の心を冷たく吹き抜けた。
俺にはない……戦う理由なんてないんです。
自分自身がうつむきがちにそう答えるのが聞こえる。
俺は、剣崎さんみたいにご両親を助けられなかった過去もないし、
橘さんみたいに、恋人を殺されたわけじゃないし。
彼は手の中のブレスレットを見下ろした。
二枚のカードを手に入れるために思わぬ時間を食った。始はそのことを呪いもしたが、剣崎のカードを持っているということに安らぎも感じていた。
また一つ、剣崎と再会する理由が増えた。
が、目安にしていた地点に近づいて首輪探知機を確かめた時、改めて自分を呪うことになる。
標的の存在を示す光点は、すでに前方に集まっていた。
機を逸したかと思ったものの、それらは同じ場所を僅かに移動する程度だ。取り込み中であれば、まだチャンスはある。
始はバイクのエンジンを切り、適度な距離まで押していって瓦礫の背後に隠した。そこから、人の姿でも鋭敏な感覚で獲物たちを伺う。
シャドウの白い出で立ちが、夜の闇の中亡霊のように浮かび上がっている。そして黄金の輝きを放つジャークの姿。今一人、純白をまとったガライとその向うに女が二人、そして睦月は何かの上にかがみ込んでいる。
耳をそばだてると、信じられない会話が聞こえて来た。
剣崎が、死んだ……?
言葉の意味を理解する前に、始は反射的に飛び出していた。食い入るように見つめたその目に、血と砂にまみれて穴の中に横たわる剣崎の姿が映る。
「どういうことだ。お前が殺したのか、睦月!」
怒りの叫びに、少年が振り返った。その目は充血し、顔は涙で濡れている。
「違うわ。彼はとっくに殺されていたの。あなたも放送を聞いたでしょ」
割って入ったのは警官の制服を身につけた女だった。その厳しい視線に、始は今も携えている一枚の写真を思い出し、胸に手を当てた。
ある家族の笑顔が語りかける写真ーーーー彼に取って全てはそこから始まった。そして彼自身がまだ己の心を信頼できずにいる時、アンデッドである自分を信頼してくれた者たちがいた。剣崎と、もう一人。
自分を信じてくれた者と同じ光を宿す女に向かい、始は問い返した。
「剣崎は生きていた。お前たちもその目で見たはずだ」
「それが、剣崎君を殺した本人だったみたいね。彼、擬態できるんですって」
口を挟んだのはもう一人の女、影山冴子だった。研ぎすまされたナイフを彷彿とさせる冷笑が始を打つ。
「あなたは自分のお友達を殺した人間に手を貸したってわけ。皮肉なものね」
「天むすは黙ってて」
小沢は冴子の挑発を遮った。もしも彼が神代の敵となりうる存在なら、ぜひとも味方に引き入れたい。
「とにかく、あなたは騙されたのよ。睦月君も、何もしてないわ」
「そうか」
相川始は乾いた声で呟いた。
夜風が砂塵とともに吹き付ける。だが相川始はまばたき一つしなかった。アンデッドに痛みはない。ジョーカーは涙を流すことを知らない。
「そうか。いずれにしろ、俺がお前たちと戦わなくてはならないのは同じだ」
「相川さん……?」
睦月の喘ぎを、彼は躊躇なく切り捨てた。チェンジ・マンティスのカードを手に、強く宣言する。
「俺は戦う。戦って、剣崎を救う……今はすべてが俺の敵だ!」
「ちょうどいい。なにか壊してやりたいと思っていたところだ」
踏み出したガライを、ジャーク将軍の腕が遮る。
「睦月、そちの力を見せてみよ」
睦月の知り合いならば光を奪うにはちょうどいい。すでに知り合いの死を見せつけられて壊れかけている少年の心は、底知れぬ闇に落ちるだろう。
ジェネラルシャドウが睦月の腕を掴んで起こした。呆然と立ちすくむ少年の胸に、持っていたラウズカードを押しつける。
睦月は逃げるように後ずさった。途端、自分で掘り返した穴に足を取られて瓦礫の中に倒れ込む。
「どうした。力が欲しいのではなかったのか」
シャドウが彼に歩み寄り、その首を締め上げる。
「戦わない戦士に生きる意味はない。お前が力を拒むというなら、この場でお前を殺して俺がその力を受け継いでやろう」
止めに入ろうとした小沢の腕を冴子が掴む。振り返った小沢に艶やかに笑いかけつつ、彼女は握った腕に爪を食い込ませた。
睦月は怯え切った目で手を伸ばし、カードの束を握った。ようやくシャドウの腕から解放されてその場に崩れ落ちる。
砂埃に咳き込む少年の耳の奥で、誰かが叱咤の声を上げた。
光と闇に、操られるな。
自分との戦いに、終わりはない。
睦月は打たれたように身を起こし、マンティスのカードを手に自分を眺めている相川始を見上げた。
「おかしいですよ……」
カードを握りしめて立ち上がる。
「おかしいですよ、相川さん。あなたが、ジョーカーに戻るなんて」
訴えながら、少年は剣崎の身体を越え、一歩一歩を踏みしめた。
「剣崎さんは、あなたがジョーカーに戻ることなんて望まなかった。戻らないと信じていた!あなたには、自分との戦いを続ける勇気があると信じていたはずだ!」
「知ったような口をきくな」
始は冷ややかに応じたが、睦月は足を止めない。
「剣崎さんはあなたを信じて、自分も永遠に自分自身と戦い続ける道を選んだ!それを裏切ったあなたに、剣崎さんは救えない!」
「ならばお前が救えるというのか?」
「わかりません……それでも!」
睦月の胸の奥で、カードに封じられたアンデッド達が呼びかける。力への渇望、勝利への執念、眷属への愛情ーーーーそれぞれの、平和という悲願。と同時に、背に負う怪人達の視線に同じ類の思いを感じた。その重さに胸がつまり、涙がこぼれる。
戦う理由などない。ただ戦いがあっただけだ。戦いがあったから力を求め、勝利を求め、理由を求めた。
けれど誰もが本当に求めていたのは、それぞれの平和。
彼らの思いを全て受け止めるには、今の自分は弱すぎる。
睦月は剣崎のブレスレットを左腕にはめた。腕時計のバンドに樹脂製のキューブが打ち合わされて、安っぽい、だが心をなだめるように柔らかい音を立てる。
「せめて剣崎さんの思いだけは、俺が継ぎます!」
睦月はレンゲルバックルを腰に当て、死者を悼むように左手で顔を覆った。右手は、痛みを感じるこの胸の上に。
目の前に、透き通った青が色を落としている。
「変身!」
渾身の力で叫び、両腕を振り下ろす。バックルが開かれ、目の前に光のゲートを展開した。
Open Upーーーー心の扉を開き、風の声を聞け。
睦月はバックルに導かれるまま、輝く扉をくぐった。
仮面ライダーレンゲルは恵まれた存在だった。短い生の間に、暖かい家族と、支えてくれる恋人と、導いてくれる師と、受け止めてくれる友と、それら全てを与えられていた。
敵であるはずのアンデッドの中にすら、彼に道を示し、光を掲げるものたちがいた。だから愛を当然のものとして捉え、失うことを恐れない。
ジョーカーは違う。孤独に生まれ、永遠の歳月を憎悪だけを向けられて生きて来た。天音ははじめての家族であり、剣崎ははじめての友だった。ヒューマンアンデッドの呪縛は、ジョーカーをしてはじめて手に入れた暖かい感情に執着を抱かせていた。
人を守ろうとする愛が人を強くする。かつて剣崎を前に抱いたその感想を、相川始はいま皮肉な形で実践していた。
「変身」
呟いて、手にしたカリスのカードをゆっくりとベルトに滑らせる。
Changeーーーーその身もろとも変わるがいい、戦うだけの獣に。
始はベルトに命じられるまま、狩人の魂を身に帯びた。
カリスアローの最初の斬撃は、レンゲルラウザーの柄に弾かれた。先だって砕かれたはずのラウザーの刃は既に修復され、鈍く光っている。カリスは腕を返して今一度斬り下ろし、レンゲルがそれを受け止めた瞬間を狙って蹴りを叩き込んだ。
レンゲルは小さく喘ぎながら一枚のカードを引き出し、ラウザーに滑らせる。
『フロート』の声とともにその身体が舞い上がり、カリスの斬撃は空を切った。
「なぜ人間が空を飛ぶ!」
驚いてそう漏らすガライに、ジェネラルシャドウが答えた。
「借りたのだよ、アンデッドの力を」
「飛び道具相手に空中戦って、不利な気がするけれど」
冴子が冷静に呟く。小沢はようやく冴子の手を振り払った。
カリスが見えない弓弦を引く仕草で空中に狙いを定める。それに気づいたレンゲルは身を翻すとダイヤの5と6、二枚のカードをスラッシュした。金色のつま先に灯がともり、辺りを明るく照らし出す。
「バーニングスマッシュ!」
睦月の叫びとともに振り下ろされた蹴りは、とっさに身を庇ったカリスの腕を直撃した。
「あなたの心を取り戻す。それが出来ないなら、この手で封印する!」
「お前は何も解っていない」
「わかってないのはあなたのほうだ!」
いい放ち、クラブの3と4をラウザーに通す。続いて突き出した穂先はカリスアローの振り上げに弾かれ、二人のライダーはあらためて互いに距離を取った。
「偉そうなこと言った割に、カード頼りなんだ」
次から次へとカードを切るだけの睦月のやり方を、小沢澄子はあきれてそう評した。
「手駒が有り余っているなら、使い捨てるのも策というものだ」ジェネラルシャドウが応じる。
シャドウには見えていた。睦月は弱い。心も体も、ただ一人戦ったなら簡単に負けてしまうほど弱い。睦月を強くするのは睦月自身の力ではなく、彼を支える力なのだ。
それはラウズカードであり、アンデッドでありーーーー少年を愛してくれる人々だった。かつて陽炎のように自分に呼びかけた者たちが、まさにそれなのだろう。
と、小沢が何かに気づいて叫ぶ。
「って、なんか数字、もうすぐゼロよ!」
その声にはっと顔を上げたレンゲルを、横合いからカリスの斬撃が襲う。幾度も斬りつけられながら、睦月は二枚のカードを取り出してスラッシュした。アブソーブサーペントとエヴォリューションギラファ。減っていた数値が一気に上昇する。
「え?あれはさすがに反則じゃないの?」
呟いた小沢に、ジャークが返す。
「そちは悪法も法、という言葉を知っているか?」
「それ、地球の格言よ」
「いや、クライシス帝国の格言だ」
「地球よ。ギリシャの格言。ソクラテスが言ったの」
ねえ、と同意を求められて、冴子が黙って微笑んだ。
体勢を崩したレンゲルから一歩引くと、カリスはラウザーを弓にはめ、二枚のカードを引き出した。ハートの5と6。
弓から発せられる『スピニングアタック』の宣言とともに、黒いシルエットが竜巻に踊る。レンゲルは慌ててカードを抜いた。
クラブの7。『ジェル』の音声が響く。次の瞬間、カリスの蹴りがレンゲルの胸部を狙いーーーーレンゲルは異様なほどの柔軟さで身をのけぞらせてそれを避けた。
「あー、マトリックスだ。生で見るとは思わなかった」
小沢が思わずため息をつく。
レンゲルが体勢を立て直す間にカリスが再び手にした二枚のカード。レンゲルもまた二枚のカードを抜く。
『スピニングアタック』『ブリザードクラッシュ』
二つのラウザーが競うように声を上げ、それに答えてライダー達が宙に舞う。
激しい風が砂塵をまき散らし、鋭い冷気に瓦礫が凍り付いた。
大きく弾きとばされたのはレンゲルのほうだった。先に身を起こしたカリスが、もう一度二枚のカードを手にする。
そこで躊躇うように見せた数秒の間を、レンゲルは見逃さなかった。自らも一枚のカードを引き抜いてラウザーに滑らせる。
『リモート』。
白い光がカリスのカードを打ち、そこに封じられた二体のアンデッドを解放した。
トリロバイトとバッファロー。意外な姿にレンゲルが一瞬動きを止める。
カリスは素早くカリスアローを振るい、激しく蹴りつけて二体のアンデッドを打ち倒した。それに巻き込まれて、レンゲルまでもが弾きとばされる。彼らが体勢を立て直す前に、カリスは身を翻して瓦礫の裏に転げ込んだ。
間髪入れず、エンジンの音が当たりに響き渡る。
「逃げるんですか!相川さん!」
「心配するな、お前は俺が倒す」答えは凍てついた瓦礫に、冷ややかに響いた。
「燃料切れ、というわけね」
同じくらい冷ややかな影山冴子の言葉に、睦月ははっと気がついた。
カリスのラウザーには、もう一度スピニングアタックを放つだけのAPが残されていなかったのだ。カリスは彼と違って上級カードを持たず、チャージが出来なかったのだろう。
獲物を求めて周囲を見回す二体のアンデッドに、不意に白い影が襲いかかった。鋭いパンチを立て続けに見舞い、ぐらついたバッファローの首を締め上げる。
さらに襲って来たトリロバイトを蹴りとばすと、貴公子然とした表情を僅かにも変えないままバッファローを力づくで地面に叩き付ける。
かちゃり、と音がしてバッファローのバックルが開いた。レンゲルは空白のカードを抜いて、なおも蠢くアンデッドに向かって放った。
バッファローアンデッドは緑色の光と化してカードに吸い込まれ、ライダーの手元に戻った。
その間にもガライはトリロバイトを蹴倒し、踵を幾度となくのど元に叩き込んでいる。レンゲルはもう一枚のコモンブランクを手に、その様子を見守っていた。
アンデッドの身体が震えるばかりになってようやく、ガライは蹴るのをやめた。
「少しは気が晴れたか、ガライ」ジャーク将軍が訊ねる。
「この程度で誰が。脆過ぎる」
レンゲルが再びカードを投げた。
市街地まで一気に走り抜け、始は建物の影にバイクを止めた。我知らず遺跡の方角を振り返る。遠くから眺める地平はやはり形を失った死の風景だ。
彼はいずれそこで朽ち果ててゆくほかない剣崎を思った。
あの場でジョーカーの力を使わなかったのは、睦月を倒しても追手やそれ以外の戦闘に巻き込まれた時無力になっては困るからだ。そう自分を納得させようとする。それでも睦月の言葉と、神丘令の面影を持つ女の視線を脳裏から振り払うことは無理だった。
彼らの前で人の仮面をかなぐり捨て、ジョーカーの本能に身を任せきることは出来なかった。
お前は、人間達の中で生き続けろーーーーそれが、剣崎が彼に贈った言葉だった。
お前は俺に生きることを願った。俺もお前に同じことを願っている。お前が俺に与えてくれた命を、お前に返したいと望んでいる。お前が教えてくれた心を奪われるくらいなら、お前のために死んだほうがいいと感じている。
自分の命も顧みず誰かを助けるのが人間だと、お前は言った。だがそれはお前に対する裏切りだと睦月は言う。どちらが正しいのか、人間ではない俺には解らない。
お前の言葉だけが正しいと信じたい。それなのに、睦月の言葉に痛みを感じる。
始は自分を見つめる少年の瞳の色を呼び起こした。
上城睦月は戦いの本当の恐ろしさを知らない。たった一度騙されることが即破滅を意味することを知らない。バトルファイトに巻き込まれたときでさえ周囲の愛情に守られていた少年は、やはり戦いをカードゲームの延長程度にしか思っていなかったに違いない。
それが彼の強さでもあり、脆さでもある。
せめて戦いの真の苦しみを知らないままに死なせてやろう。彼もまた、自分の友人なのだ。もし睦月が自分を倒すほどに強くなっていればーーーー。
睦月は本当に、剣崎を救うかもしれない。
次に向かうべき道を選ぼうと、始が顔を上げる。
俺たちは二度と出会うこともない。触れ合うこともない。
……それでいいんだ。
後悔の影すらない笑顔でそう言って背を向ける剣崎の姿を、始は道の果てに見たような気がした。
睦月は剣崎の指から銀色のリングを抜いた。
眠りについた者は、ここに残して行くほかない。だからこれからは……剣崎さんに代わって、俺が戦う。俺だけじゃない。相川さんは、きっと人間の心を取り戻してくれる。橘さんだっている……はずだ。
血に汚れたペンダントは、剣崎が心を通い合わせた相川始に。右手にはめた指輪は、かつて剣崎を教え導いた橘に。彼らに届け、相川始は人間の世界へと連れ戻す。
彼はかつて剣崎が始の心を取り戻した時のことを今もはっきりと覚えている。ハートのスートの十三枚を全て揃えたことで、始はジョーカーの本能を押さえ込んだ。ならば今度だって上手く行くだろう。
それでも叶わないなら、剣崎さんに代わって……。
睦月は目の前にたたずむジャーク将軍を見上げた。
「言い忘れてましたけど、俺、この先で降りますから」
「勝手なことは許さぬ」
帰って来る声音は厳しい。だが睦月は恐れなかった。
「約束があるんです。信用できない奴との。あいつの力が、今の俺には必要だから」
睦月は剣崎のライダーシステムをキングが持っていることなど知らない。そしてキングを封印し、彼の持ち物を回収すれば二つのスートのカードが完全に揃うことも。知ったところで、キングを倒す理由が増えるだけのことだった。
力が欲しい。心からそう思う。力そのものの為でなく、その力で人の笑顔を守るために。戦う理由のない者たちを、血の洗礼から救うために。
手の中の指輪を握りしめる睦月を見て、ジャーク将軍が気づいたように問うた。
「信用できないやつ、と申したな」
「……はい」
「そやつが、約束通りにやって来る保証はあるのか」
「…………あ。」
睦月が先ほどまでの深刻な様子と打って変わって間の抜けた表情を晒す。この少年の最大の弱みは、この純朴さだろう。彼の師であった橘はそれを時に強さに変えた。同じことが、彼にできるだろうか。
「約束はともあれ、そやつと出会ったら打ち倒せば良い。それでどうだ」
「……それでも…………いい、です」
困りきって答えた睦月に、今度はジェネラルシャドウが問う。
「お前に、スペードのエースは使えるか?」
「……ブレイバックルがあれば、多分。そしてキングを倒せば、俺はもっと強くなれます」
少年の言葉で、シャドウは満足したようだった。
「ならば共に手に入れようではないか。切り札を……スペードの、エースを」
睦月が深く頷く。それを確かめたシャドウは、Gトレーラーへと戻って行った。
「一つだけ、聞いてくれる?」
黙って一連のやり取りを見守っていた小沢が、低い声で呟いた。
「英雄になるってことは、死に急ぐこととは違うのよ。それを忘れないで」
自ら封印したG4システムを思いながら、小沢は少年に言い聞かせる言葉を自分にも向けて反芻した。黙りこむ睦月をしばし見守った後、その場に膝をついて剣崎の身体に土をかけてやる。
あなたは十分に戦ったわ。だから今は、ゆっくりおやすみなさい。
睦月ものろのろと腕を動かし、彼女の真似をする。土の上に時折熱いしずくが落ちて、暗い染みを作った。
元通りに埋め終わり、少年の肩に手を置く。こちらを向いた睦月はすっかり顔を泣きはらしている。小沢はその背中にそっと手を延ばし、無言で抱きしめてやった。
「脆いものだ。ジャーク将軍もシャドウも、なぜあんな生き物に入れ込む」
トレーラーにもたれたガライが苛立たしげに吐き捨てる。シャドウは平静にそれをなだめた。
「奴は鍵を握っているのかもしれん。このゲームに勝利するための鍵をな」
「なんだと?」
「確かではないが、その可能性がある」
「ああも脆い生き物に、そのような力のあるはずがない!」
「眺める分には、儚い命も素敵だけれど」影山冴子が歌うように囁く。
仲間としては、自分を脅かさない程度に強いほうがいいわよね。
氷の刃のごとき冷たい視線の先には、小沢澄子の肩に顔を埋めてすすり泣く睦月の姿があった。
■相川始(単独行動) 行動開始時刻20:00@C-3
南下+G-3で戦闘+離脱で約一時間消費
現在時刻21:00 現在地点:市街地G-4
【相川 始@仮面ライダー剣】
【1日目 現時刻:夜】
【現在地:市街地G-4】
[時間軸]:本編後。
[状態]:胸部に多少の抉れ。2時間変身不能(カリス)
[装備]:ラウズカード(ハートのA・2・5・6)、HONDA XR250
[道具]:サバイブ(烈火)。アドベントカード(ギガゼール)。首輪探知機(レーダー)。
[思考・状況]
1:天音ちゃんを救う。
2:偽の剣崎(神代剣)を殺し、ブレイバックルとカードを取り返す。
(始はブレイバックルとカードをキングが持っていることを知りません)
3:睦月との決着はこの手で。それがどのような形になろうとも。
4:このバトルファイトに参加している全員を殺す。剣崎のためにできることはそれしかない。
5:手持ちのラウズカードでは心もとない。戦力強化の必要がありそうだ。
[備考]
※1:相川始は制限に拠り、ハートのA、2以外のラウズカードでは変身出来ません。
※2:HONDA XR250は制限により、あらゆる能力で変化することが出来ません
※3:死んだ剣崎が別のブレイド世界(劇場版)から来たと言う認識はありません。
■Gトレーラー組(+小沢澄子) 行動開始時刻19:00@E-7
E-7にて修理(30分前後)+徐行移動(1時間弱)+G-3下車で約2時間消費
現在時刻21:00 現在地点:遺跡G-3(剣崎の埋葬場所)
グループとしては今後J-3で小沢に首輪の解析と解除を行わせることを計画しています。
■Gトレーラー組の共通事項
首輪に盗聴・監視装置が仕掛けられている可能性を認識しました。
それぞれ違う世界・もしくは同じ世界の違う時間軸から連れて来られたことを再認識しました(大集団と同様)。
前回の襲撃時に敵対勢力と思われる大集団の構成、および戦力をほぼ把握しています。
Gトレーラーは小沢が応急修理を施しましたが、不安な状態であることに代わりはありません。
悪路や衝撃などによっては動かなくなる可能性があります。
【小沢澄子@仮面ライダーアギト】
【1日目 現時刻:夜】
【現在地:遺跡G-3】
[時間軸]:G3-X完成辺り。
[状態]:多少の打撲と火傷。自分のペースをとりもどして前向き。
[装備]:なし
[道具]:ガードアクセラー
[思考・状況]
1:仲間達(大集団)の安全を祈願。これ以上誰も犠牲になってほしくない。
2:首輪の解析(道具と仕組みさえ分かれば分解出来ると考えています)
3:目の前の怪人たちと上手く渡り合うため観察・可能な限り情報を引き出す。
4:睦月に同情。もう少し話し合えないだろうか。できれば味方につけたい。
5:ザビーゼクターを修理する(パーツと設備、時間さえあればザビーゼクターを修理可能だと考えています)
6:神代に怒り。相川始に疑問。ジャーク将軍には怒りと同時に一目おいています。
7:かならず仲間の元に戻ってみせる。そのための手段を探そう。
[備考]
※クライシスと神崎士郎が手を組んでいないことを、ジャーク将軍の発言より確信しました
[元大集団メンバーとしての共通事項]
時間軸にずれがあること、異世界から連れてこられたことは情報として得ました。
仲間である人物と敵であろう人物の共通認識がされました。
【上城睦月@仮面ライダー剣】
【1日目 現時刻:夜】
【現在地:遺跡G-3】
[時間軸]:本編後。
[状態]:背中に大火傷。頭部に打撲。その他、身体に軽傷多数。疲労はやや回復。
2時間変身不能(レンゲル)
[装備]レンゲルバックル+ラウズカード:クラブのA~7、10~K
ギャレンバックル+ラウズカード:ダイヤのA~6・8・Q・K
ラウズカードのみ:スペードの4・7・8・J・Q ハートの3・4・7・10~K
剣崎のブレスレット(単なるアクセサリー。特殊効果はありません)
[道具]:配給品一式(橘)。Gトレーラー(G3ユニット・GM-01・GG-02・GS-03・GK-06)
剣崎のペンダントと指輪(いずれもシルバー製アクセサリー)。
[思考・状況]
1:剣崎の死・始のマーダー化を自らの目で確認し、激しく動揺。
2:ハートのラウズカードを集め、始を人間に戻す。無理なら封印もやむなし。
3:キングは信用できない。封印するしかない。
4:ジャーク将軍を藁をも掴む気持ちで信頼。この人なら、ライダーとの同盟も可能では?
5:小沢澄子に、自分を支え続けた望美と同じ暖かさを感じる。
※1:睦月は死んだ橘が偽者であってほしいと強く願っています。(偽物という確信が揺らぎました)
また劇場版の世界を知らないため、死んだ剣崎は自分の世界の過去から連れて来られたと考えています。
※2:睦月は現在小沢の指導の元、無免許でGトレーラーを運転しています。
※3:橘と戦ったことは忘れています。そのため、ジャーク将軍にもそのときのことは話していません。
ただし、何かの拍子に思い出すかも知れません。
※4:ショック療法と大量のラウズカードで暫定的にカテゴリーエースの意志を抑制しました。
また睦月は始のマーダー化をジョーカーの本能に飲み込まれたと解釈し、
ハートのスートを揃えて与えることで元に戻せると考えています。
【ジャーク将軍@仮面ライダーBLACK RX】
【1日目 現時刻:夜】
【現在地:遺跡G-3】
[時間軸]:ジャークミドラに改造後。
[状態]:頭部に中程度のダメージ。
[装備]:杖、変身後は大刀。
[道具]:支給品のデータブック(ハイパーゼクターを除く支給品のデータが記載されています)
ネタばれ地図。首輪(ヨロイ)。ライダーブレス(コーカサス)。変身鬼弦・音錠。
ハイパーゼクター。ベルト(カブト)。壊れたザビーゼクター。精巧に出来たモデルガン。
ディスクアニマル(ルリオオカミ、リョクオオザル、キハダガニ、ニビイロヘビ)
トランシーバー(現在地から3エリア分まで相互通信可能)。3人分のディパック(ジャーク、グランザイラス、城戸)
[思考・状況]
1:ラウズカードを集め、戦力の強化。
2:もうひとつの研究所(J-3エリア)へ向かう。
3:首輪の解析。
4:上城睦月に相川始を殺させ、後戻りが出来ないようにする。
5:神崎士郎を殺し、脱出する。
6:RXを殺す。リュウガを始末する。
7:人質である小沢澄子に対し、有能な指揮官・技術者として相応の敬意。
※1:ジャーク将軍は睦月より、ブレイド世界の情報と剣崎、始、橘、キング、伊坂、北岡、リュウガの情報を得ました。
※2:ネタばれ地図には支給品以外のラウズカードの隠し場所も書かれています。
※3:支給品のデータブックには、支給されたアイテムの効果が記載されています。
余裕ができ、中身を確認したのはGトレーラー内が初めてです。
各参加者の初期支給品も記載されています。
【ジェネラルシャドウ@仮面ライダーストロンガー】
【1日目 現時刻:夕方】
【現在地:遺跡G-3】
[時間軸]:37話前後
[状態]:多少の打撲と大火傷。
[装備]:サタンサーベル、トランプ内蔵ベルト
[道具]:麻生勝の首輪(但し、分解済)。配給品一式×5(シャドウ、ドラス、立花藤兵衛、麻生勝、天道)。
[思考・状況]
1:ジョーカーを倒す。
2:明日、ストロンガーと決着をつける。
3:情報収集のため、ジャークと情報交換。
4:スペードのA、クラブの8が暗示するものを確かめる。そのためには睦月が有用か?
※スペードのAが暗示するものは剣崎(ブレイド)であろうとあたりをつけました。
クラブの8についてもラウズカード=ブレイド勢に関連があると考えています。
※シャドウ剣はF2エリアの壁に刺さっています。
【影山冴子@仮面ライダー555】
【1日目 現時刻:夜】
【現在地:遺跡G-3】
[時間軸]:本編最終話あたり
[状態]:肩にかなりの深さの裂傷。
[装備]:オーガドライバー(オーガストランザー付属)
[道具]:首輪(
園田真理)。アドベントカード(SEAL)。配給品一式。
[思考・状況]
1:生への執着。
2:ジャーク将軍の下で、首輪の解除方法を探す。
3:あきらと巧に復讐。
4:小沢澄子に警戒心。首輪を解除させ情報を引き出したら殺したほうがよさそうね。
5:上城睦月の確変に警戒心。これ以上強くなればいずれ障害になるのでは?
【ガライ@仮面ライダーJ】
【1日目 現時刻:夜】
【現在地:遺跡G-3】
[時間軸]:本編開始前。
[状態]:火傷(中程度。再生中)。
[装備]:ガライソード。
[道具]:なし
[思考・状況]
1:ジェネラルシャドウからサタンサーベルを奪い、勝つ。
2:どんな手を使っても生き残る。
3:ジャーク将軍と協力して、首輪を解除する。
4:ついでに生贄を手に入れる。
5:神崎士郎は残酷に壊す。
6:脆弱な生き物と組むのは気に入らない。特にでかい口を叩くこの女(小沢)は。
7:さっさとこの首輪を外したい。
※折れた烈斬はD-7に放置されています。
【追記】
上記7名は神代剣が剣崎を殺して擬態していたという情報を得ました。
最終更新:2018年11月29日 17:51