片眼の蛇
――泥とザラついた砂の感触が口の中に涌き上がり歯に、舌に、唇に、纏りつく…
噛締めるたび、粉砕されガリガリとこめかみの奥までノイズの様に響き渡る……
またイラつく泥の味が甦る――
あの女、ライダーか……
真紅の鷹!?
視界に捕えた瞬間
―― ッ!左眼に激痛が走った。
自らの鮮血で世界が赤く染まる。
しかし痛みは自分を起爆させるための興奮剤でしかなかった。
いつしか高揚感にかわり、それは戦いを欲して毛細血管までも悲鳴を上げるほど体中を駆巡る!
口の中から砂の感触と泥の味が退いて行く……
あの時、俺は声にならないほど歓喜した。
戦いはいい。ゾクゾクする――
だがあの女?!なぜ逃げた?ライダーなんだろ…俺と戦え!!
苛立ちを押さえるため頭を岩に叩付ける。
ガンンッガガッ
鈍い音が闇に吸込まれる。禁断症状が治まった麻薬中毒者のようにほくそ笑むと岩を背に
座り込んだ。
カンテラを灯し、乾き掛けた血を洗い流すためデイバックからミネラルウォーターのぺットボトルを取り出す、ふと名簿に眼が止まる。
他に興味を引く名などない、はずだった…
――「アキラ……
今度こそ…消えろ!」
自ら弟を葬った時の記憶が脳裏に甦る。
俺が
モンスターの餌にしてやった弟と「同じ」名だ……
面白い……おまえも、餌になるか?
シャツの片袖を引き千切り血を拭う。
もう使い物にならないかもしれない左眼を隠す様に頭に巻付けると浅倉は立ち上がった。
――ライダーってのは本当に面白いよな……
北岡!アキラ!……何処だ?
そして…片眼の蛇は獲物を捜し、闇を彷徨う。
【浅倉 威@仮面ライダー龍騎】
【1日目 現時刻:夜明け前】
【現在地:移動中】
[時間軸]:本編終盤辺り。
[状態]:左目負傷、重傷と思われるが…
[装備]:カードデッキ(王蛇)
[道具]:カッターナイフ
[思考・状況]
1: 不明
最終更新:2018年03月22日 23:20